平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

どうする家康 第3回「三河平定戦」~今川か、織田か? 個人か、公共か? 重荷を背負う元康

2023年01月23日 | 大河ドラマ・時代劇
 この世はやはり地獄だった。

 今回の「どうする?」はこれ。
・今川か? 織田か?
・個人か? 公共か?

 織田の防波堤として今川のために戦う元康(松本潤)と三河衆。
 しかし連戦連敗。
 今川の援軍は来ず、吉良義昭(矢島健一)は共に戦うが力足らず。
 あと一回、敗北すれば松平はなくなる。
 そんな中、家康の母・於大の方(松嶋菜々子)、水野信元(寺島進)、久松長家(リリー・フランキー)は織田に帰順して今川と離反することを説く。
 織田は自分につけば、織田と松平は対等の関係で、三河を元康に任せる、と言っている。
 しかし今川には妻・瀬名(有村架純)と子、三河衆の家族がいる。
 織田に与することは瀬名たちを失うことを意味する。
 元康は当然、今川を裏切ることを拒むが、三河の民たちは今川からの独立を望んでいる。
 今川の搾取が激しすぎるからだ。
・今川か? 織田か?
・個人か? 公共か?
 どうする家康?

 元康が選んだのは織田につくことだった。
 元康は私心を捨て、民の願いに従った。
 信長への忠誠の証として、吉良義昭を攻めた。
 この裏切りに今川氏真(溝端淳平)は激怒、三河衆の妻たちを殺害した。
 瀬名の元康の子は、人質になると考えたのだろうか、生かしておいた。
 果たして瀬名は三河衆の妻たちを死に追いやった元康を許すのか?
 …………………………………

 やはりこの世は地獄である。
 元康はこの認識を新たにしたことだろう。
 自分が望まないのに、人を裏切り、死に追いやってしまう。
 この裏切りは愛する瀬名を失うことにもなる。
 しかし家臣や民の願いも聞き入れなくてはならない。

 家康の言葉(遺訓)にこんな言葉がある。
「人の一生は重荷を負(おう)て遠き道を行くが如し」

 今作・第1回で、元康は瀬名に「重荷を背負いたくない」と語ったが、
 松平の嫡男に生まれてしまった以上、否が応でも重荷を背負わなくてはならない。
 重荷とは三河の民たちであり、家臣であり、妻であり、子であり。
 きついなあ。
 元康は身軽に生きていきたかったんだけどなあ。

 ドッと重くなった第3回。
 作品のトーンはどこに行くのだろう?
 第1回、2回の『ダメダメ家康のコミカルな奮闘記』みたいな感じは好きだったんだけどな。
 重いテーマを描きつつも作品は軽やかであってほしいのだが。

 最後は信玄(阿部寛)。
 援軍要請で、元康が会いたいというのをはねつけた。
 現状、元康は今川の一家臣でしかなく格が違うからだ。
 会いたいのなら三河の国主になってから来い。
 これは元康にとって、ひとつの示唆。
 人には力が必要。
 力がなくては大きなものに翻弄される。
 今後、元康は他者に翻弄されないために力を得ようとするのだろう。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (コウジ)
2023-01-28 08:58:51
ロギーさん

教えていただき、ありがとうございます。
いくさ、あるいは領国の経営にとって財務って大事なんですよね。
でもドラマではそれを忘れられがち。
今作では忠吉を通してこれを描くのでしょうか。

>岡崎領の収益の一部をピンハネして蓄財をしていたのでしょうね。
忠吉、ああ見えてなかなか、したたかですよね。
返信する
忠吉はただの歯抜け爺さんでなかった。 (ロギー)
2023-01-27 13:30:25
今日はコウジ様。

実は今日は面白い動画を見つけましたよ。
https://www.youtube.com/watch?v=-HpZseR1EA4
忠吉は家康の爺さんの代に仕えた新参者で、それ以前は陸運と水運を生業にしていた商人だったそうですよ(それでも、松平家臣団の中ではかなりの力を持ってますから、財務の重要性がわかりますね)
ただ、元康が駿府で人質をしていた間は今川から派遣された岡崎城城代の下で執務を行って財務を担当していて、岡崎領の収益の一部をピンハネして蓄財をしていたのでしょうね。
返信する
ゴーカイジャー! (コウジ)
2023-01-24 09:19:22
ロギーさん

いつもありがとうございます。

鳥居忠吉の蓄財には驚きましたね。
元康の盾になるし、大事な場面で的確な助言をするし、真の忠臣であり、なかなか侮れない人物です。

本多忠勝→山田裕貴さんはゴーカイブルーだったんですね。
戦隊ものは卒業していたのですが、『ゴーカイジャー』だけは見ていました。
ゴーカイイエローは現在、声優で活躍しているM.A.Oさんですし、『ゴーカイジャー』、侮れませんね。

>元康と瀬名の初々しい若夫婦は癒しですからね。
TEPOさんの所でも書きましたが、瀬名との関係はどうなるんでしょうね?
そして母・於大との関係。
再会した母は甘えさせてくれる母ではなく、乱世を生き抜くことを教える厳しい母でした。

男というのは案外、弱いもの。
生きていく上で女性の存在は大きいのですが、瀬名だけは元康に寄り添ってほしいですよね。
返信する
第2回くらいの感じでいってほしい (コウジ)
2023-01-24 09:01:58
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>簡単に「サクセスストーリー」にしない、という方針だけはよく分かりました。
まさにそうですよね。
第2回の、前半はダメダメ家康、後半は火事場のクソ力でがんばる家康、くらいのトーンで進んでくれたらいい、と思っていたのですが。

今回の件で瀬名はどうリアクションするんでしょうね。
「許せない」になって悪妻になっていくのか?
父親の取りなしで、仕方ないと考えを改めて元康と共に重荷を背負っていくのか?
後者であってほしいと思うのですが。

「徳川慶喜」は見ていないのですが、そういうドラマなんですね。
慶喜というのは魅力的な人物ですよね。
「西郷どん」の慶喜、「青天を衝け」の慶喜、それぞれ描かれ方は違っていましたが、どれも魅力的でした。
何しろ徳川の世を終わらせた将軍ですから、その内面にはさまざまなものがあったのでしょう。
「徳川慶喜」の慶喜は「青天を衝け」の慶喜に近い感じですね。
返信する
元康追い込まれてますね。 (ロギー)
2023-01-23 20:44:01
何ていうか、タイトルは『どうする家康』じゃなくて『家康いじめ』にも見えてきます。
本当に今回はそれが諸に出てます。

今回は重臣たちは何気に光ってましたね。
鳥居忠吉は松平家復活の為に密かに蓄財していた資金等を元康に提供、忠次と一正は松平家の独立の為に元康に信長と組んで公を優先する様に進言する等、松平家の重臣たちも本格的に動きましたね。
あの今川家相手だと強かに立ち回らないと生き延びませんわね。

信長にしてみれば、尾張の東隣の西三河を支配する松平家が同盟してくれたら、豊かな美濃攻略に専念できますし、今川や武田と言った外敵の抑えを松平がしてくれるという戦略面、政略面で大いにメリットがありますからね。

しかし、元康にしてみれば駿府にいる愛しい瀬名と子供達と三河衆を犠牲にする辛い決断を下したせいで、瀬名は打ち解けていた三河衆の家族たちが処刑されて自分たちも人質にされる戦国の苛烈さを身を持って体験する流れは見ていて辛かったです。
元康と瀬名の初々しい若夫婦は癒しですからね。

本多平八郎忠勝の武勇は流石はゴーカイブルーと思いました。
戦士の報が出た後、実は生きていた堕ちはびっくりしました。
それにしても、平八郎は何気に元康を殿と認めている節はありますね。
元康の御母堂はどうすればいいか聞いたりしてます。

元康にとって今回一番つらかったのは母との再会でしょうね。
瞼の母と再会したら、その母に松平家を守るために妻子を捨てろと言われたら、元康はブチ切れます。
しかし、家臣たちの諫言で屈する時は痛々しく思いました。

次回も苛烈な展開になりそうですな。
返信する
たしかに「重く」なりました (TEPO)
2023-01-23 16:29:05
>ドッと重くなった第3回。作品のトーンはどこに行くのだろう?

そうですね。
初回から描かれた瀬名との相思相愛ぶり、そして理想的な「良妻」の姿が、ここに来て「重さ」の壁として屹立することになってきました。
さらに、「家臣団」もまた、元康(家康)にとっては配慮し、背負わなければならない「重荷」であることも明らかになってきました。

徳川家康が戦国の「最終勝者」であることは間違いないのですが、本作は簡単に「サクセスストーリー」にしない、という方針だけはよく分かりました。
ただし、「悲惨な物語」―「天下人にはなったものの内面はボロボロ」―というところにまではなって欲しく無いと思います。
「悲惨な物語」といえば、かつて私は「徳川慶喜」の視聴を途中で脱落したことがあります。
周知の通り、慶喜自身は明治後まで生き延びるわけですが、大切にしていた腹心たちを次々と「非業の死」で失ってゆく時点で耐えられなくなってしまいました。

最低限、「地獄をくぐり抜ける中でたくましく成長してゆく」というトーンだけは保って欲しいと思います。
返信する

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