日々の出来事 7月1日 フォーカス
今日は、酒鬼薔薇聖斗の顔写真を掲載した雑誌フォーカスが発売された日です。(1997年7月1日)
この写真掲載に関して、新潮社は少年法違反と非難され、このフォーカスを販売中止にする本屋が続出しました。
酒鬼薔薇事件(1997年)
2月10日、小学6年の女児が鈍器で頭部を殴られる。
3月9日、 5歳の女児が団地の階段から突き落とされる
3月16日、女児が金槌で頭部を殴られ脳挫傷で死亡する。
女児がナイフで腹部を刺され全治2週間。
5月27日、小6男児の生首が中学校の校門で発見される。
酒鬼薔薇聖斗の犯行声明
さあ、ゲームの始まりです
ボクは殺しが愉快でたまらない
警察諸君、私を止めてみたまえ
人の死が見たくてしょうがない
私は殺しが愉快でたまらない
積年の大怨に流血の裁きを
SHOOL KILL
学校殺死の酒鬼薔薇
6月29日、警察の任意同行に応じた14歳の酒鬼薔薇聖斗が犯行を自供する。
10月17日、神戸家庭裁判所にて、医療少年院送致の決定となる。
そして、酒鬼薔薇聖斗は社会から隔絶されたところで更生の道を歩み出しました。
フォーカス
☆今日の壺々話
1997年7月1日の本屋さんの話
「 店長、フォーカス出しちゃっていいんですか~?」
「 なんで?」
「 発売拒否する店もあるって言うじゃないですか~。」
「 ああ、別にいいんじゃないの?」
「 ホントにいいんですか~。」
「 まあ、本屋だから・・。」
「 そうですか~。
もう、10時ですから店を開けますよ。
えっと、カーテンを開けて・・。
うわっ、店長、開店前から、店の前に行列ができてますよ。」
「 あらっ、もう、客、店に入って来ちゃったよ!
大変だ~!」
“ 3分経過 ”
「 もう、売り切れちゃった・・・。」
「 店の看板を出す間もなかったですね。」
「 あれっ、まだ、客が来ますよ。」
「 えっ、ハイ、もう、売り切れです、ハイ。」
その後も、当日は、“ありませんか”と言う人が続々とやって来ました。
そして、“ありません”と答えるだけで、会話が成り立ったと言うことです。
こんな雑誌作ったらおまいら買ってくれる?
月刊タイシニ 6月号
・特集 嫌な梅雨を吹っ飛ばそう 雨だ!増水だ!入水自殺だ♪
・日本列島縦断風俗侍 マグナ50で一人旅 「神戸市福原、異人館にデリヘルは呼べるのか?ベッドはあるんや! の巻」
・今月のアンラッキーナンバーは?ルシフェル毒男の13星座占い
・【完全保存版】ドクオの頭頂部 500人分を一挙掲載!
・緊急討論 一人残業 会社の女子トイレに行く?行かない? ガチンコ生討論で怪我人続出!
・人気コーナー『1980'の地平線』 X-JAPAN・ゲームボーイ・少年ジャンプ・・
・給湯室乳首舐め男に学ぶ、リストラの恐怖・・ 月刊タイシニ独占インタビュー!
・流行に乗り遅れるな!仕事スレのキーワードは『中二病』
・連続小説「人のハゲを笑うな」最終回 ほか
付録:かんたん遺書作成2012CD-R
こんな雑誌作ったらおまいら買ってくれる?
梅雨だ、増水した川を見に行こう!
黒部ダムアルペンルート大調査
樹海で聞いた!ここが死に場所Best10
も追加しといて
読みたいけど買わない。
国会図書館
そういやこないだ“拝テンション”目当てで国会図書館行ったんだが、あそこで成人向けコミック頼むとガラス張りの別室で職員のねーちゃんに監視されながら読む羽目になるから注意な。
あるのかよ。
ご褒美じゃん。
視線が気になって内容が全く頭に入らんぞ。
コピー取りたかったのに頼めなかったし…。
むしろ国会図書館が成人コミック、しかも拝テンションまで網羅していた事に驚いた。
じいちゃん
今日ウチのじいちゃんが『ボケないための本』ってのを買ってきた。
これで同じ本が4冊になった
あまぞん
「 いらっしゃいませ、おすすめ商品があります。」
「 あっそ。」
「 ニンジンをお買い求めですか。では、あわせて買いたいこちらの小松菜を。」
「 いらない。」
「 ニンジンを買った人はこんな商品も買っています。」
「 だから何よ。」
「 ニンジンを見た後に、20%のカスタマーが、ジャガイモを購入しています。」
「 関係ねえし。」
「 おすすめ商品を絞り込むには、ニンジンを評価してください。」
「 何の話だよ。」
「 5人中、4人の方が、『ニンジンレビューが参考になった』と投票しています。」
「 いらないよ、レビューなんか。」
「 有料のお急ぎ便オプションを選択すると、めっちゃ早くニンジンを袋に入れます。」
「 急ぐ必要ないよ。ところでキャベツないのかな。」
「 現在、在庫切れです。」
「 ああ、じゃいいや。」
「 が、二週間前に買った山本さんが、もう使わないので中古のキャベツを売るそうです。」
「 食えないだろ、そんなもん。」
「 ¥700より。」
「 なんだそのボッタクリ。」
「 キャベツをチェックされた方に、おすすめ商品です。ニンジンを買うにはこちらをクリック。」
「 もうカゴに入ってるだろ、ニンジン!」
「 ニンジンをお買い求めですか。では、あわせて買いたいこちらのモヤシ・・。」
「 いらねえってば!」
いや、ふと密林ってこういう仕組みだよなって思っただけ。
作文
小学生の時、僕はイジメられていた。
無視されたり、叩かれたり・・・。
死にたいとは思わなかったけど、学校に行くのはとても辛かった。
イジメをするのは一部のクラスメートだけだったけど、他の子たちは自分もイジメられるのが怖くて、誰も助けてはくれなかった。
ある日授業で「自分のお父さん」の事について作文を書く授業があった。
先生は“なんでもいいんだよ、遊びにいった事とかお父さんの仕事の事とかでいい”と言っていた。
けど、僕はなかなか書く事ができなかった。
クラスの子達はみんな楽しそうに書いている中、僕一人教室のなかでひとりぼっちだった。
結果から言うと作文は書いた。
書いたのだが「自分のお父さん」というテーマとは違う事を書いた。
あとで先生に怒られるかも・・・。
また、これがきっかけでイジメられるのかな、と子供心にとても不安だった。
でも、それしか書けなかった。
作文は授業の終わりと同時に集められ、先生は“来週発表会をします”と言った。
先生は、そのまま教室を後にした。
その後は、頭を叩かれてイジメられているふだんの僕がいた。
今日は作文の発表会の日。
“じゃあ今日は発表会をしてもらいます”と先生は言った。
ただひたすら“僕の作文は選ばれませんように”と、ただ祈って下を向いているだけだった。
発表会は順調に進み、あと10分で授業も終わるところまで来ていた。
僕は少し安心していたのだが、その期待は無駄だった。
“では最後に〇〇君に読んでもらいます”と先生は言った。
頭の中は真っ白だった。
僕は言った。
「 あの、先生・・・、僕はお父さんの事書いてないです。」
クラス中から非難の声が上がった。
「 バカじゃねえの?廊下に立ってろよ、オマエ!」
様々な声が飛び交ったが、非難の意見はみんな一緒だった。
もうどこにも逃げられなかった。
「 静かにしなさいっ!」
突然の大声に教室は静まり返った。
「 先生はどうしても読んでもらいたい。
だからみんな聞いてください。」
僕は仕方なく読み始めた。
「 ぼくのお父さん。
僕のお父さんはいません。
幼稚園の時に、車にはねられて死んだからです。
だから、お父さんと遊んだのも、どこかへ行った事もありません。
それに、お父さんの事もあまりおぼえていないです。
写真があるので見ましたが、覚えていないです。
だから、おばあちゃんとお母さんのことをかきます。
お母さんは昼間仕事にいって、お父さんのかわりに働いています。
朝早くから、夜おそくまで、いつも働いています。
いつも疲れたと言ってますが、甘いお菓子やたいやきを買ってきてくれるので、とても大好きです。
おばあちゃんは元気で、通学路の途中までいつも一緒に歩いてきてくれます。
ごはんは、みんなおばあちゃんが作ってくれてとてもおいしいです。
お母さんが働いているので、父兄参観の時にはおばあちゃんが来てくれます。
みんなは“おまえの母ちゃんババァなんだ”とからかってくるので恥ずかしかったけど、でもとてもやさしいいいおばあちゃんです。
だから、お父さんがいなくても、僕はあまり寂しくありません。
お母さんとおばあちゃんがいてくれるからです。
お母さんは、お父さんがいなくてゴメンねと言ったりするので、早く僕が大人になって仕事をして、うちの家族のお父さん代わりになって、お母さんとおばあちゃんの生活を楽にしてあげたいと思います。
だから、おばあちゃんには“長生きしてね”といつも言っていて、お母さんにはいつも肩をもんであげています。
二人とも泣いたりするので少し困るけど、そんなお母さんとおばあちゃんが僕は大好きです。」
一気に僕はしゃべった。
先生には“死んだお父さんのことを書けばいいのに”と言われると思ったし、クラスの子達からは、“おまえお父さんがいないのか?もしかして捨て子だったんじゃねえか?”と、またイジメられるのかなと思ったりしていた。
顔をあげる事もできなかった僕は、救いを求めるように先生の顔を見てみた。
先生は、立ったまま泣いていた・・・。
先生だけではなかった。
他の子たちも、みんな泣いていた。
僕が始めて好きになった初恋の子は、机にうつぶして泣いていた。
イジメていた子たちも、みんな泣いていた。
でも、僕にはなぜみんな泣いているのか分からずにいた。
“ どうして?
お父さんがいないから、お母さんとおばあちゃんの事を仕方なく書いたのに。
どうして、みんな泣いているのだろう?”
「 〇〇君・・・。」
「 はい・・・。」
「 先生は人の心が分からないダメな先生でした。
ゴメンなさい。
世の中には、親御さんのいない子もいるのにね。
そういう子たちの事も頭になくて、“お父さんの事を書け”だなんて。
あなたの事も、知らなかったとはいえ、本当にごめんなさいっ!」
先生は顔を覆ったまま泣き崩れていた。
それがその日起こった出来事だった。
次の日から、なぜかイジメられなくなった。
相変わらず、口悪くからかったりはされたけど、殴られる事はなく、イジメのリーダー格の子に、遊びに連れていってもらえるようになった。
先生は、その後の家庭訪問で、その日の出来事をおばあちゃんに話して謝っていた。
作文の事は、僕は話もしていなかったので少し怒られたけど、話を聞いた母も、今は亡くなったばあちゃんも、うれし泣きみたいなクチャクチャの顔で叱ってくれた。
僕も立派な、人に誇れるような仕事はしていないけど、家族のおかげで一人前の大人の男にはなれたとは思う。
大人になった今でも、その時の事はなぜか覚えいるし、ふと思い出したりもする。
これが、僕がかける自分の思い出です。
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