大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 9月1日 音

2015-09-01 20:03:50 | B,日々の恐怖


  日々の恐怖 9月1日 音


 昔、ばーちゃんから聞いた話です。
俺のばーちゃんちは九州の○○県の南部で結構な山奥です。
 当時、話を聞いたばーちゃんは82歳だった。
これはばーちゃんが14歳の時の話だ。
 ばーちゃんは女1人男9人の10人兄弟で育った。
ばーちゃんの1つ上の兄は不思議な死に方をしたらしい。
 ばーちゃんが育ったところに、神様というか見てはいけない何者かがいたという。
そいつは夏には山から降りてきて川へ下り、冬には川から山へ登るという。
 しかし誰もその姿は見たことはないのでそれが何者かはわからないのだが、それが山から川へ、川から山へ行くときに必ず音を鳴らすらしい。
 笛のような音で、

「 ピー、ピー、ピー、ピー。」

と吹きながら下ったり登ったりするという。
 それは、

「 はっきり聞こえるのか?」

と聞いたら、ばーちゃんはこう言った。

「 はっきり聞こえる。
みんなそれが聞こえると家に入り、聞こえなくなるまで外には出ない。」

実際にばーちゃんも、それを何度も聞いたらしい。
 ある日の夕方、兄は、

「 あの音追っかけてくる。」

と言い残し、引き止める母親の言葉も聞かずに出て行った。
 そして戻ってくるなりガタガタ震え、

「 みた、みた、みた。」

と布団の中に潜り込み、それ以上何も話さなくなったという。
 翌日、兄は高熱を出しそのまま帰らぬ人となった。
そのモノの名前を何と言うか昔聞いたが、今はどうしても思い出せない。
何かヒントになるような、他の地方で似たような話を知っている人はいないかと思い、お話しました。









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