還暦求聞持成満の記 その61

８月２０日
朝二時頃閼伽水を汲みにいきました。閼伽水を汲むために岩場にすわり込もうとすると足元で動くものがあります。懐中電灯をむけるとなんと蝮がわたしの膝のすぐ下で向こうに動いていくのが見えました。膝との間は２０センチもありません。さすがにぞっとしてその場からとびのきました。前の行者のＴ師からも島村副住職からも「閼伽井戸には蝮がでる」といわれていたので注意していたつもりですがみすごしていました。蝮が自分で逃げてくれたからよかったのですが本来ならかまれてもしかたない状況でした。お大師様に助けていただいたとすぐに閼伽井戸にお祀りしてあるお大師様を拝みました。
岩の上の明星禮では一面の星空を見上げつつ自分も衆生もこのような広大無辺の仏様の福徳と智慧をいただいているのだと確信できました。そして自分の現世での人に言えないような悪業もなにかきれいになっていく気分になりました。
行そのものは後夜では睡魔に襲われ不十分でした。出堂して廊下に無数にかけてある成満札をみあげると江戸時代の無数の札にまじって最近でも３年間連続で行じた尼僧の札があります。勇気ずけられます。