平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第10回「根拠なき自信」~天才戦術家・義経、戦場を見てどう攻めればいいか、がすぐにわかる

2022年03月14日 | 大河ドラマ・時代劇
 義経(菅田将暉)はいくさの天才なんですね。
 戦場を見ただけで、どう攻めればいいかがすぐわかる。
 だから軍議をする板東武者たちが愚鈍に見えてしょうがない。

 ただすぐれた戦術家であっても人間としては未熟。あるいは子供。
 その象徴的なシーンが兄弟で話をするシーンだ。
 頼朝(大泉洋)が語ることに、いちいち「違います」「私ではありません」と否定する。
 今は寛容だが、いずれ頼朝は気を悪くして義経を遠ざけるようになるだろう。
 政子(小池栄子)に膝枕を求めるのも子供。
 政子はこれを可愛いと思っているようだが。

 義経は戦略家でもない。
 戦略家とは政治・経済・人心・敵の情勢など、あらゆることを大局的を見て判断する人物を言う。
 頼朝がそうだ。
 一方、戦術家はいくさの現場の優秀な指揮官。
 これが義経。

 頼朝はまず自分の地盤を固めることに専念して、すぐ京に攻め上ろうとしない。
 足場を固めるため、家人の支持を得るため、佐竹攻めに取りかかる。
 頼朝は待つことができる。
 これが戦略家だ。
 それは藤原秀衡(田中泯)にも言える。
 平家と頼朝を天秤にかけ、両方にいい顔をして勝てそうな方につこうとする。
 待つことができる秀衡もまた戦略家なのだ。
 一方、義経ははやく京に攻め上りたくてしょうがない。

 戦術家としては上総広常(佐藤浩市)と義経を比べてみるのがいいかもしれない。
 上総は「しなくてもいい、いくさ」を知っている。
 敵のトップをだまし討ちで斬り、内通者をつくり、内部崩壊させて勝つ。
 ずるいが、被害を最小限にする勝ち方だ。
 一方、義経はまっすぐで好戦的。
 ただ戦術が天才的だから、少ない被害で面白いように勝てる。
 上総と義経はいずれ対立していくのだろう。
 大庭景親(國村隼)が上総に言った最期の言葉が思い出される。
「あの時、頼朝を殺しておけばよかたと思う時があるかもしれんな、上総」

 そんな中、主人公・義時(小栗旬)はすぐれた調整役だ。
「若造は口を挟むな」と言われて口をつぐむ義経に対し、「何かおっしゃりたいことがあるのではありませんか?」と話を振り、義経の披露した戦術に関しては「官服いたしました」と言う。
 組織にはこういう調整役が必要なんですね。
 義時はその性格もあるが、あくまでナンバー2、補佐役に徹している。
 一方、八重(新垣結衣)には何とも思われていない様子。
 女心にも疎くて、草もちやきのこを渡しても、あまり喜ばれていないのに有頂天になる。
 おまけに草もちが原因で三浦義村(山本耕史)は腹を壊していくさに参陣できなくなってしまう。笑


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2 コメント

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地味な主人公が出世していく (コウジ)
2022-03-15 07:12:25
TEPOさん

いつもありがとうございます。

調整役・義時。
地味ですが、そんな人物が苦悩しながらもトップに上りつめていく。
いいドラマになりそうですね。
同時に源平の栄枯盛衰の目撃者にもなる。

義経はKYという形で振り切りましたね。
決して貴公子のヒーローとしては描かない。
そのKYぶりが悲劇を招く。
義経は愛を求めていただけなのに。
今後、義経がどのように描かれ、義時がどう関わるのか、楽しみです。
返信する
調整役・義時 (TEPO)
2022-03-14 22:39:40
>主人公・義時はすぐれた調整役だ。

おそらくこれが本作のメイン・コンセプトなのでしょうね。

ただし、現時点における義時の立ち位置はまだ「ナンバー2」などではなく、「将軍」(ただし近代的軍隊における)の「副官」といったところでしょう。
彼よりも序列が上の存在はいくらでもいます。
先週までは孤独をかこっていた頼朝は、今や弟たちに囲まれでいます。
義時も「弟」(義弟)には違いありませんが、実弟たちに比べればあくまでも彼らに「準ずる」存在。
また、部将たちの間にあっては、頼朝の実弟義経を「小僧」呼ばわりする上総広常のような実力者もいます。

こうした人々が次々に排除されてゆき、やがて義時は本当の「ナンバー2」、さらには将軍をもしのぐ「てっぺん」に立つようになってゆくわけです。
しかし、おそらく義時は彼ら「ライバル」たちを「蹴落とす」のではなく、義時が「調整しきれなくなって」彼ら自身のせいで自滅してゆく、という描き方になるのではないかと思います。
現に、義経は義時が懸命に調整を試みる中、案の上のKYぶりを発揮しています。
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