「神祇秘抄」・・2/22
二、神の名體の事
問、神は名體如何。
答、或人云、神は無體無名なり。強いて之を論ずれば法花を以て名體と為し壽命と為す。是の故に无量无邊也。之を法性常住の理と云ふ。又般若を以て力用と為す。之に依り无始无終なり。之を法爾不及の智と云也。爰を以て佛法縁起以来、假に名けて神と云ふ。天照太神は大日靈貴(おおひるめのみこと)也。上に載する所、夫れ世界を論ずるに、元初は鶏卵なり云々。彼の鶏卵とは諸法不生の空體を指す。其の裏より天地の両盤を建立す。是則ち二果の寶珠(天と地)也。法には因果と顕はれ、世界には日月と現れ、人には両眼となり、鎮まりて天地人の化用を彰はす。皆是神の力用、無體を體とし無名を名とするなり。故に天照太神、又大日と號すなり。