アメリカに代わる、新しい世界帝国
サブプライム債券等のギャンブル投機を発端とする金融恐慌の中、ギャンブル投機に明け暮れたメリルリンチ、リーマン・ブラザース等が倒産=欧米の投資銀行の解体・廃業し、投資銀行への「規制が強化」された。
投資銀行(証券会社)は、ギャンブル投機への参加を規制・禁止され、商業銀行(日本で言う通常の銀行)に「看板を取り替えた」が、実態的には、子会社として別のデリバティヴ会社を作り、そこに資金融資を行い、平然とギャンブル投機を続けている。今次の恐慌を引き起こし、倒産したはずのリーマン・ブラザースも、会社名だけを変え、平然と相変わらずデリバティヴ・ヘッジファンド取引を継続している。
金融恐慌のような「大きな価格変動が繰り返される時期」程、デリバティヴ投資は「威力を発揮する」。
銀行倒産劇を演じて見せ、「今までの借金を破産手続きによって踏み倒し」、政府から「救援資金を無料奉仕」してもらった銀行群は、その「救援資金」を所持したまま、別会社を創立し、暴落と急騰を繰り返す金融市場を「操作し」、莫大な利益を上げ続けている。
この救援資金を出した欧米諸国は、その資金提供によって大幅な赤字に追い込まれ、ヨーロッパ金融危機・ドルの暴落といった「国家破綻」の危機に追い込まれている。一方、この救援資金を持ち逃げした銀行は、別会社を創業し、欧米諸国に代わる22世紀の世界の中心国家となる地域に、その救援資金とギャンブル投機の利益を投入し始めている。
19世紀以降、ポルトガル、スペイン、英国、アメリカと続いてきた、世界帝国=世界の覇権は、こうして、アメリカから「次の世界帝国」に移動し始めている。