日々の恐怖 12月25日 カーテンの足
介護施設に働いているNさんの話です。
うち(介護施設)のナース(Aさん)が病院勤務だった頃の実話を夜勤のときに聞いた。
その日、Aさんは夜勤だったそうだ。
Aさんは、滞りなく業務をこなし、面会時間も過ぎ、ナースステーションでカルテ記入をしていた。
その日は急変もなく、静かな夜だった。
ふと、顔を上げるとステーション近くの患者ベッドのカーテンから立っている足が見える。
“ あぁ、誰かトイレに行くのかな・・・。”
そう思い、カルテに眼を落し、しばらく記入を続けていて、ふと気がついた。
“ そんなはずがない・・・・。”
そのベッドがある所は集中治療室、全身チューブに繋がれた患者だらけだ。
誰一人歩ける状態じゃない。
こんな深夜に面会者だって1人もいやしない。
“ あの足は一体誰・・・・?”
眼を上げるとカーテンの足は消えていた。
一瞬ホッとして、見なかったことにしてカルテ記入を再開。
しかし、その後暗闇から音もなく徘徊しヌッと出て来たジイチャン。
“ ええ、思わずそのとき夜勤2人で絶叫しましたとも!”
このAさんの話を夜勤中に聞いて、泣くかと思った。
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