福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

坂東観音霊場記にみる二十八番滑河山龍正院 (滑河観音)の縁起

2010-05-29 | 法話
坂東観音霊場記にみる二十八滑河山龍正院 (滑河観音)の縁起
「二十八番下総滑河
総の下州楫取郡滑河山龍正院は往古此の地の領主小田宰相将治の開基。伽藍締講の制は慈覚大師の上足、修円法師の功なり。本尊十一面の像は、常州下総之境川、朝日の淵より出現なり。長さ一寸二分、竜宮の鋳造にして閻浮檀金の聖容なり。当寺本尊の出現の由来は・・承和五年戌午の夏・・山野に雪積て・・凶歳にて民家衣食欠く。・・ここに当地の領主小田宰相将治は。常に人を憐の情厚し。特に慈覚大師の門に入り深く三寶帰依の人なれば・・老若の餓死を見るに忍ず、九穀を出して施行を布、倉庫を傾て金銭を散ぜどもなお扶助の力普く及ばず。若しそれ人力にて不能事は佛神の冥助を請うほかなし、かって聞く、妙法蓮華経は法王髻の中の如意宝珠にて、世に萬寶を雨ふらすの徳ありと。ねがわくはこの経力勝能をもって民家のために災厄をのぞかんと。壱于を構え法華千部の講会を設け、二十八部の頓写を行ず。」満日に至り、小女現じ、我は朝日の前という。・・我いま汝が志願を助んと。・・此の地の小田川の淵より乳色の霊水湧出る。汲みおきて民家の患いを避けよと。
・ ・・小田川河岸に至るに・・老僧居たまふ。告げて曰、閻浮檀金の大悲の像、いまこの小田川の淵より出たまふ。至心に此の像を持念せば、所願必ず成就すべし。且つ此の淵より沸き出ずる甘露の乳水を嘗めよ。・・・将治感涙を流して尊像を拝し、又湧出る乳水を掬するに、其の甘味世にたとふべきものなし。試に枯れたる草木に注げば、枯葉は緑の色を出す。即ち民家に教え汲与るに、飢えたるものは気力を復し、死したるものは蘇生。将治一宇の香堂を建て、小田川出現の像を安置す。是此の滑河寺の濫觴なり。・・・
巡礼詠歌「湧出る薬の水をなめがわの淵に誓の船ぞ浮かべる」
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