武田良太防災担当相失格<本澤二郎の「日本の風景」(3452)
<15号台風災害対策に役人原稿棒読みの開き直り答弁>
9月9日の15号台風から23日目の10月1日になって、ようやく衆参の防災対策委員会が開かれた。自公の怠慢である。民放の映像でちらと見た感じでは、武田良太というまことに評判の悪い防災担当相が、役人用意の原稿を棒読みしていた。むろん、反省どころか、菅や安倍に見習っての開き直りの答弁だった。失格もいいところだ。小選挙区制の弊害を代表するような、いい加減な閣僚だ。政治家とは言えない。
「死の恐怖の3時間」から生還したと思いきや、今度は情報化社会から一瞬にして「原始社会」に放り込まれてしまった千葉県民の目線で採点すると、零点以下だ。自衛隊支援要請もせず、準備していた大量の発電機さえも隠ぺいした千葉県知事の森田健作と大差ない。
CIAに対抗したこともある亀井静香は、武田をどう採点するだろうか。
<やくざ・暴力団との関係など不気味な政治屋>
政界には「疑惑のデパート」という言葉が昔から使われているが、武田にも同じような評価が下されている。ネットを開くと、彼の武勇伝が少なくない。
そのはずで、神社本庁の神道政治連盟や日本会議のメンバーである。右翼も右翼が、彼のトレードマークだ。安倍晋三とは思想信条がぴったりの二階派という。二階と菅の推薦に安倍も喜んだのかもしれない?
やくざとの関係を、いち早くすっぱ抜いたのは朝日新聞社のAERA。取材の資金も豊富なので、正確だとみたい。やくざを取り締まる警察を監視・指揮する国家公安委員長でもある。
この安倍と菅の人事には、度肝を抜かれる。安倍の体質を反映している。「やくざ暴力団を引率する国家公安委員長」というのも、前代未聞であろう。70メートルの突風に痛みつけられた房総半島のことなど、武田には眼中にないと見た。
<福岡県は千葉県・神奈川県並みのやくざ跋扈の土地柄>
福岡県というと、筆者には宏池会の田中六助が目に浮かぶ。記者時代に岸信介の娘・洋子を、安倍晋太郎と競争して負けてしまったのだが、今から分析すると、出自の点で岸の眼鏡にかなわなかったのだろう。
六助には、一度ロッキード事件で特ダネをもらったものの、保守本流の総裁候補の宮澤喜一にかなうことはなかった。朝からビフテキは健康によくない。
福岡県・千葉県・神奈川県は、やくざ暴力団が跋扈する風土で知られているため、いいイメージはない。しかし、警察力は福岡県警が抜きんでている。
「フィリピンのドゥテルテ大統領」のレベルには程遠いが、福岡県警のやくざ対策は、他県に比べると、優等生である。
やくざ・覚せい剤・強姦・性奴隷が、魅力的な女性のすべてに襲い掛かってくるレイプ文化の日本であるため、いまのフィリピンは入れ墨やくざ退治をした女性天国である。女性が安心して暮らせるのだから。女性の支持でフィリピン大統領の人気は圧倒して、他の追随を許さない。
「木更津レイプ殺人事件」の被害者は、強姦・性奴隷を強いられながら、110番通報をしなかった。日本の女性のすべてが入れ墨やくざに抵抗しない、それゆえのやくざ天国なのである。武田なら十分、承知のはずだ。千葉県警を指揮できるか。
<防弾チョッキで選挙戦を戦った山本幸三>
防災担当と国家公安委員長と改憲軍拡がどう結びつくのか?
「中選挙区制の時代、宏池会の山本幸三は、総選挙のさい、武田との対決場面で、防弾チョッキを着て演説して回った」というエピソードは本当かもしれない。本人に聞いてみたいものだ。友人に山本のスポンサー的人物がいるので、いずれ確認できるだろう。
千葉県には、もっと怖い話があるが、活字にするのは先のことにしたい。
<元防衛施設庁長官も激怒した15号対応>
昨日、知り合いが発行している「防衛ホーム」という新聞が、郵送されてきた。普段はあまり開くことはないが、15号台風の記事が載っているはずと直感したものだから、開いて見た。
案の定、元防衛施設庁長官の北原巌男が、台風15号のタイトルで怒りを爆発させていた。
防衛庁で仕事をしてきた御仁の「この程度の台風被害で、今回のような対応をしていたのでは、年内にあるかもしれないもっと強烈な台風の襲来や、来るべき大地震等が生起した場合、どうなってしまうのか」という檄文を共有したい。
彼はまた「今回の復旧作業の遅れを、やむを得なかったとは、とても思えない」と率直な印象を述べている。
<遅すぎた伊丹からの219人支援活動>
筆者は、何回も5千人から1万人の自衛隊員を出動させることで、停電や屋根の崩壊に目途が付けられた、と訴えてきたのだが、この新聞は「各地の災害派遣」のページで、伊丹から木更津駐屯地に駆け付けた第36普通科連隊のことを伝えている。
隊員は219人と車両46両と、いかにも小人数である。しかも、伊丹駐屯地を出発したのは16日のことである。大災害から1週間も経っていた。
政府は人事に明け暮れ、千葉県知事は公舎に潜り込んだ結果である。政府も自治体も、何もしていなかったことになる。
衆参の災害対策委員会は、野党の不勉強と新聞テレビのいい加減さで、国民は今回の無様な実態を、義気審議で知ることがなかった。
<シンゾウはどこ吹く風で軍拡論で発破>
この新聞によると、清和会OBのいう安倍の小僧は、9月17日市ヶ谷の防衛省で訓示していた。いつもの調子で「自衛隊を誇りに思う」と賛辞、あとは「宇宙・サイバー・電磁波の強化」を叫んだ。
15号台風はどこ吹く風で、ついに触れることはなかった。防衛の任務は防災である、との認識ゼロの首相にあきれるばかりだ。
防災より、貧困よりも、人殺しの武器弾薬しか目がない。悲しいことに、被災地の館山市で、生活に困窮した家族が、この日、幼児を殺害、心中しようとして夫妻が逮捕された。
国民の願いは生活第一、福祉優先である。そのための防災対策なのだ。武田に理解できるだろうか。
2019年10月2日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)