日々の恐怖 12月11日 実家への帰郷(1)
東京の大学に通うM子さんから聞いた合コンの話です。
サークル仲間に無理やり参加させられた合コンは、予想通り人数合わせの様だった。
仲間の二人は合コンというより初めからカップルで参加していて、相手の男が連れて来た人も、さえない人数合わせの様で、まったくM子さんの趣味に合わなかった。
「 カラオケでも行こう。」
と言う二人の誘いを断ったM子さんは、居酒屋を出て駅へ向かおうとしていると、
「 二次会は行かないの?」
と声を掛けられた。
同席していたKさんだった。
同じ大学の先輩だと名乗ったKさんはかなりの美人で、男たちの注目を集めていたのを思い出した。
Kさんの誘いでもう少し飲んでいこうという事になり、駅前の居酒屋に入った。
「 M子さん、T県出身なんだって?」
合コンの失敗をネタに盛り上がっているとKさんが言った。
「 さっき自己紹介で言ってたでしょ。
夏休みはT県に帰るの?」
二日後からは夏休みだった。
「 どうしようか、まだ決めていない。
旅費が結構掛かるから・・・・。」
とM子さんが答えると、Kさんは、
「 T県のハイキングコースのゴミ拾いのボランティアがあるので、一緒に参加しない?」
と言った。
Kさんが所属しているアウトドア愛好会グループは、バーベキューキャンプを予定しており、T県のそのハイキングコースにあるキャンプ場のオーナーと契約して、ハイキングコースのゴミ拾いのボランティアを行う代わりに、キャンプ場を無料で使用させて貰える。
しかも、バーベキューの食材も提供してもらえるとのことだった。
「 どう?ボランティアだからバイト代は出ないけど、行きは私の車で一緒に行けば旅費も掛からないしね。
ただ、私達はその後の予定があるから、帰りは自分で何とかしてもらわなければならないけど・・・。」
実家には2年くらい戻っていない。
かなり旅費が掛かるので、今年も帰らない予定だった。
確かに片道分の旅費で済むし、野外でバーべキューというのも楽しそうだ。
「 じゃあ、行こうかな・・・・。」
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