大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の出来事 7月22日 ツイン・ピークス

2018-07-22 07:00:00 | A,日々の出来事_







  日々の出来事 7月22日 ツイン・ピークス







 今日は、アメリカのTVドラマ“ツイン・ピークス”のキャッチフレーズ、“世界で一番美しい死体”のローラ・パーマーの誕生日です。
このドラマ“ツイン・ピークス”は、監督がデイヴィッド・リンチで1990年から1991年までの間、アメリカでTV放映され、テレビドラマとしては異例とも言えるゴールデングローブ賞を3部門受賞しました。
 また、日本でもこのドラマは大ブームとなり、パイロット版の視聴率が21.7%を記録しています。
そして、このドラマが撮影されたワシントン州スノカルミーには多くの日本人が訪れ、主役のFBI捜査官デイル・クーパーが好きだったチェリーパイが食べられました。

 アメリカ北西部の田舎町ツイン・ピークス、犯罪とは無縁のこの町の湖畔で、17歳の高校生ローラ・パーマーが、透明のビニールで包まれた全裸死体になって発見されます。

“ 誰がローラ・パーマーを殺したか?”

 シアトルからやってきたFBI捜査官デイル・クーパーが、この事件の捜査を始めます。
すると、品行方正な優等生と思われていたローラは、この静かな町の裏に潜む醜悪な闇に関わっていたことが次第に明らかになって行きます。
そして、FBI捜査官クーパーにより、表面上は穏やかで平穏な町の裏に隠されていた怪しい人間関係や、数々の浮気、麻薬密売、売春、近親相姦などの暗部が次々と顕わになって行くのです。

 この作品の特徴は、デイヴィッド・リンチ監督独特の強烈で怪奇な病んだ世界がドラマの中で繰り広げられる所にあります。
登場人物は、どの人物を採っても怪しく、主役のFBI捜査官クーパーからして、危ない幻想の中に生きています。
 赤いカーテンの部屋、年老いたクーパーとローラがソファーに座っています。
そこに、赤い服を着た小人がカーテンに頭をスリスリと擦り付け言い放ちます。

「 いいニュースがある!
 お前の好きなガムがまた流行る!」

年老いたクーパーはローラに質問します。

「 君はローラ・パーマーだろう?」

ローラは答えます。

「 彼女の名前は知っている気がするけど、時々、腕が背中に回るの・・。」

そして、赤い服を着た小人は指をパッチンパッチン鳴らしながら不気味なダンスを踊り始め、ローラは何かクーパーに耳打ちして映像は訳も分からず終了します。

頭がクラクラするほどの怪奇と幻想と謎の世界が、毎回繰り返されるのです・・・・。






  ツイン・ピークス












☆今日の壺々話








  怪奇と幻想のお話たち







屋根裏





 うちはよく怪奇現象が起きるので物好きな友人たちには好評。
別に悪さするわけでもないということで家族はみんなスルー。
屋根裏で足音ドタバタされた時も茶飯事なので普通に友人を泊めたら、走り回る走り回る。
友人ガクブル。

友人「 うわーうわー。」
私「 悪させんで、平気平気。」

“ ドタバタドタバタ。”

私「 ○○来たから出血大サービスっぽいよ。」

因みにその友人お化けに好かれるっぽい。

“ ドタバタドタバタ・・・。
ズサーーッ!”

友人「 ・・・こけた?」
私「 こけたな!」

天井に向かって大声、爆笑。
それ以来、走り回る子はいなくなってしまった。










冗談だよ





 中学に少年A、Bがいた。
Aは喧嘩が強く乱暴なところがあった。
Bは無口で大人しく、控えめなタイプだった。
 ある日Aが学校に木刀を持って登校してきた。
何が目的で持ち込んだのか定かではない。
Aはクラスの大人しい連中を相手に、寸止めで木刀を振り回しはじめた。
次々と標的を変え、次にBに近づいた。
Bは無言で立ち上がると、一歩Aに近づいた。
その時Aがピタリと木刀を止め「冗談だよ」とイヤらしく笑った。
 しばしの沈黙。
AもBもお互いを見つめたまま動かない。
先にBが視線を外し、教室から出ようとAに背を向けた。
一呼吸置いてAはBに木刀を振り上げた。
BはAの行動を予想していたのか、振り返ってAの手を掴んだ。
Aはまた「冗談だよ」と言い、Bは何も言わず教室から出ていった。
 ひと月後、Aが学校の屋上から転落死した。
屋上で何があったかはわからない。
Aの通夜にはBも参加していた。
そのとき、クラスメートの一人がBの小さな呟きを聞いた。
冗談だよ。










狂気





 学校から帰って台所で麦茶を飲んでいると、床下の収納スヘ゜ースに死んだお母さんが押し込められているのに気がついた
隣の部屋からお父さんが出て来て泣き出した。

「 由美、お母さんは他に好きな人がいたんだ。
お前のことも捨てて、出て行こうとしていたんだ。
だから、ケンカになってさっき殺してしまった。」

 私はお父さんを警察に突き出すつもりはない。
このまま二人で暮らしていこうと思った。
着替えのため自分の部屋に行くと、メモ帳の切れ端が落ちていた。

“ 由美 逃げて お父さんは 狂っている ”













邂逅





 人ごみにまぎれて妙なものが見えることに気付いたのは去年の暮れからだ。
顔を両手で覆っている人間である。
ちょうど赤ん坊をあやすときの格好だ。
駅の雑踏の様に絶えず人が動いている中で、立ち止まって顔を隠す彼らは妙に周りからういている。
 人ごみの中でちらりと見かけるだけでそっちに顔を向けるといなくなる。
最初は何か宗教関連かと思って、同じ駅を利用する後輩に話を聞いてみたが、彼は一度もそんなものを見たことはないという。
 その時はなんて観察眼のない奴だと内心軽蔑した。
しかし、電車の中や登下校する学生達、さらには会社の中にまで顔を覆った奴がまぎれているのを見かけてさすがに怖くなってきた。
 後輩だけでなく、何人かの知り合いにもそれとなく話を持ち出してみたが、誰もそんな奴を見たことがないという。
だんだん自分の見ていないところで、皆が顔を覆っているような気がしだした。
 外回りに出てまた彼らを見かけた時、見えないと言い張る後輩を思いっきり殴り飛ばした。
俺の起こした問題は内々で処分され、俺は会社を辞めて実家に帰ることにした。

 俺の故郷は今にも山に飲まれそうな寒村である。
両親が死んでから面倒で手をつけていなかった生家に移り住み、しばらく休養することにした。
幸い独身で蓄えもそこそこある。
毎日、本を読んだりネットを繋いだりと自堕落に過ごした。
 手で顔を覆った奴らは一度も見なかった。
きっと自分でも知らないうちにずいぶんとストレスがたまっていたのだろう。
そう思うことにした。
 ある日、何気なく押入れを探っていると懐かしい玩具が出てきた。
当時の俺をテレビに釘付けにしていたヒーローである。
 今でも名前がすらすら出てくることに微笑しながら、ひっくり返すと俺のものではない名前が書いてあった。
誰だったか。
そうだ、確か俺と同じ学校に通っていた同級生だ。
 同級生といっても机を並べたのはほんの半年ほど。
彼は夏休みに行方不明になった。
何人もの大人が山をさらったが彼は見つからず、仲のよかった俺がこの人形をもらったのだった。
ただの懐かしい人形。
だけど妙に気にかかる。
気にかかるのは人形ではなく記憶だ。
 のどに刺さった骨のように折に触れて何かが記憶を刺激する。
その何かが判ったのは、生活用品を買いだしに行った帰りだった。
親友がいなくなったあの時、俺は何かを大人に隠していた。
親友がいなくなった悲しみではなく、山に対する恐怖でもなく、俺は大人たちに隠し事がばれないかと不安を感じていたのだ。

何を隠していたのか。

決まっている。
俺は親友がどこにいったか知っていたのだ。
 夕食を済ませてからもぼんやりと記憶を探っていた。
確かあの日は彼と肝試しをするはずだった。
夜にこっそり家を抜け出て少し離れた神社前で落ち合う約束だった。
 その神社は、とうに人も神もいなくなった崩れかけの廃墟で、危ないから近寄るなと大人達に言われていた場所だ。
あの日、俺は夜に家を抜け出しはしたのだが昼とまったく違う夜の町が怖くなって、結局家に戻って寝てしまったのだ。
 次の日、彼がいなくなったと大騒ぎになった時、俺は大人に怒られるのがいやで黙っていた。
そして今まで忘れていた。
 俺は神社に行くことにした。
親友を見つけるためではなく、たんに夕食後から寝るまでが退屈だったからだ。
神社は記憶よりも遠かった。
大人の足でもずいぶんかかる。
 石段を登ってから神社がまだ原形をとどめていることに驚いた。
とうに取り壊されて更地になっていると思っていた。
ほんの少し期待していたのだが、神社の周辺には子供が迷い込みそうな井戸や穴などはないようだ。
神社の中も、きっとあのときの大人たちが調べただろう。
 家に帰ろうと歩き出して、なんとなく後ろを振り返った。
境内の真ん中で、顔を両手で覆った少女が立っていた。

瞬きした。

少女の横に顔を覆った老人が立っていた。

瞬きした。

少女と老人の前に顔を覆った女性が立っていた。

瞬きした。

女性の横に古めかしい学生服を着込んだ少年が顔を覆って立っていた。

瞬きした。

皆消えた。

前を向くと、小学生ぐらいの子供が鳥居の下で顔を覆って立っていた。
俺をここから逃がすまいとするように。
あの夜の約束を果たそうとするように。

















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7月21日(土)のつぶやき

2018-07-22 03:00:11 | _HOMEページ_
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