日々の恐怖 12月30日 トイレの声
去年の夏か秋口頃の話です。
ウチは4人家族です。
父は会社、弟は部活で夜遅くまで帰らない。
夕方、晩ご飯の材料の買出しに母と私の2人でスーパーへ行った。
買い物を終え、家に帰ると父が帰宅していた。
父は帰ってきた私と母、というより母を見て驚いたような顔をしました。
「 どうしたの?」
と私が聞くと、
「 お母さんはトイレにいるんだと思った。」
と言います。
“ トイレの電気でも点いたままだったから、そう思ったのかな?”
と思いましたが、父は、
「 それもあるが、中から声が聞こえたから・・・・。」
と言います。
父が言うには、帰宅すると誰もいなかった。
鍵は開けっ放しで、電気が点いたままだった。
トイレの前を通ると中の電気が点いていた。
そこで、誰か入ってるのかと思い、
「 入ってるの?」
と聞くと中から、
「 入ってる~。」
との声がした。
随分とトーンの低い声だったので、今度は、
「 腹、痛いのか?」
と聞くと、また、
「 入ってる~。」
との声がした。
おかしいとは感じたが、腹痛がひどいのかと思い、そのまま着替えて台所でタバコを吸っていたところ、数分後、私達が帰宅したといいます。
冗談だと思い何度も確認しましたが、父は、
「 本当に聞こえたんだ。」
と言い、父自身も何度も首を捻っていました。
普通に考えるなら空耳か、父がボケただけなんでしょうが、とても怖かったです。
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