日々の恐怖 1月12日 摩耶山
今日はちょっと怖かった話です。
もう、15年前くらいになりますが、そのころ神戸に住んでいて神戸の摩耶山というところに山登りに行ったときの話です。
あんまり山の上でうろうろしすぎて降りるのが遅くなり、ケーブルの最終に間に合わなくなり、しょうがないから、歩いて降りていました。
あたりは、もう薄暗くなって黄昏時です。
足元が石段で暗いから足元を見ながら降りていました。
すると、石段の石には、”大正XX年”とか年号が彫ってあるんです。
半分、土に隠れているのでよくわかりませんが、墓石のように見えました。
石段、全部がです。
「 なんで、階段に墓石使う?」
とか、妻と言いながら降りていくと、山道の向こうから人が歩いてくるではありませんか。
曲がっている山道にチラチラ見え隠れしています。
私はお遍路さんのように見えたんですが、妻は白い着物を着た髪の毛の長い女の人のように見えたそうです。
買い物かごのようなものをさげていたとも、言っていました。
しかし、歩いている途中、出会うことはありませんでした。
道のどこで消えたのか。
一本道なのに、すれ違わなかったんですけどね。
場所はちょうど青谷あたりだったと思います。
確か、柳田国男の本に黄昏時には、来る人に挨拶をしない習慣がある村のことが書いてあったと思います。
それは、相手が誰かわかりにくいし、人間ですらないかもわからないからです。
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