あらためて年金の話し――長妻さんの講演より
こば☆ふみさんから教えていただきました。
信州は伊那で開かれた2月9日の民主党長妻昭さんの講演会のまとめが、加藤学さんのブログに載っています。
あらためて長妻さんの言葉から年金問題を知ると、あまりのすさまじさに怒り心頭です。
講演内容のメモを取っていただいた方から許可をいただきましたので、ここにも掲載します。
長妻昭議員講演要旨 「どうなってる、どうする私たちの年金」
① 道路特定財源に関連して多数の天下りがあり、多くの随意契約が行われている。(税金の無駄遣い)
② 会場の人の七割くらいがまだ社保庁に年金確認をしていない・・・どんどん行って確認して下さい。
③ 年金問題は本来ならば年金担当課長クラスで処理できる話であったが、役所が問題に対応しないため、総理大臣にまで問題が上った。国民をなめている。
④ 年金を取り戻した人の最高額は2,800万円余(96歳)、その次が2,750万円(87歳)1,000万円以上が81人以上に上る。(これらは社保庁調査でなく偶然に見つかったものがほとんど。)
⑤ 3月末までに年金特別便が850万人に届くが、それらは「ほぼ記録が抜け落ちている国民」を対象。
⑥ 厚生年金は昭和17年から、国民年金は昭和36年から始まった。
厚生年金を創設した官僚の回顧録には……
「年金をどうやって使うか?」
「巨額の積立金で日 銀総裁よりも大きな権限を持てる……」
「天下りも何千人もできる……」
「どんどん使える……」
ということが書かれており、制度創設当時からそんな ことを考えていた。
今、その通りのことが起こっている。
グリーンピアなど……すでに6兆円が年金以外に使われていた。(参加者に現在の政府は無駄使い しているか?の質問にほぼ全員が挙手した)
⑦ 紙台帳の照合は社保庁解体前の2年間で終わらせるように要求しているが、厚生労働大臣はあいまいなことを言っている。
8億5千万件の紙台帳が残っており、コンピュータ入力の記録と照合し正しくするように政府に強く要望している。
⑧ 2年後の社保庁解体に向けて来年度予算には3,300万枚の紙台帳処理の費用しか計上されていない。25年かかる。国家プロジェクトでやるべき。
⑨ 第三者委員会に査定を依頼しても10年後でないと自分の番にならないのです。
⑩ なぜこんな問題が起こるのか?
永田町の外国人記者曰く。
「官僚と政治家の戦いなどということは考えられない……官僚は政治家の部下であるはずなのに、日 本では官僚に口出しできない。人事権を官僚が握り、大臣には任命権がない。」
(防衛省守屋次官と小池大臣の罷免・辞任事件など、おかしなこと……)
⑪ 中央官庁には130人の局長さん以上の官僚がいる。
民主党が政権を取ったら、その130人全員から辞表を預かり、人を見て任命する。
政党・大臣が人事権を 持つことが根本的に重要なこと。政治家がしっかりしないと……
(現政権のように)天下りバンクなどを作っている場合ではない。
⑫ 年金は組織と制度を見直すことである。
民主党では「国税」として納めてもらう。
今のような財務省のチェックが無い特別会計では21兆円の年金(厚生・国 民・共済など)を官僚がチェック無しで使えるために天下り団体へ資金が流れる。
(そのため、利権を持っている与党・官僚は法案に反対する)
⑬ 国からの天下り28,000人、4,500団体には半年で6兆円の税金が流れている(平成18年度半期)
⑭ 官僚をコントロールできる政権でないと年金(を含めた)「改革は出来ない!」
⑮ 日本の年金積立金150兆円の中からグリーンピアなどへ流れた。
⑯ HAT‐KAZシステム(ハット-カズシステムと読みます)が日本の問題である。
H=ヒモ付き補助金システム
A=天下りシステム
T=特別会計システム
KA=官製談合システム
Z=随意契約システム
昨日の国会でも
「一人に対して4回の天下りを国が斡旋しており(平均年収2,000万円くらい)これは 異常。
国家公務員法違反ではないか?」
と追求した。
⑰ 一般会計(80兆円)+特別会計=209兆円の財政支出から個別に精査・計算して15.3兆円の縮減が出来るはず。
自民党は「根拠を示せ」というが、彼等に「では自民党はいくら削れるのか?」と聞いても返事は無い。
政府に聞くと400億円だという・・・会計監査のデー タ。
民間のコンサルタントに聞くと放漫経営の企業なら3割は無駄を省けるという。
⑱ 質問
「年金問題は政治家が悪いのではなく、役所が悪いのだと思う」……
答
「年金記録の破棄を命じた官僚3人(存命)への国会(予算委員会)での質問を提 案したが反対しているのは自民党の理事たちである。
民主党提出の年金流用法案を国民の反発を恐れて否決せず、議論せずに期限切れに持ち込んでいるところを みても、自民党は官僚とつるんでいる。
(以上)
80年代、ことに90年代後半に押し進められた行政改革の大きな目的の一つが、
「官僚主導で行われていた政策形成を、本来の担い手であるべき国民の代表である政治家の手に取りもどそうとするものである。此も云うまでもなく、中央の『行政府』の権限を縮小し、政治家ないし政党が実質的な権限を獲得しようとする改革である」
と、多くの審議会・会議等で委員をされ、「中央省庁等改革基本法」の制定過程にも関わった東京大学公共政策大学院森田朗先生は言ってます。
が、結局、コイズミ純一郎、アベ晋三氏らに見られたように、総理大臣が圧倒的な力を見せつけるまでになっただけでした。
また同時に、実質的に自民党一党独裁が長年続いたおかげで、政権与党の自民党と、自民党にかぶりついて与党の立場を死守する公明党が官僚と固く結びついて、互いの利益を守り合い、かばい合うだけの現状は全然改革されてません。
中央省庁再編等の行政改革は橋本総理のときですが、“改革”を叫ぶのが十八番だったコイズミ氏も、その行政改革の成果に乗っかったり丸投げをしたり。
離れたりくっついたりしてカンバンを新しくしたり付け替えたりした省庁再編も、政治が一向に変わらないのですから効果なしです。かえって逆効果かな? 巨大省庁、国土交通省みたいに。