大聖堂のあるシテ島は 紀元前200年ころにケルト民族パリシイ人が集落を築いた
パリ発祥の地として 今も多くの観光客が集う場所となっている
だが隣に位置するサンルイ島については あまり語られることが少ない
そのサンルイ島に 一つの悲しい物語を訪ねて訪れた
繊細で印象深い作品を残した女流彫刻家 カミーユ・クローデルの物語だ
カミーユは若くしてその才能を 当時の彫刻界第一人者ロダンに認められ彼に師事した
まもなく二人は相思相愛の仲となり 同棲生活をスタートさせた
しかしロダンには既に 実質的な妻(ローズ・ブーレ)が存在していた
劇場型のカミーユにとって 自分一人だけを愛してくれない
優柔不断のロダンは 許せないものに映った
次第に心を病み ロダンの元を去って引きこもったのがサンルイ島のアパルトマンだった
彼女の心は張り裂けたまま アパート内で作品を制作しては完成途中で破壊し
部屋中に投げ散らすという 生活に陥ってしまった
心配した兄ポール・クローデルがアパルトマンを訪れ 悲劇的な姿を目撃する
「カミーユが壊れた 朝4時に自宅から脱走して行方知れず・・・」
1913年3月10日 二人の看護人がドアを壊して部屋に入りカミーユを病院に連れ去った
以後30年間 カミーユは南仏の精神病院で 一度もパリに戻ることなくその人生の幕を閉じた
華やかにパリの美術界に登場した若き彫刻家が パリに残した最後の足跡は
ここサンルイ島の アパルトメントの一室だった
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