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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 1月29日 ディーラー

2014-01-29 18:16:25 | B,日々の恐怖




   日々の恐怖 1月29日 ディーラー




 以前勤めていた某自動車ディーラーでの体験談です。
お客さんが車の中で亡くなり、(自殺だったらしいです)、もう乗らないから売却したいと遺族から申し出があり、その車を引き取りに行かされたのが、当時まだまだ駆け出しだったSさん。
嫌々ながら車を回送してきて、地下の駐車場の一番隅に置いたそうです。
 翌日、出勤してみると、先輩方が何やら騒いでいる。

「 どうしたんですか?」

と訊ねると、

「 お前、例の車、地下に置いたよなあ。」

と聞いてきます。

「 はい、確かに置きました。」

と答えると、先輩は、

「 でも、そこに、あるんだよ・・・。」

と言う方を見ると、確かにあの車が表の駐車場に停まっています。
出勤してきた全員に質問しても、誰もその車を移動した覚えはないと言います。
 そりゃ、車内で人が死んだ車を用もないのに動かす物好きはいないでしょう。
取り合えず、誰かの悪戯だろうと言う事になって、またSさんが地下駐車場に戻す羽目に。
その日の閉店時、地下駐車場の電気を消しに行った人は、その車が隅に置いてあるのを確認しています。
 しかし、翌日も、朝来て見ると、またその車が表に出ていました。
改めて社員全員に質問しても、やはり誰もそんな事はしていないと言い張ります。
念の為、セキュリティー会社に連絡して、閉店後の入館記録がないかと調べてもらっても、誰も入っていないとの返答でした。
 その車、本当は自社でオークションに出品する予定だったのですが、次の開催日までまだ間があり、気味悪がった店長が懇意の業者を呼んで即日引き取らせたそうです。
その時業者さんの対応をしていたSさんが気付いたのは、その車の走行距離が伸びていた事でした。
 引き取った時、査定書を作って走行距離もチェックしていたですが、その時の距離より、何十㌔か、増えていたのだそうです。
その事実は誰にも言わなかったそうですが、

「 たぶん、亡くなったお客さんが、最後のドライブをしてたんでしょうねぇ・・・。」

とは、Sさんの締めくくりの言葉でした。












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