日々の恐怖 9月22日 やりかけの物件(1)
うちは競売にかけられた不動産の調査を請け負ってる会社なんだけど、こないだ、前任者が急に会社に来なくなったとかで、やりかけの物件が俺にまわってきた。
まぁ正直うちの会社は、とある筋の人から頼まれた”訳あり物件”を取り扱うようなダーティなとこなもんで、こういうことはしょっちゅうだから、たいして気にもとめず、前任者が途中まで作った調査資料(きたねぇメモ書き)持って、遠路はるばるクソ田舎までやって来たわけですよ。
その物件はかなり古い建物らしく、壁とか床とかボロボロで、あちこちにヒビが入ってたり、湿っぽい匂いがしたりで、相当テンション下がってたんだけど、まぁとにかく仕事だからってことで気合入れ直して、せっせと調査を始めたわけですわ。
1時間くらい経った頃かな、ふと窓から外を見ると、一人の子供が向こうを向いてしゃがみこんで、なにやら遊んでるのに気づいた。
よそ様の庭で何勝手に遊んでんの?って注意しようかと思ったんだけど、ぶっちゃけ気味が悪かったんだよね、その子。
なんか、覇気がないというか、微動だにしないというか、一見すると人形っぽいんだけど、しゃがんでる人形なんてありえないし、でもとにかく、人って感じがしなかった。
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