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日々の恐怖 9月24日 やりかけの物件(3)

2015-09-24 19:23:02 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 9月24日 やりかけの物件(3)



 多分カビのせいだろうけど、きな臭い匂いとむせ返るような息苦しさがあった。

 こりゃ長居はできんなと思ってメモを見ると、風呂場は一通り計測されてて安心した。ただその下に、『・風呂場やばい』って書いてあった。

 普段なら「なにそれ(笑)」って感じだったんだろうけど、その時の俺は明らかに動揺していた。メモの筆跡が、書き始めの頃と比べてどんどんひどくなってきてたから。

 震えるように波打っちゃってて、もうすでにほとんど読めない。えーっと、前任者はなんで会社に来なくなったんだっけ?病欠だったっけ?

 必死に思い出そうとして、ふと周りを見ると、閉めた記憶もないのに風呂場の扉が閉まってるし、扉のすりガラスのところに人影が立ってるのが見えた。さっきの子供だろうか?

 色々考えてたら、そのうちすりガラスの人影がものすごい勢いで動き始めた。なんていうか、踊り狂ってる感じ?頭を上下左右に振ったり、手足をバタバタさせたり、くねくね動いたり。

 でも、床を踏みしめる音は一切なし。めちゃ静か。人影だけがすごい勢いでうごめいてる。もう足がすくんで、うまく歩けないんだよね。手がぶるぶる震えるの。

 だって尋常じゃないんだから、その動きが。人間の動きじゃない。とは言え、このままここでじっとしてる訳にもいかない。

 かといって扉を開ける勇気もなかったので、そこにあった小さな窓から逃げようと、じっと窓を見てた。

 レバーを引くと手前に傾く感じで開く窓だったので、開放部分が狭く、はたして大人の体が通るかどうか。しばらく悩んでたんだけど、ひょっとしてと思ってメモを見てみた。










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