日々の恐怖 9月8日 靴
小学校の頃、近所にお化け屋敷って言われてる家があった。
まぁ実際は屋敷って程でもない、少し大きめかな?ってくらいの日本家屋なんだが、小学生の感覚だしな。
その日は両親共に帰宅が遅くなるのがわかってたから、一人で冒険に行ったんだ。
いくつか噂もあったが、明らかに同級生が作ったような話もあったんで、実際は何もないだろうとタカをくくってた。
俺は日が沈んでから、懐中電灯と棒を持って、その家に侵入したんだ。
靴は履いたまま家に上がるのに、習慣上躊躇いがあったんで脱いで上がった。
それで、中はフスマは外れてて、障子も破れて、家財道具も見当たらない。
本当に放置されてただけの家で、ガッカリしつつも安心して帰ろうとしたんだ。
そのとき、俺、気付いたんだ。
“ あれっ、靴・・・・?”
靴がな、バカな小学生男子だから脱ぎ散らかしてたはずなんだが、綺麗に揃えられてたんだ。
その靴を履いて家に飛んで帰った。
8時半頃、TVを見てたら母親が帰ってきて、
「 あ、今日はちゃんと靴揃えてるね~。」
って・・・。
もちろん、そんなことはしていない。
それ以来、1度も靴を散らかさずに揃えてたんだ。
最初は怖さからだったけど、1年もせずに習慣になった。
最近まで特に変わったことは何も起こらなかったんだが、先週、男友達が遊びに来た。
帰るときに、
「 あれ、お前、俺の靴にさわった?」
って聞いたんだ。
もちろんそんな事はしていないから、
「 お前のくさい靴なんかさわらね~よ。」
って答えた。
昨日、帰ったときに靴を散らかしたままにしておいたが、朝になっても散らかったままだった。
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