平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

南極大陸~この作品は現代日本に活力を与えることが出来るか?

2011年10月17日 | その他ドラマ
 前半は『プロジェクトX』
 南極観測を実現するための倉持岳志 (木村拓哉)と、白崎優(柴田恭兵)の奮闘話。
 ブリュッセルでは敗戦国として差別を受け、大蔵省では「成果の出せないものに予算は出せない」と突っぱねられる。
 おまけに日本に割り当てられた南極大陸の調査場所は<接岸不能>。
 困難がどんどん襲いかかり、それを地道な努力で実現していく。
 まさに『プロジェクトX』

 倉持たちを助ける人物が次々と出てくるのも『プロジェクトX』
 京大の南極研究者・星野英太郎(香川照之)。
 戦艦大和の設計者・牧野茂(加藤剛)。
 樺太犬の研究者・古館智大(山本學)。
 この辺はカッコイイ!
 本田宗一郎や井深大みたいな人物も登場して、<登場の美学>みたいなものがある。

 子供達が5円玉を持って、南極大陸に行ってくれというのは作り過ぎかな?
 飢えて明日の生活に困っていても、夢は必要なんだ。人はパンのみに生きるにあらず。を象徴的に表現するエピソード。
 少し鼻についた。

 しかし、宗谷を作るためにトラックを並べて職人たちが駆けつけた所は、定番の感動エピソードだけれども(←『華麗なる一族』で同じようなシーンを見た気もしたが)、心を動かされた。
 「職人の心意気を見せてやる」
 「俺の溶接を信じろ」
 やはり職人はカッコイイ。
 自分の技術への誇り、損得を抜きにした熱い心が彼らにはある。

 そして中盤は、映画『南極物語』
 太郎と次郎の話。
 芦田愛菜ちゃんも登場。
 動物と子供にはどんな名優もかなわないと言うが、ここで『プロジェクトX』から雰囲気が変わって、<動物もの>になった。
 そしてインパクトがあったのが樺太犬。
 たくましく、気が強い。
 簡単に人間に心を許さない。言うことをきかない。
 かわいい、簡単にしっぽを振ってくる犬よりも何か魅力的。
 倉持の腕を噛む太郎がその象徴。
 先導犬リキの話もよかった。

 そしてラストは、映画『宇宙戦艦ヤマト』
 木村拓哉さんだけでなく、緒形直人さんなどもいたので、『ヤマト』がオーバーラップした。
 <日本人の誇り><子供たちの夢>を乗せて旅立つ南極観測船・宗谷。
 この時代には、「敗戦国の劣等感を克服して、日本人の誇りを取り戻すんだ」「未来は無限の可能性を秘めて輝いているんだ」という共通の思いが日本人にあった。理想があった。
 目標を失い迷走している現代日本と比べると、何とも幸せな時代。
 豊かさ=幸せとは限らない。
 この<宗谷>を現代日本に当てはめてみると、<はやぶさ>かな。

 というわけで、『プロジェクトX』『南極物語』『宇宙戦艦ヤマト』と何でもあり、のこの作品。

 現代日本に勇気と力を与えることが出来るか?


 
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江~姫たちの戦国~ 第40回「親の心」

2011年10月17日 | 大河ドラマ・時代劇
 物語はとことん、もつれさせると面白くなる。
 今回がそのいい例。

 深まる江(上野樹里)と竹千代(水原光太)の溝。
 大姥局(加賀まりこ)は江にこう諭す。
 「それでも母ですか? 母が子を諦めてはなりませぬ。何があっても自分を見つめていてくれる母。それで子は救われるのではありませんか?」
 江は大姥局の言葉を受けて「母と話をしよう」と竹千代に話しかける。
 しかし、竹千代は「福が呼んでおりまする」と心を閉ざしたまま。

 この様に物語がどんどん、もつれている。簡単に解決しない。
 今まで「江」には、これが足りなかったんですよね。
 このタメというか粘り腰というか。
 あまりにもあっさりと問題が解決して、実に淡泊な内容になっていた。
 結果、主人公がまったく闘わないドラマになっていた。深く悩まないドラマになっていた。

 問題が解決しないことについては、秀忠(向井理)と家康(北大路欣也)もそう。
 腹を割って話したが、ふたりは決裂。
 「豊臣と徳川が並び立つなどあり得ぬ」
 「やってみなければわかりませぬ」
 「知恵と力を尽くしてもどうしようもないことがある。そなたのようにきれいごとを並べただけでは物事は前に進まぬ」
 苦労人の現実主義者の家康と、お坊ちゃんで理想主義者の秀忠。
 まさに水と油だが、ここでも粘り腰で、ふたりが簡単に理解し合えなかったのがいい。
 今までは、二代将軍を引き受ける時だって、秀忠は熱海の温泉で簡単に決断していましたからね。

 ドラマは人と人とのぶつかり合い。
 その意味では、今回はいい感じ。

 いい感じと言えば、淀(宮沢りえ)と千(忽那汐里)の関係、これに絡む秀頼(太賀)と初(水川あさみ)もよかった。
 未熟者ゆえ秀頼との同衾を許さない淀。
 千はそれが口惜しく、つらい。
 「千は未熟者なので、秀頼様にふさわしくないとお考えなのでは」と初に語る。
 これを受けて行動する初。
 秀頼も「千は正室。徳川から預かった飾り物ではありませぬ」と母・淀に言う。
 実にいい感じのドラマになっている。

 大姥局も「親と子、それを結ぶのが乳母の役目」と、秀忠と家康、江と竹千代の間を繋ごうとして、魅力的なキャラになった。

 今回のような話を描き続けてくれたら、「江」はいい作品になっていたんですけどね。
 今まではあまりにもあっさりし過ぎていた。人と人のぶつかり合いが稚拙で、不十分だった。


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蜜の味~A Taste Of Honey~あの手この手で描かれる愛の情念

2011年10月14日 | 恋愛ドラマ
 愛は、凄まじいパワー。
 医者になろうなんてことを考えていなかった田舎の高校生を医学部に合格させたりする。
 人を最高の歓喜に導く。
 一方、反動もある。
 愛を獲得できなかった時の果てしない苦しみ。
 愛を奪った者へのドロドロの憎しみ。
 凄まじいパワーが逆に自分を苛む。
 嫉妬、憎しみ、絶望、狂気…………。
 人は愛さない方がいいのかもしれません。
 しかし、誰かを愛さずにはいられない。

 上手い脚本ですね。さすが大石静さん。
 直子(榮倉奈々)の気持ちを、原田彩(菅野美穂)の香水の香りを消すための<消臭洗剤>、雅人(ARATA)の部屋の窓から見える<花>、子供を助けて相合い傘で歩く<赤い傘>などで表現している。<赤い傘>をさして雅人と歩くのは自分だけだったはずなのに……。
 裏切り方も上手い。
 赤ちゃんが誕生して泣く直子。
 だが、その涙は生命の誕生に感動したからではなかった。直人に彩という恋人がいたから。
 彩が子供を助ける姿を見ていたのも、子供が心配だからではなく、彩が失敗するのを見たかったから。(←このことは彩の推測であり、直子が実際にそう思っていたかは今回だけでは定かでないが)
 いずれにしても直子の感情をあの手、この手を使って描いている。

 彩の人物造形も上手い。
 「研究は合理的だけど、患者は非合理だから病理を選んだ」
 これだけだと、彩はクールな合理主義者に見えるが、子供を必死に助ける熱い面も持っている。
 どこか謎の部分もある。
 「愛想がいい人間が信用できるとは限らない」
 「誰かの人生に誰かが責任を取ることなど出来ない」
 確かに真実なのだが、これらの言葉が出てくる彩のバックボーンとは何か?
 あるいは「私が失敗するのを見たかったから」と見抜いた分析力。
 これもどこから来たのか?
 謎の多いキャラクターである。
 クールな合理主義者の陰に、とんでもない心の闇を抱えているのかもしれない。だから同じ匂いのする直子のことが理解できる。

 これからの興味は、<彩の謎の部分の解明>と<直子がどの様に変わっていくか>?
 雅人も誰かがそばにいなければダメな性格みたいだし、穏やかな素敵なお兄ちゃんの裏で、何かを抱えていそう。それともふたりの女たちに翻弄されるただの平凡な男? 雅人が<心の闇>を抱えていたりすると、ドラマは俄然面白くなってくるのだが、果たして?
 二話以降に期待できる第一話でした。


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家政婦のミタ~「女王の教室」を越えられるか?

2011年10月13日 | ホームドラマ
 「女王の教室」の家政婦版。脚本も同じ遊川和彦さんだし。
 三田灯(松嶋菜々子)はスーパー家政婦。
 家事を完璧にこなすと共に、その家の家族が抱えている心の問題までも理解している。
 荒療治だが、解決もする。
 家政婦の三田灯とは何者?
 阿須田家はどうなる?
 そんな物語。

 第1話は、<自分の思いをはき出そう>。
 母親が急死し、阿須田家の人間は自分の思いを心の中に留めて、苦しんでいる。
 それが母親の遺品を燃やすことで一気に噴出する。
 結(忽那汐里)は「あたしは長女なのに何も出来ない!」
 翔(中村大志)は「お母さんにもっとやさしくしてあげればよかった! ありがとうも言えなかった!」
 海斗(綾部守人)は「私立に入ってもほめてもらえないし、将来の話も出来ない。何で勝手に死んじまったんだよ!」
 希衣(本田望結)は「希衣が死んじゃえって言ったから、お母さんが死んじゃったの。お母さん、ごめんなさい!」
 このシーンを見て、「Q10」の第1話を思い出した。
 「Q10」では、校庭に机で<HELP>の文字を作り、生徒たちが「助けて!」と叫ぶ。
 抱えている思いをはき出すことで、人は救われるのだ。
 つらい時はつらい。悲しい時は悲しい。と言えばいいのだ。
 阿須田家の人たちは、互いの思いをはき出し、苦しいのは自分だけではないということがわかり、連帯することが出来た。
 父親の恵一(長谷川博己)は、子供たちには語れず、家政婦の三田にだけ、妻の死が事故ではなく自殺で、自殺の原因が自分にあること(浮気?)を語ったが。

 変化球の作品である。
 三田灯というとんでもない人間を中に入れることで、リトマス試験紙のように家族が変化する。
 2話以降の展開に期待。
 「女王の教室」と同じパターン(たとえば子供たちの間に派閥を作るとか)で行くのか、「女王…」以下なのか、越えるのか?
 遊川和彦さんの腕の見せ所である。


※追記
 ロウソク、バースデーカード、必要な物が次々と出てくる三田のバッグがインパクトのある小道具になっている。
 三田はもしかしてドラえもん?
 困った時に、すぐ三田を頼る一家の姿は、のび太のよう。

※追記
 AKBのメンバーの名前をすべて言える三田。「前田敦子、大島優子、柏木由紀、篠田麻里子……」って、総選挙の順位。
 前記のバッグといい、キャラクターづくりが上手いですね。
 その他にもゴキブリを手で捕まえたり、数学の問題に答えたり、四十九日を説明したり。
 隣のうるさいおばさんに水を掛けて、視聴者的にスッキリさせられる行動も。

※追記
 結城うらら(相武紗季)の存在も見逃せない。
 いわゆる事件を起こす困ったやつ。
 こういうキャラクターがドラマを動かす。
 そして、相武紗季さんはこういう役が合っている? 結構ウザいキャラですが、相武さんがやると許せてしまいますからね。


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HUNTER~その女たち、賞金稼ぎ~ゆるくて中途半端な内容ですね

2011年10月12日 | 推理・サスペンスドラマ
 テンポが悪すぎる。
 冗長。
 バウンティハンター(賞金稼ぎ)ものとして突っ走ればいいのに、脇キャラ紹介と妹捜しが邪魔をしている。

 後輩の本村純(桐谷美玲)はキャンキャンうるさいだけ。居酒屋、小料理屋、割烹の違い? つまらないせりふ。これでキャラクターを表現しているつもりなのだろうか?
 DVの夫から逃げている鈴木真知子(戸田恵子)も決まり切った描かれ方。類型。黒い服を着てオドオドしているだけ。作られた東北弁も鼻につく。
 類型の描かれ方としては、刑事の権藤猛(谷原章介)もそう。
 過去に傷を負った物事を斜に構えている刑事。もう見飽きました。銃を撃ち、それが一般人に当たってしまったなんてのもダサい。そんな刑事、今時いませんよ。発砲することが警官にとってどれほど気を遣う重大なことであるかは、他の刑事ドラマを見て知っている。
 唯一の救いの脇キャラは主婦でパートの和久井和美(堀内敬子)だが、どれくらい生活臭さを出せるか。子供とゲームをしていて、妻に関心を示さない夫。これが脚本・伴一彦さんの現代家族の描写なんですね。

 妹捜しは今後も続くらしい。というかシリーズ全体を貫く縦エピソードになりそう。
 妹にどんな秘密が隠されているかは知らないが、おそらく妹の夫(姉の元カレ)がらみの、大した内容ではないだろう。

 今回の事件の解決の仕方も疑問。
 居酒屋に来る客に聞き込みをして、出没場所を絞ったのはいいが、アイデアとしてはそれだけ。
 後は橋ですれ違って偶然見つけちゃった???
 それになぜ逃走犯の山本康夫は遠くに逃げないのか?

 この作品に「相棒」の様な本格刑事物を求めてはいけないのだろうが、キャラは類型だし、捜査も子供だましであまりにもチャチ過ぎる。
 もし、コミックタッチで軽くやるなら「デカワンコ」くらいに突き抜けてほしいんですけどね。
 中途半端なリアリティが一番よくない。
 伴一彦さんの脚本は好きだったが、どうしたのだろう?


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ホンマでっか!?TV~道草、寄り道のススメ

2011年10月11日 | バラエティ・報道
 先週放送された「ホンマでっか!?TV」SP。
 まず面白かったのは「リズム音痴」だという、なでしこジャパン・澤穂希選手の悩み。
 澤選手は、ジムのスタジオで行うエアロビクスやAKBのダンスみたいなものが全く出来ないらしい。
 上手く合わせることが出来ずギクシャクしてしまう。
 しかし評論家陣に拠れば、澤選手はエアロビクスなど<他人と合わせるリズム感>がないだけで、<自分独自のリズム感>は持っているらしい。
 そして、そのことが澤選手の選手としての強みになっているとのこと。
 たとえば、敵選手と対峙した時、普通のリズムで動いていたら動きを予測されてしまうが、自分独自のリズムで動いていたら予測が出来ず、立ちはだかる敵を突破できる。
 なるほど!
 同じことをさんまさんはリオネル・メッシ選手を例に出して説明していた。
 「メッシは普通の人が一歩で行く所を、二歩で行く」
 これはなかなか深い。
 学校教育では、皆が同じ動きをするように教育され、出来ない子供は劣等生のレッテルを貼られるが、実は皆と同じでないことの方が大切なんですね。ありきたりな言葉だが、これが個性。
 そして、皆と同じになるように矯正するよりも、違う所を伸ばした方がいい。
 澤選手やメッシ選手の例はそんなことを物語っているような気がします。
 どんどんフツーから外れましょう。

 外れるといえば、この番組に登場する評論家先生たちも外れている。
 今回は高尾山ロケ。さんまさんと先生たちが高尾山の薬王院に番組ヒット祈願のお参りをしに行くという内容。
 だが、前回の帝釈天ロケと同じように、なかなか目的地に着かない。
 ある人はアイスを買い始め、ある人は虫取りを始め、ある人はトイレの見物。
 まさに道草、寄り道。 
 予定していたスケジュール通りに進まず、さんまさんが「もう絶対にこの人たちとロケに行かない」とキレる。

 評論家先生たちは、ある意味、子供のような感性を持っているんですね。
 スケジュールなどに縛られないで、自分の好奇心のおもむくままに行動する無邪気さ。

 それは番組内で語った先生たちの夢にも現れている。
 「脳を研究することで、人間とは何かを追究していきたい」(脳科学・澤口俊之先生)
 「カミキリ虫の標本2000種を集めたい」(生物学・池田晴彦先生)
 「信念と行動を繋ぐものを心理学的に解明したい」(心理学・植木理恵先生)
 「旬のものを的確に届けたい」(流通評論家・金子哲雄先生)
 など、どの夢もユニーク。オンリーワン。

 ここでも語られているのは「みんなと同じになるのはやめましょう」「自分のテーマを持って追究していきましょう」という姿勢。
 先生たちを見ていると、利益追求という会社の論理に縛られ、何となく同じ顔をしているのがどうなんだろう?という気がしてくる。
 目的地に向かってスケジュール通りに進むことをやめて、寄り道、道草をしたくなる。


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江~姫たちの戦国 第39回「運命の対面」

2011年10月10日 | 大河ドラマ・時代劇
★今回は面白かった。
 深まる徳川と豊臣の対立。

 秀忠(向井理)は、伏見や大阪城・西の丸に住むことを主張。
 そして関白・秀頼、その下に将軍の自分という徳川と豊臣の連立政権を目指す。
 これが史実かどうかはわからないが、今までの秀忠の言動を考えると、この政権構想はあり得る。

 しかし、豊臣側はかたくな。
 淀(宮沢りえ)は、初(水川あさみ)から聞いた江(上野樹里)の言葉にこう反発。
 「太平の世を作るのは、豊臣の、秀頼の役目であったはず。この恨み、消えることはありませぬ」
 人間、こんなふうに心が凝り固まってしまうとまずいですね。
 滅びの道に至る。

 秀頼は淀より柔軟。
 家康(北大路欣也)と会見して、政治的解決を目指す。皮肉もこめて。
 「豊臣のために働いて下さること、有り難く存じます」
 「徳川殿と共に太平の世を築くことを共に行っていきとうございます」
 これは先に述べた秀忠の政権構想とも合致する。

 歴史のifになるが、もし家康が早く亡くなっていて、秀忠がこの作品で描かれたような人で、秀頼との会見がなされていれば、徳川・豊臣の連立政権が出来ていたかもしれませんね。
 いずれにしても、秀忠、秀頼、淀、家康の立ち位置、目指す所が描き分けられていてドラマになっていたと思います。
 会見での秀頼は格好よかった。

★一方、江は福(富田靖子)と対立。
 「国松は私の乳で育てるのじゃ」
 「竹千代を除いて、私の産んだ子はすべて私の子」
 江がかたくなになってしまった。
 これはどうなんだろう?
 史実としてもそうだが、この作品、どうも江という人物がよくわからない。
 もちろん人間だから、かたくなになることもあると思うが、完全に竹千代を拒絶してしまった。
 竹千代の孤独な心も理解せずに。竹千代本人には何の罪もないのに。
 本音で「竹千代を除いて、私の産んだ子はすべて私の子」と思っていたとしても、思慮のある大人なら人前では口に出さない。
 現に淀は、秀頼に側室を持たせる時に、「これでよいのか……」と誰もいない所でつぶやいた。
 おそらく「竹千代を除いて」と人前で言わせたのは、竹千代にそれを聞かせてドラマにするための脚本家のご都合。ウソ。
 限られた時間の中で描かねばならいという制約の中で、こうしたご都合も仕方ないとは思うが、こうしたウソが人物のリアリティを少しずつ失わせていく。

 秀忠、秀頼、淀、家康という人物たちの中で、江だけがどうも成熟していない子供で魅力的でない。


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AKB48コント番組『びみょ~』~私がやりました!

2011年10月06日 | アイドル
 ひかりTVで放送されているAKB48のコント番組『びみょ~』。
 面白かった!
 放送第1回の内容はこんな感じ。
 (以下、ネタバレ。オチも書いています)

★「稽古場」
 SPR(札幌)48の新人として前田敦子さんが稽古場にやってくる。
 まわりのAKBの先輩たちから様々な質問をされる前田さん。
 指原莉乃さんは偉そうに先輩風。
 「センターを獲るのが夢です」と語る前田さんに対して、指原さんは「甘いね。あたしがセンター獲るのに何年かかったと思ってるの?」と上から目線。「あたしのダンスの切れについて来られるか!?」とキレのある(?)ダンスを披露。
 すると前田さん、「わたしには無理です」。
 すると指原さん、「泣き言を言うな!」と前田さんの頬をたたく。
 そしてオチ。
 コントの世界から現実に戻って、前田さんを始めとするAKBのメンバーが指原さんのコントにダメ出し。
 「さっし~は間が悪い」
 「滑舌が悪い」
 「テンポが悪い」
 「恥がある」
 「こういうのはやりきらないといけないんだよな」
 そして、指原さんも本音をポロリ。
 「このコント、本当につらかった」
 さっし~にとって前田さんはリスペクトする大先輩であり、上から目線で頬をたたくなど、絶対に出来ないことなのだ。
 そして最後のオチ。
 ひとり落ち込んでいる指原さんの所に清掃のおばさんがやって来て「邪魔なんで早く出ていってもらえませんか」

 指原さんはやはりイジられ役なんですね。

★「鳥小屋」
 峯岸みなみさん、横山由依さん、渡辺麻友さんが、東北の男子高校生に扮して、ズーズー弁でAKB48を語るという内容。
 三人は飼育係で、鳥小屋を掃除しているという設定。
 このコントの面白さは、アドリブのもたらす微妙な緊張感だ。
 たとえば、峯岸さんがなかなか自分の推しメンを語らない所は、彼女のアドリブだろう。
 なかなか言い出さないで、独特のタメを作っている。
 それを横山さん、渡辺さんがどうアドリブでリアクションするか。
 これが楽しい。ライブ感というか、独特の雰囲気を作っている。

 また峯岸みなみさんはコント全体を仕切る司令塔。
 ぐるぐると高速回転する彼女の頭の中を考えるとエキサイティングだ。
 横山由依さん、渡辺麻友さんは役者の才能があると僕は思っているが、この田舎の高校生への化け方が見事!
 コントの内容よりも、彼女たちの演技(せりふまわしや表情)の方が楽しい。
 せりふまわしや表情だけで、人を惹きつけてしまうのって才能だ。

 ちなみにオチは、峯岸さんの推しメンは<峯岸みなみさん(みいちゃん)>で、横山さんとまゆゆが「フレンチキスのみいちゃんはいいべ」とユニット名を間違えるというオチ。
 AKBファンでなければ、わかりづらいオチですね。
 そして峯岸さんと渡辺さんが掃除のほうきで対決を始め、なぜか横山さんがふたりにほうきで叩かれる(笑)

★「フェロモン刑事」
 泥棒役の仁藤萌乃さんに刑事役の北原里英さんが尋問する。そこへフェロモン刑事の河西智美さんがやって来てお色気で尋問するという内容。
 まず北原さんのツッコミが楽しい。
 コソ泥メイク(AKBINGOでもお馴染み)の仁藤さんの「あっしの顔が悪人に見えますか」というせりふに対し、北原さんが「どっから見ても悪人だろう!」とツッ込む。
 このツッコミ方が可愛い。
 そして、いくつかのこうしたやりとりを経て<フェロモン刑事>が登場。
 お色気で自白を迫るフェロモン攻撃に、仁藤さんは鼻血、白目。←仁藤さん、good job!
 オチは「犯人だと認めたらイイコトしてあげる」と語るフェロモン刑事に、まわりの男性制作スタッフが「私がやりました!」「僕です!」「自分がやりました!」と飛び込んでくる(笑)。

 というわけで始まったAKB48のコント番組『びみょ~』。
 ファンびいきかもしれないが、内容は『びみょ~』などではなく、結構クォリティが高いと思った。
 大島優子さん、板野友美さんのコントもよかった。
 第2回は本日23:30、ひかりTVにて。
 毎週の木曜日のこの時間が楽しみだ。


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朝霞公務員住宅建設~政府・官僚の言葉を疑え!

2011年10月04日 | 事件・出来事
 朝霞公務員住宅建設については、あやうくダマされる所だった。

 財務省の説明に拠れば、朝霞公務員住宅の建設費用は105億円。
 この朝霞の新築住宅に周辺の公務員住宅に住む国家公務員を入れ、空になった公務員住宅を115億から125億で売却。
 結果、10億から20億の収益を出す。(115~125億-105億=10億~20億)
 収益が出ていいことだと思っていたが、よく考えると、これを造らなければ105億円が浮く。
 その建設予定地を民間に売れば、さらにお金が入ってくる。
 この方が国庫に入る収入ははるかに多いし、合理的だ。
 今ある公務員住宅が老朽化して倒れそうで、どうしても新しい所が必要だというのなら、まだわかるが、そんな切実な声は聞こえてこない。

 現在、言われている公務員住宅の家賃も問題だ。
 公務員法の規定で、この公務員住宅の家賃の算定基準は、1平方メートルで500円と格安。
 朝霞の例をとってみると、ここでの普通の家賃相場は13万円。ところがこの算定基準で公務員住宅の家賃を算定すると3万円。
 実に10万円も安いことになる。
 つまり一般企業でいう住宅手当を10万円ももらっているということ。
 公務員の給料は安いと言われるが、この10万円を給料として考えれば、それなりの金額になるのではないか?

 民主党は事業仕分けで、朝霞の公務員住宅の建設凍結を決めた。
 「凍結、よくぞ決めた」とその当時は思ったが、今となっては<凍結>という言葉は<解凍して解除出来る>という意味であることがわかった。

 これらのことが示すように、政府や官僚は巧妙に人をダマす。
 朝霞の住宅を造れば15億~20億の利益が出るということのみを語り、造らなければ105億円が浮くことを語らない。
 公務員の給料が安いことのみを語り、その裏にある陰の住宅手当10万円のことは語らない。
 <凍結>という言葉は<いずれは解除する>ということで、<中止>とは違う。

 この国はまもなく1千兆の借金を抱える国になるのである。
 財政破綻してギリシャのようになるのである。
 人生を半分生きた我々はいいが、これでは子供達や若者がかわいそうだ。
 いい加減、無駄遣いをなくして、自分だけがよければいいという精神は改めて下さい。
 豊かな天下り老人は、自分が死んだ後の世代のことを考えて、持っているもの(既得権益)を率先して捨てて下さい。
 民主党は期待はずれ、というか完全に裏切り、詐欺。

 最後に感情的な事象をひとつ。
 江東区東雲にある公務員住宅。東京スカイツリーやレインボーブリッジが見える豪華な住まいとのこと。
 ここの家賃相場は3LDKで1ヶ月20~22万。
 ところが、公務員住宅は4万円!!


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江~姫たちの戦国 第38回「最強の乳母」

2011年10月03日 | 大河ドラマ・時代劇
 乳母・福(富田靖子)の人物造形が面白い。
 前半、どうして福は、あんなに江(上野樹里)と竹千代を引き離したがるんだろう?と思って見ていた。職務に厳格で忠実な乳母なのか、などいろいろ考えたりして。
 しかし、その答えは後半に用意されていた。
 福の行動理由は<父親の復讐><豊臣家を滅ぼすこと>。
 江に対しても<秀吉の養女>であったことに反感。
 ここに来て、濃い強烈なキャラクターが登場したものである。
 今までこれほど江に敵対したキャラクターは秀吉以外、いなかった。
 さて、この対立どう描かれるか?
 福の恨みの根の深さを考えると、甘いお姫様の江は完全に圧倒されそうな気がしますが……。

 秀忠(向井理)の将軍就任に関しては、すっきりしなかった。
 「秀頼様が天下を治めることが良きことなのか?」(秀忠)
 「私は天下を太平にしてほしいのです。力をお持ち下さい」(江)
 太平の意思を持つ者が権力を持って、世を治めていくことには合意するが、秀忠が将軍になったら摩擦は大きくなり、災いのもとになることは明白。
 実際、淀(宮沢りえ)は激怒しているし、完全に家康の手のひらの上で踊らされている。
 これは明らかに描き込み不足。熱海の温泉での5分の会話で片付けてしまうことではない。
 もっと悩みに悩んで、放っておけば家康が豊臣を滅ぼすいくさを行うことになり、それを妨げるために「自分が将軍という権力を持つしかない」と最後の最後に秀忠が決断するくらいに描き込まなければ説得力がない。
 このあたりが、あっさり薄味なんですよね。

 もはやこの作品に本格ドラマは期待していないのですが、ドラマを面白くするのは、人間の強烈な情念。
 だから福が面白かったし、ラストの淀は迫力があった。
 江の言葉はすべてきれいごとで、上すべりな気がする。


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