実語教(傳、弘法大師作、寺子屋等で使用。「実語教註慈賢(鎌倉時代の天台座主)」「実語教諺解(覚賢慧空)」等より解説)解説・・・25
・夫れ習ひがたく忘れやすきは 音声の浮才。また学び易く忘れがたきは 、書筆の博芸なり。(音声とは節のある経文等のこと。書筆の博芸とは物を書く道、博芸とは博学のこと。声明について声の品を明かさば、音響きあって妻戸を押し開くようならば福聚官途自在なり、或いは音はただ神の如くなるは武将軍の相なり、或いは音和かに下つよく聞え詞に弁舌あってさわさわと聞こえて癖なきは善根を修して往生の相なり、或いは音に匂ひあるは王相なり、或いは唐声にして匂ひなきは凶相なり、或いは穴の中・坪の中に頭を差し入れて物を言うように籠り声なるは定めて長命富貴自在の相なり、或いは音細くして遠き人の聞けばかすかなるは貧賎にして長命なり、或いは音初めは大にして末細く聞こゆるは不運・短命の相なり、或いは音散りて聞ゆるは無福・短命の相なり、出家の人、殊に音声を嗜むものなれば先ずひびきを習う第一の秘事なり。弘法大師の御撰作・筆注根源集第十三巻に「夫れ文字とは任運の姿也、成劫よりこのかた空の如くしてその形なし、極光浄天より一人の天人湧出す、大梵天となる、その後様々四大順次して地水火風空の畜獄、有情森羅万象始めて成る、此の筆平上去入とは成劫・住劫・壊劫・空劫となる也、仏法の源起を察めんと思はば尤も文字を以て貴敬すべきもの也」)
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