日々の恐怖 1月26日 修学旅行
中学の修学旅行で、京都に行った。
女子の部屋は恋愛話で盛り上がり、寝たのは深夜2時半頃だった。
自分は枕が変わるとなかなか寝付けないタイプで、3時過ぎまで眠いのに眠れない状態だった。
やっとウトウトし始めた時、隣に寝ていた子がモゾモゾと動き出した。
「 …、大丈夫…、…違うけど…。」
ごにょごにょと寝言まで言い出した。
あ~、また眠れなくなっちゃう、と耳を塞ごうとした瞬間、
「 6時半ですね。はい、わかりました。気をつけます。」
と、彼女がはっきりと言った。
寝言なのに、冷静でかしこまったような口調に意味もなく鳥肌が立った。
翌朝、6時に起床した私達は眠い目をこすりながら布団を畳んだり、着替えたりしていた。
今日の予定などを楽しくおしゃべりしていると、突然外から、
「 ボンッ!!」
と謎の爆音。
びっくりして部屋のカーテンを開けると、ホテルの前の大通りで車が炎上していた。
当然、私たちはパニックになり、教師の元へ走って行った。
聞こえてくるサイレン、ホテルのアナウンス。
とりあえず落ち着こうと、友達の手を握る。
昨夜寝言を言っていたあの子の手だ。
「 6時半、ぴったり。」
彼女はそう言ったあと、驚いている私を見て苦笑いした。
15年経った今でも友達だが、あの時の事を聞いてもただ微笑むばかりで何も答えてはくれない。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ