日々の恐怖 1月17日 お散歩
2年半前、父が亡くなった時のお話です。
夕方、弔問客のおもてなしをしていた時にあったことです。
午前中からほぼ休むことなくお外で犬は吠えていたんですが、私たちは、かまってあげることも何もする暇もなく、時折、近所のおじさんが様子を見ていてくれたようでした。
夕方になり、父の友人(少々霊感あり)が弔問に来た時のこと。
それまで、ぎゃんぎゃん吠えていた犬がぴたりと静かになったのです。
“ 犬まで死んだんじゃないんだろうか・・・・?”
と、小屋をのぞいても、小屋の中でぐーすか気持ちよさそうに眠っています。
すると、父の友人が一言。
「 さっき、アタシが来たときに、お父さんが散歩に連れていったよ。」
「 はっ?はいっ??」
思わず私は仏間に父がいることの確認。
(そりゃ動くわけないんですけどね。)
犬小屋にいる犬が、自分の家の犬であることを確認していました。
「 あ~、見えないよね。
でも、父さん、犬がつまらないだろうからって、嬉しそうに散歩に行ったの見えたよ。
そのうち帰ってくるから大丈夫じゃない?」
「 でも、犬、いるし。
リードつけてないんじゃ、危ないんじゃないの?」
「 体は連れてってないから、平気じゃない?
車にひかれることもないし・・・。」
父は、亡くなってからも犬の散歩に行ってくれたようでして・・・・。
それから、晩御飯までは犬は静かにしていました。
(晩御飯時には、「ゴハン~っ!!」とは騒いでましたけど。)
しかし、魂だけの父と、魂だけ連れてかれた犬。
残った体は大丈夫なものなんですね。
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