ドル高に目を奪われがちですが、中国でも元高です。多くの日本人は気づいていないかもしれませんが、給料以外の生活費レベルはもう上海・北京当たりだと変わりません。この状況で日本企業がこれらの地域に進出するよりも土地がタダ同然の地方などで補助金支給を受けて生産していたほうが合理的です。では何故すぐに切り替えられないのでしょうか?代々続く無能経営陣の責任問題に発展するからだと思います。これらのエセ経営陣が引退するかお亡くなりになるまで損出を隠し続け会社は倒産するか大きく毀損するかもしれません。後進国に進出し、廉価な賃金で雇用を増やし現地からも感謝される時代はとっくに終わっているのです。技術は盗まれ、会社すら横取りされてしまう事例まで発生しています。要は外国には外国の法律なり慣習があり、国内で安全や権利を法に守られている状況とは違うのです。来春以降には、流れを読み間違い円安で萎む企業が出てくる反面、状況を的確に捉え、輸出を伸ばしてくる企業が続々現れてくるはずです。その時はGDP世界第2位中国の富裕層は大切なお客様です。要は経済は生き物であり、学生時代の偏差値とは違い変化を歓迎し、損得を見極める嗅覚が重要です。
例えば、チャイナ・マネーによる不動産投資だ。カナダ、豪州やシンガポールでは、中国人による買いの影響で、住宅価格が上がり過ぎたとして、市民の間で反発が高まっているほどだ。今後は東京都心などの不動産の買い漁りに拍車がかかるかもしれない。元は円に対して50%以上も高くなったから、中国人にとって東京などの不動産は割安もいいところだ。中国国内の不動産市況が悪化しているのに比べ、中国人投資家の間では2020年の東京五輪に向け、相場が上昇するとの期待も高い。
肝心なのは、日本企業である。プラザ合意後、米半導体産業はドル安に技術開発戦略の強化などを組み合わせてインテル、マイクロンが息を吹き返した。自動車ビッグ3も小型車開発の時間を稼いだ。
今回、日本企業はどうするのか。円安に伴う収益増を国内外の株主への配当に回して喜ばせるだけなら、日本全体への波及効果に乏しい。割高になった中国での生産に見切りを付けて、本国にカムバックする戦略に本格的に取り組んだらどうか。 (産経新聞特別記者・田村秀男)