大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 1月11日 バス

2014-01-11 18:07:39 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 1月11日 バス



 これは私が通っている学校の先生(以下Aとする)が話してくれた話です。

 Aは仕事が休みの日には海外へよく旅行に行っていた。
ある日、グランドキャニオンで見る朝日と夕日が綺麗と聞いたAは、友達と一緒に旅行しに行った。
朝日を見る為にバス停に行ったらしいのだが、時間になってもバスが来ない。
係員の人に聞いてみると、10分前には出発したとのこと。

「 さすがアメリカだなあ。」

とかAは呑気に考えていた。

 朝日は諦め夕日は必ず見ようと思っていた。
しかしAの友達は疲れが溜まっていて寝てしまったらしい。
わざわざ起こすのも可哀想だったからA1人で夕日を見る事に。

 さっきは10分前に出発していたからAは20分前にはバス停に着いていた。
するとバスはすぐに来た。

「 よかった~。」

と安心したのもつかの間、何か違和感を感じたのだ。

その違和感はすぐに分かった。
何ヵ所か回ってきているはずのバスなのに誰1人乗っていない。
不思議に思いながらもAは運転手の斜め後ろに腰を落とした。
すると黒人の男3人がバスに乗り込んできた。
 男達は何故か運転手に100ドルを支払った。
普通は1ドルでいいのに、Aは不安に感じていた。
さらにその男達はAの前、Aの隣、Aの後ろに腰を落とした。
そして、しきりに話し掛けてくる。
 バスは山道に差し掛かった。
その時Aはアメリカで多発している事件を思い出した。
その事件とはバスの運転手に多額のお金を払い、山中で降ろし、強姦したうえ殺すというものだ。
状況がピッタリ合った瞬間、

“ 私レイプされて殺される。”

そう思った。

“ なんとかしなければ・・・。”

Aは思った。

“ 運転手に喋ったら助けてくれるかも・・・。”

Aは固まった体を無理矢理動かしながら、運転手に話し掛けた。

「 ミュージカル、どこかでやってないでしょうか?」

と言うと、

「 NO・・・。」

と一言。
 すごく会話がスローモーションになっていたらしい。
すると、さっきまでしきりに話しかけてきていた黒人はもう話しかけてこなくなった。
そのままバスは無事にグランドキャニオンに着いてAは転がる様にバスを降りた。

 後日談になるが、Aはこの事をアメリカに暮らす友人に言ったらしい。
すると、「今こうやってAちゃんと話せてよかった。そういう風な状況で助かる確率は1%なんだよ」と言われた。

その1%の理由は、多額に支払われた運転手の気分次第。
多分、そのときの運転手は、Aを可哀想と思ったから山の中で降ろさなかったんじゃないかと。












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