大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 1月20日 大阪

2014-01-20 19:21:21 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 1月20日 大阪



 大学、社会人となって暫く不思議な人達を見ていなかったのですが、大阪で働いていたときに、どうしても気になる場所がありました。
そこは、家から大通りへ向かうときに通る、大変細い道で、気になる場所は、武家屋敷の壁(下が石垣で白い壁のミニ屋根付)が続く家の端。
 その家の端の下にアスファルトからでる3つの石。
少しあいて2つの石。
いかにも除けることが出来ませんでした!というかの様なその石。
ずっと気になっていたのです。他にも大通りに出る道はあったのですが、その道が近道だったので、自転車でサーっと通れば怖くないっ!!と言い聞かせながら良く通ってました。

 それでも3年半なにもなく過ごしていたのですが、東京転勤が決まって引越しの前日。
夜中の2時半。
引越しの用意をしていたのですが、ガムテープがなくなってしまい、仕方なく大通りのコンビニへ。
「この道も通ることがなくなるな。」と思いながら、その細い道を通ってコンビニへ。

 無事コンビニへはたどり着いたのですが、問題は帰り。
調度、その問題の石にあたりに雨も降っていないのに女性が傘を差して立っていました。
直視しているわけではないので、「あ、誰かいるな~」といった感じだったのですが、場所が場所なのと、雨でもないのに傘を差していること、あと、女性の周りがなんとなくボヤっとしていて、白く明るかったということがあり、「やばい!!」と思いました。



 ちょっと昔話。


 中学校の頃、金縛りにあうようになりました。
その頃の体験で、夢の中で自分の目の前の丘を、白いヒラヒラのロングスカートに白の洋服、大きな白いストローハットをかぶった女の子が、ゆっくり(ビデオのスロー再生みたいに)左から右方向へ降りてきていて、丘を降りきったところで、はっと目が覚めたのですが、その女の子はまだ自分の目の前でゆっくりと動いているのです、白くボヤっと光りながら。
 まだ夢の続きかな?と思って頬をつねってみようと思ったその時、金縛りにあい「うぅぅ、やばい~」と焦っているなか、その女の子はゆっくりと自分とは反対方向(奥)へと歩いていっているのですが、その奥ではいつも見慣れた自分の部屋の景色が・・・。

 これは、絶対夢じゃない!!と確信し、怖くなったのですが、金縛りにあっている為、その女の子から目が離せません。
そんな状態が5分くらい続き、女の子もだいぶん遠くへ行った時に、ふと、「どんな顔してるのかな?見てみたい。」と思ってしまったその瞬間。
ピタッと女の子の足が止まり、ゆっくり振り返り始めたのです。
「やばい!やばい!やばい!怖い!!!!」と焦っても、体は動かず。
女の子の顔が見えるか見えないか!というところで金縛りがやっと解け。
そのまま布団を被って小さくなって眠りました。
と、言うことがありました。


 それで、そのときの白くボヤっとした感じが一緒だったので、今回も「やばい!」と思ったのですが、急に折り返したり、じっと見たり、驚いたりすると霊さんが「あ、この人自分が見えてるんだ。」と思ってついて来る。
と聞いたことがあったので、ここは”頑張って何事もないように通り過ぎる作戦”を実行することにしました。

 しかし、横目にどうしてもその女性が見え、近づくにつれ白と水色の水玉模様のロングスカート、腕まくりした白い服、両手で持った紺色の傘(ちなみに足はありました)が見えてきて、顔は傘に隠れて見えませんでした。

 あまりにはっきりと姿が見えるので、これは普通に人間の女性かな?と思いながら、横を通り過ぎると同時にそちらを見ると、女性の下あごから上がありませんでした。
「・・・・・・・・・!!!」
絶句。
「落ち着け。落ち着け。落ち着け・・・・・・・」と言い聞かせながら、気付いていないふりをするので精一杯。
 とにかくごまかす為、夜中の2時半過ぎというのに携帯で友達にTel。
無理やり起こして、「最近どうよ・・・。」なんて訳の分からない会話を始めた。
 家についてから事情を説明したら納得してくれたのですが、「怖くて寝られん!!」と怒られました。
ごめんなさいでした。
それが、自分が体験したなかで一番怖い出来事でした。














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しづめばこ 1月19日 P272

2014-01-19 22:36:36 | C,しづめばこ
しづめばこ 1月19日 P272 、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 1月19日 人違い

2014-01-19 17:30:43 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 1月19日 人違い




 登校中、信号待ちでボーっとしていると、突然となりの男が言った。

「 僕のお母さんですか?」

当時私は20歳の大学生、妊娠・出産経験は無い。
それに相手は明らかに30歳を超えていた、
 ビックリして、

「 ひっ…、人違いです。」

と答えると、相手はその答えが意外だったかの様な反応で、何でそんな嘘を付くの?と言った表情だった。
 その反応に私が驚いた。
信号が青になると、私は急いでその場を去りました。
姿はガリガリで目はギョロッとしていて、よれよれのシャツに肩から黄色いポシェットを下げていました。
これが彼との最初の出会いで、この後数年に渡って何度も彼と遭遇しました。
 その日から、彼は毎日その場所で私を待っていて、必ず、

「 僕のお母さんですか?」

と聞く。

「 違います。」

そう一言言えば去って行ってくれるので、気味は悪いが警察と言う程でもありませんでした。
 しかし、いつの日から大学にまで現れる様になり、私は彼にきつく怒鳴りました。
二度と現れるなとか、気持ち悪いとか、そんな事を言った気がします。
それからは現れる事も無く、東京の大学を卒業して実家へ戻り1年が過ぎたとき東京の友人から久々に電話がありました。

「 あんたのストーカー男、こないだ大学の近くで会っちゃってさぁ~。
お母さんはどこですか?って聞かれて、怖くて逃げちゃった。」

その話を聞いても“ああそんな男もいたな”ぐらいにしか感じず、こっちには関係ないと思っていた。
 しかし、次の年の母の日、玄関に萎れたカーネーションが置かれていました。
私は瞬時に“あいつだ!?”っと思い、怖くなって父に相談し警察に行きましたが相手にされません。
被害と言った事件もなかったので当然と言えば当然なのですが、私は不安で仕方がありませんでした。

 そして数カ月が経った雪が積もる夜の事です。
私は街の歩道を歩いていました。
そこに、突然車がスリップして来て、事故に巻き込まれたのです。
 一瞬意識を失い、次に気付いた時は車と倒れた木の隙間でした。
体中が痛くて身動きがとれず、声を上げても周りは騒々しく誰も私に気がついてくれません。
隣では火も上がっていて、もう駄目だと思ったとき、

「 おか~さ~ん、おかあさ~ん。」

あの男の声がしました。
私は思わず、

「 ここ!!助けて!!ここにいるの!!」

と叫びました。
彼も事故に巻き込まれたのか血まみれでした。
 雪を掻きわけ、私を引っぱりだしてくれた彼を改めて見ると、彼の方が重傷に見えてとても痛そうだったのに、彼は私を見て笑って、

「 お母さんですか?」

と聞きました。
私は何とも言えない気持ちになり、

「 うん…、うん…。」

とうなづきぽろぽろと涙を流しました。
 ところが、私が涙を拭い顔をあげると、彼の姿はそこにはありませんでした。
ほんの一瞬で消えたのです。
それっきり、もう何年も彼を見ていません。
いったい彼が何だったのかは分りませんが、幽霊と言うものではないとは思うのです。
雪が降ると時折思い出します、名も知らぬ息子の事を。















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日々の恐怖 1月18日 放火犯

2014-01-18 22:56:20 | B,日々の恐怖




     日々の恐怖 1月18日 放火犯




 知り合いの話です。
まだ学生だった頃、彼女の村では火事が相次いで起こったという。 
放火と思われたが、山間の小さな集落ということもあり、そんなことをすればすぐ村の皆にわかる筈だった。 
それだのに、犯人の見当もつかない。 
住人は戦々恐々としていたらしい。

 ある夕暮れ、彼女はお使いを言い付けられて家を出た。 
近くの店で豆腐と味噌を買ってから家路に着く。 
近道をしようと、近所の畑に踏み入った。
 その時、視界の外れに、誰かが立っているのが見えた。 
畑の端に大きな柿の木があって、その根元にひょろりとした影一つ。 
見知っていたお婆さんだ。
白い着物を着ていた。 
どこかに違和感を感じ、すぐにその理由に思い至る。 
その老婆は、前年の暮れに亡くなっていた。
 動けなくなった彼女の目の前で、老婆はカラカラと笑い始めた。 
どこか大事な物が切れてしまったような、そんな笑い方だった。 
ただもう恐ろしく、ぺたんと腰を落としてしまったという。 
同時に、パチパチという音が聞こえてきた。 
慌てて振り向くと、その畑の持ち主の家が燃えていた。
 火は初めは小さかったが、すぐに大きく燃え広がった。 
それを見た老婆は頭を振りたくり、ますますカラカラと笑い続ける。 
まるで老婆の哄笑に合わせるように、火はどんどんと激しくなっていった。

 彼女はしばらく呆然としていたらしい。 
正気に戻ると、既に火は消し止められてい、家は燃え落ちずに済んだようだ。 
老婆はいつの間にか姿を消していた。 
消防団員が“大丈夫か?”と声をかけてきたが、腰が抜けたようで歩けなかった。
 放火犯を見たということで、彼女は警察の事情聴取を受けた。 
信じてくれるかわからなかったが、見たままを話した。 
案の定、呆気に取られたような顔で何度もくり返し確認されたそうだ。 
意外なことに、何人かの警官が“それって・・・!?”という表情をしていた。
 どうやら、放火騒ぎのあった家々とその老婆は、何かの事情で揉めていたらしい。 
家に帰ってから家人にそう聞いたのだという。 
その詳細までは教えてはくれなかった。
あっこの家のモンは、死んだ後の方が恐ろしい。
大人が小声でそう言っていたのを、なぜかよく覚えているのだそうだ。














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日々の恐怖 1月17日 お散歩

2014-01-17 19:06:19 | B,日々の恐怖




      日々の恐怖 1月17日 お散歩




 2年半前、父が亡くなった時のお話です。
夕方、弔問客のおもてなしをしていた時にあったことです。
午前中からほぼ休むことなくお外で犬は吠えていたんですが、私たちは、かまってあげることも何もする暇もなく、時折、近所のおじさんが様子を見ていてくれたようでした。

 夕方になり、父の友人(少々霊感あり)が弔問に来た時のこと。
それまで、ぎゃんぎゃん吠えていた犬がぴたりと静かになったのです。

“ 犬まで死んだんじゃないんだろうか・・・・?”

と、小屋をのぞいても、小屋の中でぐーすか気持ちよさそうに眠っています。
 すると、父の友人が一言。

「 さっき、アタシが来たときに、お父さんが散歩に連れていったよ。」
「 はっ?はいっ??」

思わず私は仏間に父がいることの確認。
(そりゃ動くわけないんですけどね。)
犬小屋にいる犬が、自分の家の犬であることを確認していました。

「 あ~、見えないよね。
でも、父さん、犬がつまらないだろうからって、嬉しそうに散歩に行ったの見えたよ。
そのうち帰ってくるから大丈夫じゃない?」
「 でも、犬、いるし。
リードつけてないんじゃ、危ないんじゃないの?」
「 体は連れてってないから、平気じゃない?
車にひかれることもないし・・・。」

父は、亡くなってからも犬の散歩に行ってくれたようでして・・・・。
それから、晩御飯までは犬は静かにしていました。
(晩御飯時には、「ゴハン~っ!!」とは騒いでましたけど。)
しかし、魂だけの父と、魂だけ連れてかれた犬。
残った体は大丈夫なものなんですね。













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しづめばこ 1月17日 P271

2014-01-17 19:05:54 | C,しづめばこ
しづめばこ 1月17日 P271 、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 1月16日 くまさんパンツ

2014-01-16 21:28:26 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 1月16日 くまさんパンツ




 最近家を出た姉さんからメールが来ました。
霊で悩んでいるそうです。


姉「 オカルトに詳しい弟ちゃんに相談があるのです。」
俺「 なんでしょうか?」

※何故かうちでは家族間でのメールは一文ずつという家訓があります

姉「 最近姉さんの部屋に幽霊が出て困ってます。」
俺「 それは困りましたね、盛り塩などが効果的です。」
姉「 どうなるのですか?」
俺「 出なくなります。」
姉「 それは困ります。」
俺「 なぜですか?」
姉「 彼が雅治に似たなかなか良い男だからです。」
俺「 福山も姉さんに呼び捨てされるいわれはないと思う事でしょうね。」
姉「 彼は寝ている私に近寄らず、窓の側に立って見ているだけなのです。」
俺「 26にもなって、くまさんパンツを履いてる女に近付きたがる男なんていませんよ。」
姉「 きっと姉さんの大人の色華に気後れしているに違いありません。」
俺「 無視ですか。あと漢字が違います。」
姉「 どうにかならないでしょうか?」
俺「 もう男なら幽霊でもいいのですか。」
姉「 そういう訳ではありません。」
俺「 どういう訳ですか。」
姉「 私の魅力的な死体を前に生殺しでは気の毒すぎだと思います。」
俺「 そんな台詞はスポーツブラを卒業してからにして下さい。あと漢字違います。」
姉「 何とか彼のパワーを強めてあげたいのです。」
俺「 何考えてるんですか?」
姉「 悪い人じゃないです。」
俺「 そういう問題ではないです。」
姉「 教えないと弟ちゃんが中学生まで私と一緒にお風呂に入ってたことを彼女さんにバラします。」

     ↑
 ほぼ、原文のままです。
霊に力を与える方法なんて知らないのでどなたか教えて下さい。
というか力を与えていいのでしょうか…?
ちなみに、姉は中学生と間違えて補導される程の童顔貧乳低身長です。



“ もっと、詳しく・・・・。”



 えっと、まあ、ぶっちゃけ寝惚けた姉の見間違い&思い込みでは無いかと邪推しているのですが。
何しろ霊感皆無ですから。
 むしろアンチ霊体質。
それを証明する事柄も多く、

・三年前に居間で起きたラップ音現象が姉が現れた途端にピタリと止んだ。
・黒猫は姉を見ると必ず尻尾を巻いて逃げる。
・姉が泊まるとあらゆる霊現象が無くなるので一人暮らしの女友達から重宝されている。
・去年の家族旅行で旅館に泊まり座敷童子と間違えられる。
・お見合いの相手から飴をもらって帰ってくる。

と、そうそうたる経歴の持ち主なのです。


ただ、何と返答したらよいものかと…。
















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日々の恐怖 1月15日 高校球児

2014-01-15 19:06:35 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 1月15日 高校球児


 高校に入学したての4月頃の時期。
野球部の朝練で5時には家を出なければいけなかった。

 家を出てちょっと歩くと女の子が顔をうずめて座ってる。
お下げ髪でピンクのワンピースに赤い靴。
見た感じ7,8歳くらいかな?

 こんな時間にどうしたんだろうとは思ったけど、急いでたし、スルーしようと思ったら泣き声が聞こえた。
なんかちょっと変な声。

 これをスルーしては高校球児の名がすたる。
どうしたの?と声をかけると女の子が顔を上げた。
いや、女の子ではなかった。70過ぎくらいのおばあちゃん。

 身長が100センチ?くらいしかない小さな老婆。
小人症なのかな?多分。
ガリガリに痩せてて骨が痛い感じ。
髪が異様に黒くツヤツヤしてる。

 うおって声出して驚いた。まぁ誰だって驚くでしょ?
もうテンパってその場を去ろうとするとその老婆が
「 私いくつに見える?」って聞いてきた。

いくつも何もおばあちゃんやんけ。俺が答えられずにいると、
「 私、呪いをかけられて今はこんな姿だけど、
本当は12歳なの。王子様がキスしてくれると
呪いが解けるの。王子様・・・KISSして。」

 まぁこんな人がいることは知識としては知ってたけど、目の当たりにすると心底驚く。
ごめんなさいと言ってその場を離れて、しばらくして後ろを振り向くと、老婆が追いかけてくる。

 妙な歩き方なんだよ。
早歩きだったのかもしれないけど。
下手なスキップみたいにな感じ。ピョコピョコって。
「 おうじさま~」って。
めちゃくちゃホラーだよ。

 も~駅まで猛ダッシュ。
学校についてからもそのことが頭から離れなかったし、帰りにまたあったらどうしようって考えて帰りは別の道を通った。
お~、無事帰宅できた。
と思ったら・・・いたよ。

 家の前にいるよ。
あの老婆が。
もう夜8時過ぎだよ。
俺が近づくと「王子様・・・キスしてください。」ときたよ。
ちょっとホントになんなんだよこの人。

 急いで家に入って鍵を閉める。
あんた何もされなかった?
と母が玄関に来て聞いてくる。
どうやら夕方ぐらいからずっと家の前にいるらしい。
マジっすか。

 朝の出来事を母に話すと、お父さんに相談しましょうとのこと。
父が帰ってきて老婆のことを話すが、何にもされてないんだろ?じゃあ、ほっとけよ。


 翌朝、四時半起床。
高校球児の朝は早い。
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。
今日も元気にがんばるぞ~・・・老婆がいるよ・・・。

 朝五時。
家の前。
老婆。
昨日と同じ格好。
スペアがあるのか?

「 王子様。お願いです。キスしてください。」

やっぱり同じようなセリフ。
カンベンしてください。

 また駅まで猛ダッシュ。
でもどうしよう。
これいつまで続くんだろ?
警察に言おうか?
でも何にもされてないし・・・。
老婆にキスしてくれと付きまとわれる。
う~ん、決定打にかけるな。

 男女が逆ならどうだろう。
70過ぎの老人が小学生の格好で女子高生にキスしてと付きまとう。
あれ?逮捕だろこのジジィ。
許せねぇよ。

 でも僕は男なわけで・・・高校球児なわけで・・・。
で、まぁまた帰宅するわけで・・・家の前に老婆がいるわけで・・・。
同じセリフを言われるわけで・・・家に急いで入るわけで・・・。

 さぁ本当にどうしよう。
母に相談。
明日の朝にもしいたら警察に相談しようということになった。


 翌朝!四時半起床!高校球児の朝は早い!
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。
の前に窓から家の前を見てみた。
というか、まぁ起きてすぐ見たんだけど。

 朝四時半!家の前!老婆!また同じ格好!スペア!
母はまだ寝てたけど老婆がいることを伝えて出発。
玄関から猛ダッシュで老婆をスルー。

 また8時頃帰宅するとやっぱりいる。
ちょっと話してみる。
本当に迷惑なんです。
もうやめてください。
「 お願いですからキスしてください。」
・・・会話にならん。

 母が警察に相談したらしいが、時は90年代。
ストーカーという言葉がまだ一般的ではない時代。
実害がない以上警察としてはどうすることもできないらしい。

 たしかに実害はないので俺も母もほっとくことにした。
無視してればいつかいなくなるだろうし、なにかしてきても高校球児の俺が70過ぎの小人症の老婆に負けるわけがない。

 まぁ本当のこと言うと俺はかなりビビってたし、ガチの喧嘩になっても全く勝てる気がしなかった。
いやだってさ、もはや妖怪の域だよ。
勝てるかよ。



 それから1週間ほど毎日同じ時間に老婆はうちの前にきて同じセリフを俺に言う。
「 王子様。キスしてください。」
近所でもかなり話題になっていた。

 ある日の帰宅時。
やっぱり老婆はいる。
いつもどおり無視して家に入ろうとすると、
「 話を聞いてください。」
いつもと少し違う。
立ち止まって話を聞いてみることにする。

「 私、呪いをかけられて今はこんな。」いやそれは初めに聞いたよ。
「 今日キスしてもらえないと、私、明日死ぬんです。」???
「 王子様。お願いです。私にキスしてください。」えええええ!!!

マンガとかアニメなら、
「 ファーストキスをこんなお婆さんに捧げることになるなんて。とほほ。」
とか言ってキスしちゃうんだろうけど。
いやアニメ見ないからしらんけど。
というか俺ファーストキスすでに経験してたけど。

 現実はそうはいかない。
まぁ当たり前だけどさ。
ていうかキスしたが最期、王子様からダーリンに昇格する可能盛大だし。
朝五時。「 ダーリン、おはようだっちゃ。」
夜八時。「 ダーリン、おかえりだっちゃ。」
もうどうにもなんねぇ。
もうどうにもなんねぇよ。

 こうやってふざけて書いてるけど当時は本当に参ってて、その時感情が爆発した。
いいかげんにしろよクソババァ。
てめぇのせいでこっちは頭がおかしくなりそうなんだよ。
勝手に死ねよ。
っていうか死んでくれよ。
もう俺の前に現れないでくれ。
こんな感じのことを言ったと思う。
「 そう。死ねって言うの。わかった。」
そう言って老婆は妙な歩き方で帰っていった。



 翌朝。四時半起床。高校球児の朝は早い。
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。
老婆の姿はそこにはない。

 帰りの時間にもいない。
その翌日も老婆はいない。
あの日以来、老婆は来なくなった。

 普通なら喜ぶべきことなんだけど俺は異様に不安だった。
もしかして老婆は本当に死んでしまったんではないか?
こんな事考えるほうがおかしいんだけど当時はそう思ってた。

 あれだけしつこく来てたのに急に来なくなるのはおかしい。
かなりひどいことを言ってしまったし、もしかしたら・・・。
毎日そんな事を考えていた。



 老婆が来なくなってから一週間ほど経ったある朝。
インターホンの音が聞こえた。
朝五時前である。
嫌な予感がして窓から玄関を見るがだれもいない。

 またすぐインターホンがなる。
窓から玄関を見る・・・
老婆だ。
あの老婆がいる。
生きてたか。
玄関を開けてみると・・・誰もいない。逃げたか?

 帰宅時。
老婆はいない。
母に今朝のことを話すと、母はインターホンの音が聞こえなかったらしい。まぁ寝てたんだからあたりまえだろう。
一応、翌朝は一緒に起きてくれることになった。


 翌朝。
朝御飯を食べているとインターホンがなった。
急いで玄関を開けたがだれもいない。
母がびっくりしてどうしたのと聞いてくる。
母にはインターホンの音が聞こえなかったらしい。

 いやいや絶対鳴った。
でも母は鳴ってないという。??
どういう事だろう。
まさか老婆の幽霊が・・・。
その日はずっとそのことが頭から離れなかった。

 帰ってきてからもなんだか嫌な感じがして、夜寝付けずにいると声が聞こえる。
老婆の声。
あのセリフ。
はじめは小さかったが、だんだんはっきりと聞こえてきた。

 どうしよう。
体は動くけど動いたら何かが起こりそうで動けない。
とにかくじっとして朝を待った。
声はいつの間にか聞こえなくなっていた。
母に話そうか?いや頭がおかしくなったと思われるな。


 その日の夜、またあの声が聞こえた。
起き上がり電気をつけようとすると部屋の隅になにかいる。
ピョコピョコと妙な足取りで近づいてくる。
まじかよ。
布団をかぶり大声で叫んだ。

 父と母が飛んできて、何があったのか聞いてくる。
ありのまま話すがやはり信じてくれない。
一人ではとても寝れないので父の部屋で一緒に寝ることにした。

 父と一緒でも寝付くことができずにいると、またあの声が聞こえてきた。
もう勘弁してくれ。
布団をかぶり、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・。
横で寝ている父がこれはもう尋常ではないと悟ったらしい。


 翌日、学校を休み病院へ行くように父に言われた。
精神科へ。
精神科って・・・俺を病気扱いですか。
幽霊を見たら病気ですか。
かなり反抗したけどとにかく行くように言われ、母と一緒に近くの総合病院の精神科へ行った。

 行ったところでどうなるものでもない。
先生に今までのことをすべて話すと、PTSDと診断された。

 老婆に対するストレスと老婆に対して言ってしまった言葉、それにより老婆が死んでしまったと自分を責める気持ち。
それらによって幻覚を見聞きしていると言われた。

 幻覚。
そんなわけない。
あんなにはっきり聞こえた。
見えた。
あれが幻覚のわけがない。
だから行ったところで無駄だといったんだ。
なんだか訳のわからない薬を貰って帰ってきた。

 薬は一応飲んだがやはり老婆の声は聞こえる。
姿は見せないが声はよく聞こえる。
学校は暫く休むことになった。
昼は母と一緒にテレビを見て、風呂は父と入り、トイレは開けてして、寝るときは父と一緒に寝る。
情けない高校球児だがどうしようもない。
一人になると絶対に聞こえる。



 そんな日が10日ほど続いたある日、父があの老婆は生きていると言ってきた。
そんなわけがない。
あの老婆は死んでいる。
そう言えば俺の幻覚が治るとでも思っているのだろう。

 本当に生きている。
会ってみるか?と父が言ってきた。
いやだ。絶対に会いたくない。
というか生きてるわけがない。
車の中で見るだけならどうだ?というのでそれなら別に構わない。


 翌朝、車で老婆の住んでる場所へ向かった。
老婆の住んでるところはかなり近くのアパートで、その近くに車を止め老婆が出てくるのを待った。
昼頃になりようやく老婆がアパートから出てきた。

 服装は違ったが、たしかにあの老婆だった。
どういうことだ?じゃあの幽霊はなんなんだ?

「 な、あの老婆は生きているんだよ。
おまえが見たり聞いたりしてるのは幽霊じゃないんだよ。
幻覚なんだよ。
おまえがそれを認めないといつまでも幻覚を見聞きすることになるんだ。
きちんと自分と向い合ってみよう。な。」

 それから三日間、同じように老婆を見に行った。
老婆は生きてる。
それは間違いない。
ということは幽霊は出ない。
あれは幻覚・・・なのか。

 病院にもきちんと通うようになり薬もきちんと飲んだ。
老婆の声は次第に聞こえなくなり、いつしか聞こえなくなった。
俺が聞いてた声、見た姿は幻覚だった。

 まさかあれほどはっきりと聞こえるものとは思わなかった。
思い出すと当時の自分は明らかにおかしかった。
でも自分で自分のことをおかしいとは思えないんだよ。
自分は正しい。まわりがおかしい。

これくらいのことで、そこまでおかしくなるか?と思う人もいるかもしれないけど、神経の細い人は案外簡単におかしくなっちゃう。
俺はあれ以来、幻覚は見ないし、聞こえない。














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日々の恐怖 1月14日 六甲山

2014-01-14 18:22:35 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 1月14日 六甲山



 世の中には、幽霊を見たことがあると言う人が結構います。
父もその一人。
 昔、ある旅館で夜中に金縛りにあい、うなされて目をさましたら、部屋の隅になにか白いものがふわりと漂っていたそうです。
ぎょっとして飛び起きて部屋の電気をつけると、その白いものは電気の光とともに消えてなくなって、部屋には何の形跡もない。
不思議に思いながらも、また電気を消して寝直しをし、それっきり父の部屋には異変は起こらなかったそうなのですが、隣室でおかしなことが・・・。
 父が寝直しをし始めてしばらくたったころ、今度は隣の部屋から、隣人がうなされる声が聞こえてきたんです。
さっき自分が金縛りにあったときのような隣人のうなされ方に、隣室にあの白いものが移動したのだと、父は思ったそうです。

 ところで、幽霊は見えることはあっても、話したりしないのが普通です。
しかし、幼馴染みののりちゃんは、幽霊を聞いたのだと言いました。
夜に一人で自分の部屋にいると、時たま聞こえてくるんだそうです。
 最初は遠くのほうから聞こえてくるのですが、その声がだんだん部屋に近づいてきて、壁を通り向けて自分の部屋の中に入ってきたかと思うと、また反対側の壁を通り越して去っていく。
どんな声が聞こえるのかというと、笑い声なんですと。
夜一人のときに、そんな怖いもん聞きたい人いないよ。


 さて、それで山歩きが好きな父が足繁く通う、六甲山系(神戸の後ろの山並み)の麓でのことです。
 今年の8月、登山道の入り口である茶屋まで道路を歩いていた父が、道路の脇に骨が転がっているのに気がつきました。
よくこの登山道へ来ているけれど、前日にはこんなものはなかった。
それは犬や猫よりも大きくて、何の動物だか分からないけれど、人間の骨に似ている。

 茶屋で、「あそこに骨が転がってますけど、あれ、ひょっとして人間の骨なんじゃないですかね」と店の人に言うと、骨に気がついた登山者がすでに何人かいたようで、店の人も「そうなんですよねえ」と気にしているよう。
しかし、人間の骨がそこらへんに転がってるなんてありえないことだし、誰もが「まさかね」「何か他の動物かも」と考え、そのまま父も登山道に入りました。

 そして約1時間後、山から下ってきてまた骨のあった場所を通りかかったとき、気になった父がそこらへんの茂みをあちこち探して見ると、やはり数本、人骨に似た骨が転がっている。
疑惑を濃くした父は、ちょうど行きかかった一人の登山者を引きとめ、骨を見せて聞いてみた。

「 これ、人間の骨に見えませんか?」
「 確かに、そう見えますね」

誰が見ても、やはりこれは人間の骨に見える。
 ここでついに、疑惑の骨はやはり人間のものであると判断した父は、茶屋に取って返して警察に通報。
しばらくするとパトカーが到着し、骨は専門化の手で調べられることになったわけですが、結果はやはりというか、人間の骨でした

 登山道に続く道路は、左側は崖のような斜面の下に谷川が流れていて、右側は山の斜面になっている。
警察は骨が見つかった場所から捜索を斜面の上に広げ、他になにか残っていないか調べ始めました。
そして、その結果は・・・、なんと、頭蓋骨まで出てきた

 この斜面の上方は登山訓練用の場所もなく、危険な登山道もないことから、父は自殺者ではないかと推測しています。
完全に白骨化しているその遺体は、深い山の中に長い期間ひっそりと横たわっていたのでしょう。
発見される少し前に大雨が降ったから、土砂とともに上から流されてきたのだろう、とは父の言葉。
 この山にいる野生のイノシシの餌になったかもしれない、なんてことも言ってますが、それはあまり想像したくないシーンです。

 六甲山は神戸市の西の端から宝塚市の間に横たわる山系で、標高1000m以下と低い山ではありますが、登山道は網の目のように広がり、ロッククライミングの練習場になるような険しいところもあります。
山頂には展望台や六甲山牧場など、娯楽施設もあるものの、毎年遭難者がでている侮れない山。

 もしこの遺体の人物が自殺ではなく、なんらかの理由で遭難した人だとしたら、動けなくなって助けも来ないなか、飢えと乾きに苦しみながら衰弱していったことになる。
そこで思い出したのが、実際にあった遭難劇。
またもや父の登場と相成ります。

 一般登山道から離れた、人気のない道を歩いていた父は、谷川のある崖下のほうから声が聞こえてくるのに気がつきました。
ひょいと下を覗いてみると、男性が一人いて、どうも様子がおかしい。
 気になった父がその男性のところに降りてみたわけですが、男性は弱りきってい、満足に歩けない様子で、何かがあったのは明白。もしかしたら、崖の上から落ちたのかもしれません。
歩けるか、と聞いてもしっかりした答えは帰ってこず、ふらふらとそこらを彷徨うような状態だったため、父は安全のためにその人をそばの木にくくりつけ、一人救援を求めて下山しました。

 この遭難者はその後病院に運ばれ、体調も回復して父に感謝したそうですが、場所は人気のない登山道。
たまに人の通りがある程度だから、運が悪いとしばらく遭難したままになっていたかもしれない。
もしあの時誰にも見つからなかったら・・・・・・。
父が見つけた人骨に、その遭難者がダブって見えてしまった。

 しかし、ここでふと考える。
私はこの骨の持ち主が自分でここまで来たと思っているけれど、連れてこられた可能性だってあるわけです。
その場合に考えられるのは、殺人

 げーっ、発見された人骨が殺された遺体の可能性だってある。
恨みを抱いて亡くなったのか、苦しみながら亡くなったのか、ここまで白骨化してしまっては調べるすべはもうないけれど、少なくとも無縁仏として葬ってはもらえることになりました。
もしかしたら、あまりに寂しくて自分から出てきたのかもしれない。
骨の持ち主さん、どうぞ成仏してください、南無阿弥陀仏。

 父が遭難者を助けたときのこと、まるで犯人かの様な厳しい取調べを警察で受けたそうです。
つまり、第一発見者を疑え、です。
無事に被疑者リストから外れた父は、後で人命救助の表彰を受けたそうですが、そんな話を聞くと警察に協力する気持ちが萎える。
最初が肝心なんだろうけど、もちっとお手柔らかにならないものだろうか?












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日々の恐怖 1月13日 ただ

2014-01-13 18:22:45 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 1月13日 ただ



“ただであげます、ただでくださいのコーナー”にあった物件のQ&A


神戸市北区の一軒家いらないですか?
ただ三つ条件があって、
1 必ず受け取る。
2 三日以上家を空けない。
3 死ぬまで住んでくれる。
この3点守れる方なら土地ごと渡します。


タダですか?
ガレージはありますか?


超怖いなその条件・・・・。
一体どういう物件だよ。


家は20年前にリフォームされてあるけど、
祖父母から頼まれてて、裏庭の林に井戸があるんだが、
その井戸は一応ウチの祖父母のものだから、
触らないで欲しい。(一応柵がある)
とにかく死ぬまで住めて、旅行とかしない人ならすぐにでも渡せるから、
本当に条件満たせる人だけ名乗り出てもらえれば助かります。 
場所はあまり書くとばれるので、谷上から奥まったところです。


あと当然タダですが、地元のつながりが面倒なので、
こちらの今後の連絡先は伏せたままになりますが、
ただという事ですいません。
駐車場はありませんが、庭が広い空き地なのでそこへ。


こちらへのデメリットを全て述べてください。


井戸に死体ありそうでこわいな。
土地と建物の所有権はどうなるの?


分かった、つまりこれはあれだ。
祖父母を殺し井戸に沈めた上で土地を他人に明け渡しての捜査撹乱だな。
容疑者じゃない全くの他人の土地って警察が介入しにくそうじゃないか。


事件とかないです、デメリットとか。
山から夜に何か来るんです、もう怖いです、せつないです、自分はもうみたくないです。













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日々の恐怖 1月12日 摩耶山

2014-01-12 19:57:06 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 1月12日 摩耶山



 今日はちょっと怖かった話です。
もう、15年前くらいになりますが、そのころ神戸に住んでいて神戸の摩耶山というところに山登りに行ったときの話です。
 あんまり山の上でうろうろしすぎて降りるのが遅くなり、ケーブルの最終に間に合わなくなり、しょうがないから、歩いて降りていました。
あたりは、もう薄暗くなって黄昏時です。
足元が石段で暗いから足元を見ながら降りていました。
 すると、石段の石には、”大正XX年”とか年号が彫ってあるんです。
半分、土に隠れているのでよくわかりませんが、墓石のように見えました。
石段、全部がです。

「 なんで、階段に墓石使う?」

とか、妻と言いながら降りていくと、山道の向こうから人が歩いてくるではありませんか。
曲がっている山道にチラチラ見え隠れしています。
 私はお遍路さんのように見えたんですが、妻は白い着物を着た髪の毛の長い女の人のように見えたそうです。
買い物かごのようなものをさげていたとも、言っていました。
 しかし、歩いている途中、出会うことはありませんでした。
道のどこで消えたのか。
一本道なのに、すれ違わなかったんですけどね。
場所はちょうど青谷あたりだったと思います。
 確か、柳田国男の本に黄昏時には、来る人に挨拶をしない習慣がある村のことが書いてあったと思います。
それは、相手が誰かわかりにくいし、人間ですらないかもわからないからです。












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日々の恐怖 1月11日 バス

2014-01-11 18:07:39 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 1月11日 バス



 これは私が通っている学校の先生(以下Aとする)が話してくれた話です。

 Aは仕事が休みの日には海外へよく旅行に行っていた。
ある日、グランドキャニオンで見る朝日と夕日が綺麗と聞いたAは、友達と一緒に旅行しに行った。
朝日を見る為にバス停に行ったらしいのだが、時間になってもバスが来ない。
係員の人に聞いてみると、10分前には出発したとのこと。

「 さすがアメリカだなあ。」

とかAは呑気に考えていた。

 朝日は諦め夕日は必ず見ようと思っていた。
しかしAの友達は疲れが溜まっていて寝てしまったらしい。
わざわざ起こすのも可哀想だったからA1人で夕日を見る事に。

 さっきは10分前に出発していたからAは20分前にはバス停に着いていた。
するとバスはすぐに来た。

「 よかった~。」

と安心したのもつかの間、何か違和感を感じたのだ。

その違和感はすぐに分かった。
何ヵ所か回ってきているはずのバスなのに誰1人乗っていない。
不思議に思いながらもAは運転手の斜め後ろに腰を落とした。
すると黒人の男3人がバスに乗り込んできた。
 男達は何故か運転手に100ドルを支払った。
普通は1ドルでいいのに、Aは不安に感じていた。
さらにその男達はAの前、Aの隣、Aの後ろに腰を落とした。
そして、しきりに話し掛けてくる。
 バスは山道に差し掛かった。
その時Aはアメリカで多発している事件を思い出した。
その事件とはバスの運転手に多額のお金を払い、山中で降ろし、強姦したうえ殺すというものだ。
状況がピッタリ合った瞬間、

“ 私レイプされて殺される。”

そう思った。

“ なんとかしなければ・・・。”

Aは思った。

“ 運転手に喋ったら助けてくれるかも・・・。”

Aは固まった体を無理矢理動かしながら、運転手に話し掛けた。

「 ミュージカル、どこかでやってないでしょうか?」

と言うと、

「 NO・・・。」

と一言。
 すごく会話がスローモーションになっていたらしい。
すると、さっきまでしきりに話しかけてきていた黒人はもう話しかけてこなくなった。
そのままバスは無事にグランドキャニオンに着いてAは転がる様にバスを降りた。

 後日談になるが、Aはこの事をアメリカに暮らす友人に言ったらしい。
すると、「今こうやってAちゃんと話せてよかった。そういう風な状況で助かる確率は1%なんだよ」と言われた。

その1%の理由は、多額に支払われた運転手の気分次第。
多分、そのときの運転手は、Aを可哀想と思ったから山の中で降ろさなかったんじゃないかと。












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日々の恐怖 1月10日 手

2014-01-10 18:19:50 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 1月10日 手



 学校につきものの怪談ですが、表に出ない怪談もあるのです。
わたしが転勤した学校での話です。
 美術を教えているわたしは、作家活動として自ら油絵も描いていました。
住まいは1LDKの借家のため、家で大きな作品を描くことができず、放課後いつも学校の美術室に残って作品を描いていました。
今度の転勤先でも同じように、美術室の一角で制作を続けていました。
 ところが妙なことに気づきました。
作品の表面に、小さい子供の手の跡が一つ付いているのです。
 油絵というのは乾きが非常に遅く、完全に乾くのに1週間かかることもあります。
わたしが知らないうちに誰かが触ったのかと、あまり気にもせず制作を続けました。
手の跡も、絵の具で上から塗り重ね消してしまいました。
 しかし、次の日も子供の手が跡が一つ付いていました。
100号という大きさの油絵ですので、目立たないと言えば目立たないのですが、おかしなことなので単なるいたずらではないなと感じました。
 その日は作品全体の手の跡を消しながら描いているうちに、作品の山場にさしかかり、9時、10時、11時と、いつしか夜中になってしまっていました。
わたしの筆の音しか聞こえないはずの美術室に、いつごろからか、猫の鳴き声とも赤ん坊の声とも言えない、泣き声が聞こえるようになりました。
窓を開けても猫の姿はなく、赤ん坊も当然いるわけもありません。
 気にせず制作を続けていると、どうやら美術室の中から聞こえるようなのです。
泣き声のする方向を絞っていくと、美術室の後ろにある工芸用の電気釜の中のようです。
電気釜は焼き物を作るときに使う、大きめのゴミ箱ぐらいの大きさのものでしたが、故障なのか、長い間使った形跡はありません。
 フタを開けると、本当に生徒がゴミ箱がわりに使っているらしく、丸めた紙くずなどで内部が一杯です。
転勤してきたわたしも片づける暇もなく、放置したままだったのです。
 わたしが恐る恐る電気釜に近づいていくと、泣き声がふと止みました。
ひょっとして、生徒が子猫を閉じこめたのかもしれない。
そんないたずらをする生徒がいるなら、作品についた手の跡も納得できる。
わたしはいたずらの正体を見破るべく、電気釜のフタを開け、紙くずを拾い出しました。
美術室に響く紙の音は、気持ちのいいものではありませんでした。
 手に取れるゴミは拾い出しましたが、猫など見あたりません。
電気釜の底の方には、乾いた砂が溜まっていました。
わたしは砂に手を突っ込み、中を探りました。
 指先に手応えがあるので取り出してみると、それは骨でした。
動物のもののような骨。
わたしは恐くなり、それ以上手を突っ込むことはできず、美術室を飛び出しました。
 翌日、校長にこの出来事を話したところ、「すべてこちらで対応するから他言しないように」と強く言われました。
その後聞くところによると、わたしが転勤する前、不倫の末妊娠し退職した美術の女教師がいたということでした。
あの小さな手の跡と赤ん坊の泣き声を思い出すと、今も美術室に入ることが躊躇われます。













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日々の恐怖 1月9日 子育て日記

2014-01-09 18:29:17 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 1月9日 子育て日記



 パパは怖い話が大好き。
心霊写真だとか、心霊スポットだとか、そういうのも大好き。

 私は、怖いものは大嫌い。
怖い話は聞かないようにしています。

そこへ小さな冒険者子供くんが参戦。

「 ぼく、怖い話、怖くないよ。」

パパが

「 そうか!じゃ、怖い話聞くか!」

と車で、ぞっとする話を話しました。
 その中に死ぬ間際に大勢の黒い人が病室いっぱいにいて、誰?この黒い人たち・・と言って事切れたという話がありました。
 そこで私が、

「 ああ、これは私のママ(他界した子供くんのおばあちゃん)も言っていたわ・・・。
窓から死神が覗いてるってね。
ドアから怖い黒い人が入ってくるって。
点滴の台のところにこっちを睨んだ大男がいるとかね。
だから、怖くて眠れないから、病院に泊まってくれって言われてて、それで私、ずっと病院に泊り込みだったんだよ。」

と真実を言いました。
 もちろん私には何も見えませんし、その頃、脳にも癌が転移していたので、幻覚が見えるのだろうと病院の先生にも言われていました。
今考えると、幻覚だったのか、それともそういうものなのか、わかりませんねぇ。

 このときはまだ、パパも子供くんも平気そうでした。
別に、驚かすつもりで言ったわけではなかったので、その場で話してあとは忘れました。

 次に金縛りの話になりました。
パパはこれまで一度だけ金縛りにあったことがあるそうです。
私は一時期、しょっちゅう金縛りに遭っていました。
そこで、金縛りに遭った日のことを少しだけ話しました。

「 金縛りに遭ったから、南無妙法蓮華経と必死に唱えたら、
何十人もの声で南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経と繰り返され、
小ばかにするように何度も何度も繰り返され、
もう駄目だと思って、南無阿弥陀仏に変えたら、
一瞬で消えて、開放された。」

という話です。
 私は実体験ですから今更怖くも何ともありませんが、パパと子供くん絶句。

「 ・・・ぼく、ママからその霊感遺伝してたら・・、どうしよう・・・・・。」
「 いやいやいや、霊感なんてママにはないよ。
何も見えないし、金縛りくらいのもんだよ~。
最近はないし・・・。」
「 でもママ、占いの人に霊感あるって言われてたじゃない!」
「 ・・・え?そうだっけ?」

ああ、ああ、そういえば、そういえばね。
“あなたは神経質だから、神経質が高ぶると見えないものが見えることがある。”
とか、言われたわ。
見えたことないんですけど。笑。
金縛りのときは見るよね。
目はたぶん閉じているんだろうけど、夢的に見ますよね。

 結局、ぞっとする話より、ママの実体験のほうが怖い話だったらしく、
子供くんは「霊感は遺伝するのか」について、今、真剣に考えているようです。
だから、まず、その、そもそもの霊感がないと言っているのに気になってしまうようです。
 下手こきました・・・。
話さなければ良かったなぁ・・・。
もうはや後の祭りです。
はやく忘れてくれないかな。
もう、私は実体験は語らないと心に固く誓いました。
怖い話ブームよ、早く去ってくれ。













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日々の恐怖 1月8日 カーナビ

2014-01-08 18:05:30 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 1月8日 カーナビ



 私の車はカーナビを装備していますが、現在のナビは2つめになります。
1つめのナビは古いタイプのもので、液晶の画面をエアコンの噴出し口に据え付ける形のものでした。
 この1つめのナビですが、明らかに目的地へは遠回りの案内で墓場の前を通らせたり、走行中にガッチリと据え付けているはずの液晶モニターが突然ボロッと落ちるので仕方なしに停車するとそこは神社の前だったり…。
 などなど、いつしか仲間内でも「このナビは心霊ナビだ」と言われるようになっていました。

 今から3年ほど前、仲間と岐阜の白鳥周辺へスノーボードをしに行った帰りの事です。
その頃、友人が蟹江に住んでいたので、帰りに皆で顔を見せに行こうと名古屋方面へ車を走らせていました。
 前日の夜中から出発し、スキー場で一日動き回った後の渋滞…私たちの疲れはピークに達していたため、友人の家に寄る前にひとっ風呂浴びていこうという事になり、その友人にお風呂屋さんの電話番号を聞きナビで検索し目的地を設定ました。
 そしてとあるパーキングエリアの手前を過ぎる頃、同行していた仲間の1人である、いわゆる感の強いヤツが突然「今抜いていった黒い車、運転手が乗ってなかった」などと口走り始めました。
その時から車内にはイヤな空気が漂い始めました。

 やがて日も暮れ始め、名古屋市内にさしかかった頃、ナビが突然再検索を始め、今来た道を戻るよう指示してきたのです。
運転疲れの苛立ちがピークに達していた私は、

「 ハァ?この糞ナビがぁ!!」

と、機械であるカーナビを大人気なく罵りました^^;。
 するとどうでしょう。
ナビは再検索を始め、目的地を特定したかと思えばまた検索。
それを5回ほど繰り返しました。
 そして、モニターに浮かび上がったルートは3~4重の時計回りの渦巻き、そして真ん中に目的地を示す「G」のマーク。
友人達の会話がピタッと止みました。

 それを見た私はプッチ~ン!

「 よっしゃ、その通りに走ったる!!」

怒りに任せて黙々とハンドルを切る私。
 20分ほど走ったでしょうか。
ナビが「目的地周辺です。音声案内を終了します。」と告げたその場所は・・・・。
お風呂屋さんなどではなく、なんと葬儀場。
しかも、葬儀が執り行われている最中でした。

「 うああああああ!!」

車の中で叫ばない者はいませんでした。
逃げるように近所のファミレスへ飛び込み、とりあえず腹いっぱいご飯を食べました。
それからというもの、ナビを罵るのは止めました^^;













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