極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

能登とガザとウクライナ

2024年01月10日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

      内風呂に癒されて知るウクライナ能登ガザ覆う寒き激流
                                                         


吾が家SDGs


食事前後の小鉢・小皿料理の食べ残しと仕舞洗いをなくすために、ふと、服用し
ている胃腸薬をお湯を使っているのだがそのお残りで洗い飲み干すことで、フー
ドロスと食器洗い負荷をなくすことに気付き、今朝から習慣づけることに。




【ナトリウムイオン固体二次電池】
2.特開2024-485 全固体二次電池
【発明を実施するための形態】
(封止層7
封止層7は、全固体二次電池1内部の内部空間8の真空を維持するために設けら
れる層である。封止層7に用いるガラスは、ガラスの熱的安定性や化学的安定性
を有し、真空を維持することができ、かつ粉体状態又はペーストとして扱いやす
くする観点から、軟化点が500℃以下であることが好ましく、470℃以下で
あることがより好ましく、450℃以下であることが更に好ましい。例えば、Bi
2O3-B2O3系ガラス等を用いるこ とができる。 
ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、モル%で、Bi2O3 25~60%、
B2O3 10~35%、CuO+MnO 1~40%を含有することが好ましい
が、この組成に限定されるものではない。 
以下、一例として、封止層7の形成方法について説明する。 封止層7形成方法
; まず、所望のガラス組成となるように調合した原料粉末を700~1000
℃で1~2時間、均質なガラスが得られるまで溶融する。次いで、得られた溶融
ガラスをフィルム状等に成形した後、粉砕し、分級することにより、ガラス粉末
を作製する。なお、ガラス粉末の平均粒子径D50は1~20μm程度であるこ
とが好ましい。第1及び第2の集電体層(5,6)との熱膨張係数を整合させた
り、封止層7の機械的強度を向上させたりする目的で、ガラス粉末に各種耐火性
フィラー粉末を添加、混合して、封止材料としてもよい。


図1 本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的正面断面図


図2.図1のA-A部の模式的平面断面図

【符号の説明】1…全固体二次電池 2…固体電解質層 3…正極層 4…負極層
5,6…第1,第2の集電体層 7…封止層 8…内部空間

耐火性フィラー粉末の添加量は、ガラス粉末の流動性を阻害しない範囲で添加す
ることが可能で、40体積%まで添加することができる。 
耐火性フィラーとしては、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β-スポジュ
メン、コーディエライト、ウイレマイト、ムライト、石英ガラス、β-ユークリ
プタイト、β-石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム
、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO4)3等の[AB2(MO4)
3]の基本構造をもつ化合物(AはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、
Zn、Cu、Ni、Mn等であり、BはZr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、
Y等であり、MはP、Si、W、Mo等である)若しくはこれらの固溶体が使用
可能である。特に、リン酸ジルコニウム、コーディエライト、ウイレマイト、リ
ン酸タングステン酸ジルコニウムが好ましい。これらの耐火性フィラーは、熱膨
張係数が低く、機械的強度が高い性質を有し、Bi2O3-B2O3系ガラス粉
末との適合性が良好である。

次いで、封止材料にビークルを添加して混練することにより封止材料ペーストを
調製する。ビークルは、主に有機溶剤と樹脂とからなり、樹脂はペーストの粘性
を調整する目的で添加される。封止材料の軟化点が低く、脱脂処理に問題が生じ
る場合は、樹脂を含有しない高粘度の有機溶剤を使用することもできる。また、
必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。なお、ガラス粉
末や耐火性フィラー粉末の表面に付着した微量の水分や有機物を予め除去する目
的で、ガラス粉末や耐火性フィラー粉末をビークルと混練する前に、ガラス粉末
や耐火性フィラー粉末をガラス粉末のガラス転移点付近で一定時間真空処理を施
してもよい。 

有機溶剤は、沸点が低く(例えば、沸点が300℃以下)、且つ焼成後の残渣が
少ないことに加えて、ガラスを変質させないものが好ましく、その含有量は10
~40質量%であることが好ましい。有機溶剤としては、プロピレンカーボネー
ト、トルエン、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3-ジメチル
-2-イミダゾリジノン(DMI)、炭酸ジメチル、ブチルカルビトールアセテ
ート(BCA)、酢酸イソアミル、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエ
チルケトン等を使用することが好ましい。また、有機溶剤として、高級アルコー
ルを使用することが更に好ましい。高級アルコールは、それ自身が粘性を有して
いるために、ビークルに樹脂を添加しなくても、ペースト化することができる。
また、ペンタンジオールとその誘導体、具体的にはジエチルペンタンジオール
(C9H20O2)も粘性に優れるため、溶剤に使用することができる。 

樹脂は、分解温度が低く、焼成後の残渣が少ないことに加えて、ガラスを変質さ
せ難い ものが好ましく、その含有量は0.1~20質量%であることが好ましい。
樹脂として、 ニトロセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ポリエチレン
カーボネート、アクリ ル酸エステル(アクリル樹脂)等を使用することが好まし
い。続いて、封止材料ペーストを第1の集電体層5及び第2の集電体層6の外周
縁(5a、6a)の封止箇所にディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を
用いて塗布し、有機溶剤が揮発する温度で乾燥させ、脱脂および封止材料を軟化
流動させ、集電体材料と接着させるために、封止材料に含有するガラスの軟化点
以上の温度でグレーズ処理する。なお、脱脂を十分に行う目的で、封止材料に含
有するガラスの軟化点以上に上げる前に、樹脂が分解する温度で一定時間保持し
てもよい。その後、別の被封止物を接触させて、再び封止材料に含有するガラス
の軟化点以上で真空中での熱処理することにより、ガラス粉末が軟化流動して両
者が封止される。なお、封止材料ペーストは、第1の集電体層5及び第2の集電
体層6のいずれかの外周縁の封止箇所にのみ塗布した後、別の被封止物を接触さ
せて、封止材料に含有するガラスの軟化点以上で真空中での熱処理することによ
り、ガラス粉末が軟化流動して両者が封止されてもよい。また、真空中での熱処
理の際に、ガラス内部の溶存ガスや粉末ガラス同士の界面に残存する空気層が原
因で発生した気泡を清澄して除去する目的で、軟化点付近にてN2等の不活性ガ
スを一定量導入することで、大気圧まで復圧処理をしても良い。

【実施例】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本
発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範
囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
(a)固体電解質層2の作製
固体電解質のβ”-アルミナの組成となるように、原料を1200℃で仮焼して
粉砕し、β-アルミナ粉末を作製した。β-アルミナ粉末をボールミルで粉砕し
バインダーと溶剤と混合しペーストを作製した。このペーストからグリーンシー
トを形成し、1550℃で30分焼成を行い、36mm□、厚み0.1mmの固
体電解質層2を形成した。
(b)正極ペーストの作製
ガラス組成として、モル比で40Na2O-20Fe2O3-40P2O5とな
るように調合した原料を、1200℃で1時間大気中にて溶融し、ツインローラ
ーで冷却することでガラスフィルムを作製した。得られたガラスフィルムに対し、
エタノール中でφ5mmのZrO2玉石、φ3mmのZrO2玉石、φ1mmの
ZrO2玉石を混合して使用したボールミル粉砕を60時間行うことにより、比
表面積が11.1m2/gのガラス粉末を得た。得られたガラス粉末に対し、さ
らにエタノール中でφ0.3mmのZrO2玉石とともに、遊星ボールミルで
300rpmで5時間の粉砕を行うことにより、比表面積が32.1m2/gの
ガラス粉末を得た。  得られたガラス粉末83質量%と、固体電解質としてのβ
”-アルミナ(比表面積は45.2m2/g)13質量%と、導電助剤としての
アセチレンブラック(AB)4質量%とを混合し、正極合材粉末を作製した。得
られた正極合材粉末100質量%に対して、バインダーとしてのポリプロピレン
カーボネート(PPC)15質量%を加え、正極合材粉末の濃度が50質量%と
なるように、溶媒としてN-メチル-2ーピロリドンを加えた。これを自公転ミキ
サーで混合することで、正極ペーストを作製した。

(c)負極ペーストの作製
組成比がNa3Zr2Si2PO12のNASICON型結晶が得られるように
、水ガラス(ケイ酸ナトリウム:Na2O・3SiO2)、炭酸ジルコニウムア
ンモニウム水溶液((NH4)2Zr(OH)2(CO3)2)、トリポリリン
酸ナトリウム(Na5P3O10)を合計25g秤量した。これらを、150g
の純水に加え、ホットスターラにより、50℃において24時間撹拌した。これ
により、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液(pH=9.7)を得た。
次に、この溶液を、5℃の恒温槽内において一晩静置することにより、ゲル化さ
せた。以上により、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体を調製した。
炭素電極材料前駆体である、ハードカーボン源のスクロース(ショ糖)と、ナト
リウムイオン伝導性固体電解質前駆体とを、重量比で4:1となるように、スタ
ーラ中で1時間混合することにより、混合物を得た。次に、上記混合物を、60
℃の恒温槽において12時間乾燥させ、その後、100℃において6時間真空乾
燥させることにより、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体及び炭素電極材
料前駆体の混合物の粉末を得た。次に、上記混合物の粉末をメノウ乳鉢で粉砕し
て粉末状とした。 

ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体及び炭素電極材料前駆体の混合物の粉
末と導電助剤(アセチレンブラック)とを、重量比で19:1となるように秤量し、
混合して混合粉末を得た。この混合粉末60質量部に対し、ハードカーボン粉末
(平均粒径D50は1μm)を40質量部混合し、負極合材粉末を得た。さらに
負極合材粉末100質量%に対して、バインダーとしてのポリプロピレンカーボ
ネート(PPC)を15質量%加え、負極合材粉末の濃度が50質量%となるよ
うに、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドンを加えた。これを自公転ミキサー
で混合することで、負極ペーストを作製した。 【0088】 (d)負極層4の
形成 36mm□、厚み0.1mmの固体電解質層2の一方側主面中央に、厚み
が50μm、34mm□になるように負極ペーストを塗工した。60℃の恒温槽
で1時間乾燥を行った。その後、N2(99.99%)雰囲気中において、800
℃、2時間の条件で焼成を行い負極層4を形成した。
負極層4の担持重量は、
(負極形成後の積層体の重量)-(固体電解質層の重量)
から求めた。
求めた担持重量に、このうちの活物質の比率0.8をかけてハードカーボン活物
質重量を算出した。また、ハードカーボンの容量をg当たり、300mAh/g
として、負極層4の容量を算出した。その結果、負極層4の容量は、0.49m
Ahであった。

(e)正極層3の形成
固体電解質層2の負極層4とは反対側の主面中央に、厚みが400μm、34m
m□になるように正極ペーストを塗工した。60℃の恒温槽で2時間乾燥後、N
2/H2(96/4 体積%)雰囲気中において、500℃、30分間保持の条件
で焼成を行い正極層3を形成した。正極層3の担持重量は、(正極形成後の積層
体の重量)-(正極形成前の積層体の重量)から求めた。求めた担持重量に、こ
のうちの活物質の比率0.83をかけてNa2FeP2O7活物質の重量を算出
した。Na2FeP2O7結晶化ガラス(Na2FeP2O7活物質)の容量を
g当たり、理論容量の97mAh/gとして、正極層3の容量を算出した。その結
果、正極層3の容量は、1.4mAhであった。

(f)封止材料ペーストの作製
まず、モル%で、Bi2O3 43%、B2O3 22%、ZnO 23%、Ba
O 5%、CuO 6%、Fe2O3 1%のガラス組成となるように調合した原料
粉末を1100℃で2時間、均質なガラスが得られるまで溶融した。次いで、得
られた溶融ガラスをフィルム状等に成形した後、粉砕し、分級することにより、
平均粒子径D50が10μmのBi2O3-B2O3系ガラス粉末を作製した。
作製したガラス粉末の軟化点は410℃、熱膨張係数は110×10-7/℃
(30-300℃)であった。また作製したガラス粉末の体積抵抗値:Logρ
(Ω・cm)は10であり、良好な絶縁特性を示していた。作製したガラス粉末
にアクリル樹脂からなる樹脂とα-ターピネオールからなる有機溶剤をスクリー
ン印刷やディスペンサー塗布に適した粘度に調整するよう添加して混練すること
により封止材料ペーストを調製した。 

なお、熱膨張係数は、TMA装置を用いて、30~300℃の温度範囲で測定し
た値である。なお、熱膨張係数の測定試料として、その軟化点+20℃の温度で
緻密に焼結させたものを使用した。軟化点は、マクロ型DTAにより求めた値で
ある。DTAにおいて、測定雰囲気は大気、昇温速度は10℃/分とし、室温か
ら測定を開始した。

g)封止層7の形成
続いて、それぞれ50mm□、厚み100μmのSUS430(熱膨張係数:
107×10-7℃(30-300℃))からなる第1の集電体層5の外周縁5
a及び第2の集電体層6の外周縁6aの封止箇所に封止材料ペーストを、44m
m□のサイズで幅2mm、高さ1mmとなるようにディスペンサーやスクリーン
印刷機等の塗布機を用いて塗布し、120℃で15分間乾燥させ、大気中430
℃で10分保持しグレーズ処理を行った。その後、第1の集電体層5の封止材料
で囲まれた箇所に正極層3と負極層4が形成された固体電解質層2を載置し、第
2の集電体層6を互いの封止材料が接触するように載置して、2~3Paの真空
中で450℃、20分間熱処理することにより、封止層7を形成し、全固体二次
電池1を作製した。 

(h)充放電試験
正極容量を基準とし0.02Cレート(50時間充放電)の電流値で定電流充電
試験を60℃中の恒温槽内で、0.02Cレート(50時間充放電)の電流値で
定電流放電試験を60℃及び150℃中の恒温槽内で、試験した。

[評価結果] 図4は、実施例1の充放電試験の結果を示す図である。 図4に示
すように、150℃で放電を行っても60℃の時と同様に安定した出力特性が得
られた。また、150℃の場合と同様の方法で200℃、250℃、300℃の
それぞれの充放電試験を行ったところ、150℃の場合と同等の出力特性を示す
ことを確認した。

図4.実施例1の充放電試験の結果を示す図
                                                                    了
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画像 超短パルスベッセルビームによるデジタルPCRチップの高速作製

次世代のデジタルPCRチップをガラスで作製
超短パルスベッセルビームによる「高速穴開け」
1月10日、理化学研究所は、超短パルスベッセルビームによる微細可溶部形成と
その後の選択化学エッチングを用いてガラス製デジタルPCRチップの高速作製に
成功したことを公表。
集光点が長距離持続する超短パルスベッセルビームを用いて、ガラス基板に多数
の微細貫通穴(直径0.07mm、深さ0.4mm)を高速で開ける技術を開発。シングル
ショットのベッセルビームで1個の微細可溶部を形成し、1秒間に100個の微細可
溶部を作ることができます。高速のステージを用い、レーザーの繰り返し周波数
(1秒間に発するパルスの数)を増加させれば、1秒間に数千個以上の微細可溶部
の作製も可能。スライドガラスに20,000個の微細貫通穴を開けたチップを、核酸
増幅技術(NAAT)
の一つであるリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)に応用
した結果、デジタルPCRに適用できることを実証。次世代の高感度・高精度医療
検査法として期待されるデジタルPCR検査を実現するチップを高速・安価に製造技
術となる。



【概要】
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)は、標的DNA領域を選択
的に短時間で10万倍以上に増幅する方法で、新型コロナウイルス感染検査などの
臨床診断、環境病原体モニタリング、遺伝子工学、DNA配列決定などに広く利用。
一般的なPCRでは、1本の試験管に複数の標的DNAを含む試料を導入し増幅する方
式が用いる。一方、デジタルPCRでは、標的DNAを含む試料を限界希釈して、各ユ
ニットに0個か1個の標的DNAが入るように、試料を多数の微小な独立したユニッ
トに分割。それぞれのユニットに対してPCRを行い、標的DNAが存在するユニッ
トの数をカウントすることにより標的DNAを定量。デジタルPCRを行うことにより、
感度および精度の向上、標的DNA分子の絶対定量、まれな変異の検出、阻害物質の
影響の受けにくさなど、従来のPCRをはるかに超える性能の検査が可能。
デジタルPCRで使用するチップには、直径数十マイクロメートル、深さ数百μmの
微細貫通穴構造の独立したユニットが1万個以上開けられる。これまでシリコン
やポリマーを基板としたデジタルPCRチップの開発が進められていたが、シリコ
ン基板の場合、光リソグラフィープロセス[4]を用いて微小なユニットを多数形
成するので、多くの工程が必要となる。また、ポリマー基板の場合、金型加工[5
]で多量のチップを安価かつ高速に作製できるが、疎水性のため溶液を微小なユ
ニットに導入することが困難であるとともに、熱伝導率が低いためPCRには不向
きであった。

今回、デジタルPCRチップの基板として、親水性があり、比較的熱伝導率の高い
ホウケイ酸ガラスを用いました。ホウケイ酸ガラスは、透明であり、蛍光をほと
んど発せず、耐圧性・耐熱性に優れ、しかも安価といった特長を持ち、デジタル
PCRチップの基板に適しています。研究チームが開発した超短パルスレーザー誘
起選択エッチング法[6]に、集光点が長距離持続する超短パルスベッセルビームを
利用することにより、ガラス基板に10,000個以上のユニットとなる微細貫通穴を
高速で開けることを試みました。さらに、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RP
A)に応用し、その性能を実証。 従来のガウシアンビームでは焦点深度は数~数
十μmであり、基板の厚さ数百μmの領域を加工するためには、集光点を基板の厚
さ方向に沿って走査させる必要がある。一方、ベッセルビームの焦点深度(集光
点が持続する距離)は通常数mm以上あるため、基板の厚さ数百μmの領域で集光
点を一度に形成できるので、ビームを基板の厚さ方向に走査することなく加工で
きるが、ベッセルビームの焦点深度が基板の厚さよりはるかに長いため、多くの
エネルギーが加工に使われず無駄になることが課題。

ベッセルビームは、レーザー光源から出射されたレーザー光をコリメータレンズ
などにより平行光として空間伝播させ、これを円すい形のアキシコンレンズに入
射させて生成させる。 アキシコンレンズで生成された波長1,030ナノメートル
(nm、1nmは10億分の1メートル)、パルス幅2ピコ秒(ps、1psは1兆分の1秒)の
ベッセルビームを2枚のレンズと20倍の対物レンズを用いて縮小投影することに
より、焦点深度が基板の厚さとほぼ同じになるよう、ベッセルビームを成形しま
した(図1(a))。成形されたベッセルビームのシングルショットを繰り返し周
波数100Hz(1秒間に100発のレーザーパルスを出射)で、XYZステージ上に保持さ
れた厚さ500μmのガラスに照射しつつ、XYZステージを1.2cm/秒で移動させるこ
とで、120μmの間隔で1秒間に100個の微細可溶部を形成しました(図1(b))。
より高速なステージを用いて、繰り返し周波数を速くすれば、数千個/秒以上の
加工速度を達成することも可能。


図1.超短パルスベッセルビームの加工装置の概略図とレーザー光照射の様子
a)超短パルスレーザーから発振されたレーザー光を、1/2波長板と偏光ビームス
プリッターを用いて調整した後、アキシコンレンズを用いてベッセルビームを生
成。生成されたベッセルビームを二つのレンズ(レンズ1、レンズ2)と対物レン
ズを通して成形し、ガラス基板に照射する。(b)ベッセルビームを1ショットず
つガラスに高速に照射する。

レーザー照射後、全域にわたって直径1μmの円形の微細可溶部が複数形成された
厚さ500μmのガラス基板(図2(a))に対し、10%のフッ酸溶液を用いて選択化
学エッチングを行う。微細可溶部は、レーザー光が照射されていない領域と比較
して、フッ酸に対して約4倍速い速度でエッチングが進む。その結果選択化学エ
ッチングを30分行うことにより、直径が約70μmで、深さが400μmの微細貫通穴
が形成される(図2(b))。形成された微細貫通穴の寸法は、デジタルPCRを使
うには適す。微細可溶部と未照射領域のエッチング速度の比が比較的小さく、微
細貫通穴の形成過程で側壁もエッチングするため、直径1μmの微細可溶部にもか
かわらず直径が約70μmの微細貫通穴を作製できた。また、ガラスの親水性の特
性と毛細管現象の作用により、容易に微細貫通穴に水溶液を充填できる(図2(
b)右下)。

図2.微細可溶部、形成された微細貫通穴、作製されたチップの光学顕微鏡写真

レーザーを高速で走査することにより、1枚のガラス基板に20,000個の微細貫通
穴を形成に成功する。微細可溶部の形成に要したレーザー照射時間はわずか300
未満(図2(c))。前述のように、より高速なステージと速いレーザー繰り返
し周波数を用いれば、さらに微細可溶部の形成時間を短縮することが可能です。
一方、エッチングには数十分の時間を要すが、エッチングは一度に多数のガラス
基板を処理でき、デジタルPCRチップの大量生産には問題ない。
デジタルPCRへの応用の可能性を実証に、微細貫通穴アレイが形成されたガラス
チップを使って、核酸増幅技術(NAAT)の一つであるRPAを行う。 まずガラスチ
ップに形成された微細貫通穴のうち約10,000個の微細貫通穴に染色したDNA分子
を含む試薬を充填し、鉱油で被覆(図3(a))。ガラスチップに充填された試薬
を40ºCで25分間増幅を行った後、5倍および10倍の対物レンズを使って任意の複
数箇所を蛍光顕微鏡で観察した(図3(b)~(e))。 その結果、いくつかの微
細貫通穴からは強い蛍光が観察されたが、それ以外の微細貫通穴からは蛍光はほ
とんど観察されなかった。蛍光が観察された微細貫通穴には標的DNA分子が存在し、
蛍光を発しない微細貫通穴には標的DNA分子がないことを意味する。観察結果よ
り、各微細貫通穴から観察された蛍光強度の散布図を求めました(図3(f))。
微細貫通穴からの蛍光強度は、80程度(任意単位)か20程度の二つにほぼ分類さ
れ、各微細貫通穴には最初0個か1個の標的DNA分子が導入され、それが増幅され
ていることを確認。この結果は、作製したガラスチップがデジタルPCRにも適用で
きることを示した。

図3.作製したチップのデジタルRPAへの応用
(a)微細貫通穴に試薬を導入し鉱油で被覆したガラスチップの全景。(b)~
(e)2種類の対物レンズを用いて任意の複数箇所を測定した蛍光顕微鏡像。(f)
試薬を充填した各微細貫通穴からの蛍光強度の散布図。

デジタルPCRチップ作製には、微細可溶部と未照射領域のエッチング選択比が比
較的小さい(4倍程度)フッ酸を仕様。水酸化カリウム溶液を用いると改質領域
を未改質領域より高い選択比でエッチングすることができ、微細かつ高アスペク
ト比の微細貫通穴をガラスに形成できる(図4(a))。このような微細で高アス
ペクト比の貫通穴は、次世代3次元集積回路で必要とされるガラス貫通穴電極(
Through Glass Via:TGV
形成への応用が期待できる。また、ベッセルビームを連
続的に走査すると、比較的大きな寸法の任意の形状の微細貫通穴を形成すること
もできる。例えば、正方形の形状の微細貫通穴アレイが形成されたガラスチップ
は、ショウジョウバエを用いた高速運動制御機構の研究にも用いることができる
(図4(b))。本加工技術では、クラックやバリのない微細貫通穴を形成できる
ので、特にショウジョウバエの高速運動制御機構の研究では本加工技術で作製し
た微細貫通穴アレイガラスチップは最適である。(図4割愛)

掲載論文】
Jiawei Zhang, Kotaro Obata, Kazunari Ozasa, Takanori Uzawa, Yoshihiro Ito, Koji Sugioka,
"Rapid Manufacturing of Glass-Based Digital Nucleic Acid Amplification Chips by Ultrafast
  Bessel Pulses", Small Science, 10.1002/smsc.202300166新規タブで開きます
 

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図1.エチオプラストに発達するプロラメラボディの構造(左)と膜脂質組成
(右)
プロラメラボディとチラコイド膜の構造は大きく異なるが、膜の脂質組成はよく
似ており、全体の約2 割を酸性脂質(負電荷を もつ脂質)であるSQDG とPG が占
める。SQDG は硫黄を含む糖脂質。PG はリン脂質。MGDG;モノガラクトシルジア
シルグ リセロール、DGDG;ジガラクトシルジアシルグリセロール、SQDG;スルホ
キノボシルジアシルグリセロール、PG;ホスファチ ジルグリセロール。

光合成にかかわる脂質の機能解明が大きく前進! 
モヤシが葉緑体をつくるためのカギは「酸性リン脂質」
1月11日、大阪公立大学,日本女子大学,弘前大学,東京大学は,シロイヌナズナ
の変異体を用いた解析から,ホスファチジルグリセロール(PG)がプロラメラボ
ディの格子構造の形成やクロロフィル中間体の合成に必要であること,またスル
ホキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)がPGの役割を一部補うことを解明。

光合成には葉緑体が必要であることはよく知られているが,暗所で発芽した被子
植物(モヤシ)には葉緑体がない。しかし,モヤシは光を浴びる前から葉緑体を
作る準備をしている。モヤシの先端には黄白色の小さな葉(子葉)があり,その
子葉の細胞内にエチオプラストと呼ばれる器官,さらにその内部にはプロラメラ
ボディと呼ばれる構造体がある。 プロラメラボディにはクロロフィルになる前の
物質(クロロフィル中間体)が蓄えられており,モヤシに光が当たると,直ちに
クロロフィルに変えられる。それに伴い,プロラメラボディはチラコイド膜に,
エチオプラストは葉緑体になって,光合成が可能となる。

この変化や関連物質について,さまざまな研究が行なわれてきた。これまでに、
プロラメラボディを作る膜脂4のうち,ガラクト脂質(MGDG,DGDG)の重要性は
示されたが,残りの2つの脂質,PGとSQDGの役割は不明であった。

そこで研究グループは,プロラメラボディの足場を構成する膜脂質に着目し,こ
れらの酸性脂質がエチオプラストの発達や機能にどのように関わるかを,PGや
SQDGの合成が異常になったシロイヌナズナの変異体を用いて調べたの結果,プロ
ラメラボディを構成する4種類の脂質の重要性が判明し,中でもPGがエチオプラ
ストの発達に特別な役割を担うことが明らかになった。 研究グループは,これ
までのガラクト脂質の研究と合わせ,プロラメラボディを構成する4種類の膜脂
質すべての重要性を明らかにした。これは,植物がどのように効率的に葉緑体を
形成し光合成を開始するかという仕組みを解明する上で極めて重要な知見となる。

【掲載論文】
雑誌名: Plant Physiology
論文名: Anionic lipids facilitate membrane development and protochlorophyllide
  biosynthesis in etioplasts

著者: Akiko Yoshihara, Keiko Kobayashi, Noriko Nagata, Sho Fujii, Hajime Wada and
  Koichi Kobayashi
載URL
  https://academic.oup.com/plphys/advance-article/doi/10.1093/plphys/kiad604/7420153


炭素繊維を一方向に配向した圧電プラスチックセンサ
繊維方向の機械的特性は約20倍に
昨年12月19日、東北大学と大阪工業大学の研究グループは、「一方向炭素繊維強
化圧電プラスチックセンサー」を開発。機械的強度に優れたモーションセンシグ
システムを実現することが可能となる。

2枚の圧電ナノコンポジットシート界面に炭素繊維を一方向に配向  
共同研究グループは2023年12月、「一方向炭素繊維強化圧電プラスチックセンサ」
を開発。機械的強度に優れたモーションセンシングシステムを実現することが可能
となる。圧電プラスチックは、振動発電機能やセンシング機能を備えている。こ
のため人体モーションセンサ用素材として期待されている。しかし、機械的強度
が低く応用範囲は限られていた。そこで研究グループは、超軽量で優れた機械的
安定性を有する炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を補強材と電極に用いること
とした。今回開発した一方向炭素繊維強化圧電複合材料は プラスチック(エポ
キシ樹脂)に圧電ナノ粒子(ニオブ酸カリウムナトリウム:KNNを分散した2枚の
圧電ナノコンポジットシート界面に、炭素繊維を一方向に配向させて接合し一体
化した。この結果、繊維方向には優れた縦弾性係数と引張強度を実現した。繊維
の垂直方向にはよく伸びてセンサの性能が向上することを確認した。研究グルー
プは、実験結果に基づきマルチスケール・マルチフィジックス有限要素モデルを
開発。開発したモデルを適用し、圧電CFRPユニットセルの異方性電気力学特性を
求めた。また、得られた値を3層サンドイッチ構造に適用して解析すれば、炭素
繊維強化圧電複合材料の応力状態や変形挙動に加え、出力電圧も予測できるとの
こと。  

図1.分極プロセスの構成と内向き直列バイモルフ型構造の模式図

さらに、作製した一方向炭素繊維強化圧電複合材料の引張試験結果と有限要素解
析結果を比較。この結果はよく一致しており、配向させた繊維方向(x方向)に
は伸びにくく、繊維に垂直方向(y方向)には伸びやすいことが実証された。実
験では、試料のx方向とy方向に50Nの荷重を繰り返し与え、出力電圧を測定した。
この結果、伸びやすい(柔らかい)方向の出力電圧は、強度が高い繊維方向に比
べ20倍以上となった。研究グループは、作製した一方向炭素繊維強化圧電複合材
料を「野球グローブ」や「靴」に取り付け、動き検出を行った。野球グローブで
ボールをキャッチングした時には約2Vの電圧を出力した。キャッチングのタイミ
ングも、信号の振幅スペクトログラムを用いて正確に認識できるという。  
また、右足用の靴にだけ圧電複合材料を取り付けた。右足を踏み出すとその重み
で電圧が出力される。歩行中は人体の重心が移動するため、1個のセンサーのみ
で両足の動きを感知できる。歩き始めると約3Vの電圧が出力される。さらに、振
幅スペクトログラムから、脚の歩行パターンも分かる。

【掲載論文】
タイトル:Fabrication, Evaluation , and Multiscale Simulation of Piezoelectric Composites
 Reinforced Using Unidirectional Carbon Fibers for Flexible Motion Sensor
s
著者:Yaonan Yu*, Chao Luo, Takayuki Suto, Yasutomo Uetsuji, Fumio Narita*
*責任著者:東北大学大学院環境科学研究科 大学院生 余 瑶楠,教授 成田 史生
掲載誌: Small DOI:doi.org/10.1002/smll.202307689 URL:https://onlinelibrary.wiley.
 com/doi/10.1002/smll.202307689


  
 
Limelight    1952


夜の寸評:  縄をすてまじ!

12年前にブログアップしているが、現在も着工されず、政府が直接計画する有様
である。「多目的メガフロート」(滑走路として建造する案)を掲載したが、生
物多様性が配慮されずい埋め立て方式で強行するのだろうか。


 
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1月10日、アメリカの証券取引委員会(SEC) がに、ビットコインに直接投資する 上場投
資信託(ETF)
についての11件の申請を承認た。仮想通貨ウォレットや取引所を利用しな
くても、従来の株式取引と同じ枠組みでビットコインに投資できるようになったことで、仮
想通貨市場の活況に一層の弾みがつくという。 「リスクインパクト」評価」 
はされている
のだろうか? 興味はわかないが以下暫く考察をつづける。


 

コメント
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全固体電池 vs 全樹脂電池

2024年01月10日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。


出所:Seizo Trend

全樹脂電池と全固体電池の違い
全固体電池は、電解液が固体状、集電体には金属部品を使用。全樹脂電池の方が
より安全性が高く、製造が容易で低コストが特徴。実用化は、全固体電池がリー
ドする。TDKや村田製作所は、電装部品用などの小容量分野で実用化を進めており、
トヨタなどは全固体電池搭載の試作車を開発して試験走行を行っている。
これに対し、全樹脂電池とは、主要な材料に樹脂を使用した新しいリチウムイオ
ン電池のこと。三洋化成工業による支援の下、2018年10月に設立したスタートア
ップ企業のAPBが開発。

特集|全樹脂電池/全固体二次電

1.特開2023-178272 リチウムイオン電池用集電体、リチウムイオン電池用電
 極
及びリチウムイオン
【要約】
高分子材料と導電性フィラーとを含む樹脂組成物からなる樹脂集電体基板と、上
記樹脂集電体基板の表面の少なくとも一方に設けられた撥水層と、を有すること
を特徴とするリチウムイオン電池用集電体で、電解液の液滲みを防止することが
できるリチウムイオン電池用集電体の提供。
【特許請求項目】 
【請求項1】 高分子材料と導電性フィラーとを含む樹脂組成物からなる樹脂集電
体基板と、 前記樹脂集電体基板の表面の少なくとも一方に設けられた撥水層と、
を有することを特徴とするリチウムイオン電池用集電体。
【請求項2】 前記撥水層の電解液に対する接触角が80°以上である請求項1に
記載のリチウムイオン電池用集電体。
【請求項3】 前記撥水層がフッ素樹脂からなる請求項1に記載のリチウムイオ
ン電池用集電体。
【請求項4】 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン重合体、フルオロエチ
レン・ビニルエーテル共重合体、フルオロエチレン・(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体及びエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選択
される1種以上である請求項3に記載のリチウムイオン電池用集電体。
【請求項5】 前記導電性フィラーの含有量の割合が、前記樹脂集電体基板の総重
量に対して10~50重量%である、請求項1又は3に記載のリチウムイオン電
池用集電体。
【請求項6】 請求項1又は3に記載のリチウムイオン電池用集電体と、前記リチ
ウムイオン電池用集電体の一方の表面に配置された電極組成物層とを有し、前記
撥水層が、前記電極組成物層と隣接していることを特徴とするリチウムイオン電
池用電極。
【請求項7】 高分子材料と導電性フィラーとを含む樹脂組成物からなる樹脂集電
体基板の表面の少なくとも 一方に樹脂溶液を塗布する塗布工程と、前記樹脂集電
体基板の前記表面に塗布された前記樹脂溶液を脱溶剤して撥水層を形成する撥水
層形成工程とを有することを特徴とするリチウムイオン電池用集電体の製造方法。
【請求項8】 前記樹脂溶液が、フッ素樹脂と、ハイドロフルオロエーテル及び/
又はハイドロフルオロオレフィンとを含む請求項7に記載のリチウムイオン電池
用集電体の製造方法。



ところで、リチウム電池でない全固体型ナトリウムの魅力とは。①オール酸化物
のため、発火や有毒ガス発生のおそれがない、②低温(-40℃)から高温(200℃
)まで 安定して作動する 、③付帯設備が不要で、電池パックの構造を簡素化で
きる。わたし(たち)は。ハイブリット薄膜太陽電池とナトリウム蓄電池を合体
させた道路や窓硝子や塀や壁面を覆い尽くせる魅力である。



【ナトリウムイオン固体二次電池】
2.特開2024-485 全固体二次電池
【要約】
下図1のごとく固体電解質層2と正極層3と負極層4とを有する全固体二次電池
1であって正極層3の固体電解質層2が配置された側の反対側の主面上に設けら
れた第1の集電体層5と、負極層4の固体電解質層2が配置された側の反対側の
主面上に設けられた第2の集電体層6と、第1の集電体層5の外周縁5aと第2
の集電体層6の外周縁6aとの間に設けられ、かつ正極層3及び負極層4を封止
する封止層7と、を有し、第1の集電体層5と第2の集電体層6と封止層7に囲
まれた内部空間8は真空であることを特徴とする、150℃以上の高温で一定期
間使用される場合にも、良好なサイクル特性を実現できる全固体二次電池を
提供。


図1 本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的正面断面図


図2.図1のA-A部の模式的平面断面図

【符号の説明】1…全固体二次電池 2…固体電解質層 3…正極層 4…負極層
5,6…第1,第2の集電体層 7…封止層 8…内部空間

【特許請求範囲】
【請求項1】 固体電解質層と正極層と負極層とを有する全固体二次電池であって、
前記正極層の前記固体電解質層が配置された側の反対側の主面上に設けられた第
1の集電体層と、 前記負極層の前記固体電解質層が配置された側の反対側の主面
上に設けられた第2の集電体層と、前記第1の集電体層の外周縁と前記第2の集
電体層の外周縁との間に設けられ、かつ前記正極層及び前記負極層を封止する封
止層と、を有し、前記第1の集電体層と前記第2の集電体層と前記封止層に囲ま
れた内部空間は真空であることを特徴とする全固体二次電池。
【請求項2】前記封止層が、軟化点500℃以下の低融点ガラスを含有すること
を特徴とする請求項1に記載の全固体二次電池
【請求項3】前記封止層が、Bi2O3-B2O3系ガラスを含有することを特
徴とする請求項2に記載の全固体二次電池。
【請求項4】 前記正極層が、一般式NaxMP2O7(1≦x≦2、MはFe、
Ni、Co、Mn、及びCrからなる群から選択される少なくとも1種)で表さ
れる結晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質を含む、請求項1~3のい
ずれかに記載の全固体二次電池。
【請求項5】前記負極層が、ハードカーボンからなる負極活物質を含む、請求項
1~3のいずれかに記載の全固体二次電池。
【請求項6】前記固体電解質層が、β-アルミナ、β”-アルミナ、及びNAS
ICON結晶からなる群から選択される少なくとも1種である、固体電解質を含
む、請求項1~3のいずれかに記載の全固体二次電池。

【概要】
リチウムイオン二次電池は、モバイル機器や電気自動車等に不可欠な、高容量で
軽量な電源としての地位を確立している。しかし、現行のリチウムイオン二次電
池には、電解質として可燃性の有機系電解液が主に用いられているため、発火等
の危険性が懸念されている。この問題を解決する方法として、有機系電解液に代
えて固体電解質を使用した全固体リチウムイオン電池などの全固体電池の開発が
進められているが、全固体電池においては、電極端子と集電体の接合部や電池の
外装体において樹脂等の有機材料が使用されている。また、全固体電池要素を封
入したラミネート外装体の内部には空気等の気体が含まれている(例えば特開
2015-79719参照)。全固体電池を例えば150℃以上の高温環境下で使用した場
合、電極端子と集電体の接合部や電池の外装体に使用されている樹脂等の有機材
料が劣化したり、全固体電池要素を封入したラミネート外装体の内部に残存する
気体が膨張したりして、全固体電池の各構成部品間(例えば、電極端子と集電体
との間)の接合部が剥がれ、全固体電池の内部抵抗が高まり、充放電可能な放電
容量が大幅に低下してしまう恐れがあり、本発明の目的は、150℃以上の高温
で一定期間使用される場合にも、良好な出力特性及びサイクル特性を実現できる
全固体二次電池を提供する。

【発明を実施するための形態】
(全固体二次電池)
図1は、本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的断面図。図2は、
図1のA-A部の模式的平面断面図である。図1、2に示すように、全固体二次
電池1は、固体電解質層2と、正極層3と、負極層4と、第1の集電体層5と、
第2の集電体層6と、封止層7を備える。全固体二次電池1としては、全固体リ
チウムイオン二次電池、全固体ナトリウムイオン二次電池、全固体マグネシウム
イオン二次電池等が挙げられる。以下、全固体ナトリウムイオン二次電池を例と
して説明するが、以下の実施形態は全固体二次電池一般に適用可能である。 
本実施形態において、固体電解質層2は、ナトリウムイオン伝導性酸化物により
構成されている。また、固体電解質層2は、対向している第1の主面2a及び第
2の主面2bを有する。  固体電解質層2の第1の主面2a上には、正極層3が
設けられている。正極層3は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な正極活物質を含ん
でいる。また、正極層3の固体電解質層2が設けられた側とは反対側の主面3a
上には、第1の集電体層5が設けられている。なお、正極層3と第1の集電体層
5との界面での電子伝導性を高めるために、予め正極層3の表面に金属アルミニ
ウム等の薄膜をスパッタリング法や真空蒸着法等により形成することが好ましい。
また、薄膜は、スパッタリング法により形成されたスパッタ膜であることが、正
極層3との密着性に優れるため好ましい。 

固体電解質層2の第2の主面2b上には、負極層4が設けられている。負極層4
は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な負極活物質を含んでいる。また、負極層4の
固体電解質層2が設けられた側とは反対側の主面4a上には、第2の集電体層6
が設けられている。なお、負極層4と第2の集電体層6との界面での電子伝導性
を高めるために、予め負極層4の表面に金属アルミニウム等の薄膜をスパッタリ
ング法や真空蒸着法等により形成することが好ましい。また、薄膜は、スパッタ
リング法により形成されたスパッタ膜であることが、負極層4との密着性に優れ
るため好ましい。
第1の集電体層5の外周縁5aと第2の集電体層6の外周縁6aとの間は封止層
7が設けられている。第1の集電体層5と第2の集電体層6と封止層7に囲まれ
た内部空間8に、固体電解質層2と、正極層3と、負極層4とが配置。
また、第1の集電体層5と第2の集電体層6と封止層7に囲まれた内部空間8は
真空である。そのため、150℃以上の高温で一定期間使用される場合にも、電池
の内部空間8が膨張せず、良好な出力特性及びサイクル特性を実現できる全固体
二次電池1を提供することができる。なお、ここでいう真空とは、1000Pa
以下の圧力状態を示し、電池の内部空間8の真空度が高い程、良好な電池特性を
有する。電池の内部空間8の真空度は、500Pa以下にすることが好ましく、
100Pa以下にすることがより好ましい。また、電池の内部空間8を真空にす
ることで、常に大気圧力で両集電体層が外部より加圧されている状態となり、正
極層3と第1の集電体層5、及び、負極層4と第2の集電体層6の接触状態が長
期間安定に保たれる。図1の実施形態では、封止層7は、第1の集電体層5の外
周縁5aの下面と第2の集電体層6の外周縁6aの上面の間に配置されているが、
第1の集電体層5の外周縁5aの側面と第2の集電体層6の外周縁6aの側面に
接するように封止層7を配置してもよく、第1の集電体層5の外周縁5aの側面
と第2の集電体層6の外周縁6aの上面に接するように封止層7を配置してもよ
く、第1の集電体層5の外周縁5aの下面と第2の集電体層6の外周縁6aの側
面に接するように封止層7を配置してもよい。


図3.本発明の一実施形態に係る全固体二次電池を示す模式的正面断面図

上記の構成以外に、図3に示すように、正極層3と負極層4が形成された固体電
解質層2の端部と第1の集電体層5または第2の集電体層6との接触による短絡
を抑制する目的で、絶縁部材9を電池の内部空間8に設置してもよい。絶縁部材
9は、薄片状であることが好ましい。絶縁部材9の厚みは、50μm以下が好ま
しく、30μm以下がより好ましく、0.5μm以上が好ましく、1μm以上が
より好ましい。絶縁部材9は、150℃以上の耐熱性を有していることが好まし
い。絶縁部材9は、セラミック、ガラス等の無機物から構成されていることが好
ましいが、150℃以上の耐熱性を有していれば、樹脂を用いてもよい。セラミ
ック、ガラス等の無機物から構成されている絶縁部材9としては、アルミナ、ジ
ルコニア、窒化アルミ、窒化ケイ素、ガラスの粉末や繊維から形成される、セラ
ミックスシート、ガラスシート、セラミック繊維不織布、ガラス繊維不織布、セ
ラミックウール、ガラスウール等用いることができ、樹脂から構成されている絶
縁部材9としては、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミ、窒化ケイ素、ガラスの
粉末や繊維から形成される セラミックスシート、ガラスシート、セラミック繊維
不織布、ガラス繊維不織布、セラミックウール、ガラスウール等が挙げられ、ポ
リフェニレンスルファイド、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リアミドイミド、シリコン樹脂、アリル樹脂、等が挙げられる。
なお、図3においては、絶縁部材9を固体電解質層2と第1の集電体層5との間
の内部空間8と固体電解質層2と第2の集電体層6との間の内部空間8の両方に
設けているが、片方のみに設けてもよい

本実施形態において、全固体二次電池1を構成する固体電解質層2と、正極層3
と、負極層4と、第1の集電体層5と、第2の集電体層6と、封止層7のすべて
が、無機物からなることがより好ましく、全固体二次電池1を構成するすべての
部材が、無機物からなることがより好ましい。「無機物からなる」とは、樹脂等
の有機物を不純物以外は含有せず(例えば、0.1wt%以下)、金属、セラミ
ック、ガラス等の無機物から構成されていることを意味する。 
上記実施形態においては、正極層3に対する負極層4の容量比(負極層/正極層
)は、1.10以下であることが好ましく、0.80以下であることがより好ま
しく、0.60以下であることがさらに好ましい。正極層3に対する負極層4の
容量比(負極層/正極層)が上記上限値以下である場合、全固体二次電池1の充
放電効率をより一層向上させ、より一層の高エネルギー密度化を図ることができ
る。また、正極層3に対する負極層4の容量比(負極層/正極層)は、0.10
以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.40
以上であることがさらに好ましい。正極層3に対する負極層4の容量比(負極層
/正極層)が上記下限値以上である場合、負極層4での金属ナトリウムの過剰な
析出を抑制することができ、より短絡しにくくなる。

なお、正極層3に対する負極層4の容量比(負極層/正極層)は、例えば、正極
層3及び負極層4を構成する材料の種類や、正極活物質や負極活物質の割合、正
極層3に対する負極層4の厚みにより調整することができる。例えば、上記実施
形態が、正極層3が、一般式NaxMP2O7(1≦x≦2、MはFe、Ni、
Co、Mn、及びCrからなる群から選択される少なくとも1種)で表される結
晶を含有する結晶化ガラスからなる正極活物質を含み、負極層4が、ハードカー
ボンからなる負極活物質を含む場合、正極層3に対する負極層4の厚み比(負極
層/正極層)は、0.50以下であることが好ましく、0.35以下であること
がより好ましく、0.25以下であることがさらに好ましい。
正極層3に対する負極層4の厚み比(負極層/正極層)が上記上限値以下である
場合、全固体ナトリウムイオン二次電池の充放電効率をより一層向上させ、より
一層の高エネルギー密度化を図ることができる。 また、正極層3に対する負極
層4の厚み比(負極層/正極層)は、0.025以上であることが好ましく、
0.050以上であることがより好ましく、0.150以上であることがさらに
好ましい。正極層3に対する負極層4の厚み比(負極層/正極層)が上記下限値
以上である場合、負極層4での金属ナトリウムの析出をより一層抑制することが
でき、より短絡しにくくなる。また、サイクル特性をより一層向上させることが
できる。 【0027】 なお、正極層3の厚みは、好ましくは50μm以上、よ
り好ましくは200μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは
600μm以下である。また、負極層4の厚みは、好ましくは10μm以上、よ
り好ましくは40μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは150
μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
また、本発明においては、上述したように、充電完了時に、金属ナトリウムが負
極層4の内部に析出することが好ましい。この場合、全固体ナトリウムイオン二
次電池の安全性 をより一層向上させることができる。 

なお、本発明において、正極層3及び負極層4の各容量は、正極層3及び負極層
4に担持されている活物質の重量に、その活物質の理論容量を掛けることで算出
することができる。あるいは、正極層3と負極層4についてそれぞれハーフセル
(対極に金属Naを使用)を作製し、各ハーフセルについて充放電を行うことに
より、正極層3と負極層4の各容量を測定することも可能である。また、全固体
ナトリウムイオン二次電池(完成品)について正極層3と負極層4の各容量を測
定する場合は、全固体ナトリウムイオン二次電池を分解して正極層3と負極層4
を分離し、それぞれについてハーフセルを作製した後、各ハーフセルについて充
放電を行うことにより、正極層3と負極層4の各容量を測定することができる。 

(固体電解質層2)
固体電解質層2を構成する固体電解質は、ナトリウムイオン伝導性酸化物等のイ
オン伝導性材料から形成されていることが好ましい。ナトリウムイオン伝導性酸
化物としては、Al、Y、Zr、Si及びPから選ばれる少なくとも1種、Na
、並びにOを含有する化合物が挙げられる。その具体例としては、ナトリウムイ
オン伝導性に優れるベータアルミナまたはNASICON結晶が挙げられる。好
ましくは、ナトリウムイオン伝導性酸化物が、β-アルミナ又はβ”-アルミナ
である。これらは、ナトリウムイオン伝導性により一層優れている。

ベータアルミナには、β-アルミナ(理論組成式:Na2O・11Al23)とβ”
-アルミナ(理論組成式:Na2O・5.3Al23)の2種類の結晶型が存在する。
β”-アルミナは、準安定物質であるため、通常、LiAl23OやMgOを安
定化剤として添加したものが用いられる。β-アルミナよりもβ”-アルミナの
方がナトリウムイオン伝導度が高いため、β”-アルミナ単独、またはβ”-ア
ルミナとβ-アルミナの混合物を用いることが好ましく、Li2O安定化β”-
アルミナ(Na1.7Li0.3Al10.717)またはMgO安定化β”-アルミ
ナ((Al10.32Mg0.6816)(Na1.68O))を用いることがより好ま
しい。 NASICON結晶としては、NaZrSiPO12、Na3.2Zr
1.3Si2.20.710.5、NaZr1.6Ti0.4SiPO12、NaHf
SiPO12、Na3.4Zr0.9Hf1.4l0.6Si1.21.812、Na
Zr1.7Nb0.24SiPO12、Na3.6Ti0.20.7i2.8、Na
Zr1.880.12SiPO12、Na3.12Zr1.880.12i2PO12
Na3.6Zr0.13Yb1.67Si0.112.912等が挙げられる。NASI
CON結晶としては、特にNa3.12Zr1.880.12SiPO12 がナトリ
ウムイオン伝導性に優れるため好ましい。 

固体電解質層2は、原料粉末を混合し、混合した原料粉末を成形した後、焼成す
ることにより製造することができる。例えば、原料粉末をスラリー化してグリー
ンシートを作製した後、グリーンシートを焼成することにより製造することが
できる。また、ゾルゲル法により製造してもよい。固体電解質層2の厚みは、5
μm~1000μmの範囲であることが好ましく、10μm~200μmの範囲
であることがより好ましく、20μm~100μmの範囲であることが特に好ま
しい。固体電解質層2の厚みが薄すぎると、機械的強度が低下して破損しやすく
なるため、内部短絡が起こりやすくなる。固体電解質層2の厚みが厚すぎると、
充放電に伴うナトリウムイオン伝導距離が長くなるため内部抵抗が高くなり、放
電容量及び作動電圧が低下しやすくなる。また、全固体ナトリウムイオン二次電
池の単位体積当たりのエネルギー密度も低下しやすくなる。

(正極層3)
正極層3に含まれる正極活物質としては、特に限定されないが、一般式NaxMy
P2Oz(1≦x≦2.8、0.95≦y≦1.6、6.5≦z≦8、MはFe、
Ni、Co、Mn、及びCrからなる群から選択される少なくとも1種)で表さ
れる結晶を含む結晶化ガラスからなる正極活物質であることが好ましい。なかで
も、一般式NaxMP27(1≦x≦2、MはFe、Ni、Co、Mn、及び
Crからなる群から選択される少なくとも1種)で表される結晶を含む結晶化ガ
ラスからなる正極活物質であることがより好ましい。このような正極活物質結晶
としては、例えば、Na2FeP27、Na2CoP27、Na2NiP27等を用い
ることができる。
なお、本開示において、結晶化ガラスとは、非晶質相を含有する前駆体ガラスを
加熱(焼成)し、結晶を析出(結晶化)させたものを意味する。非晶質相のすべ
てが結晶相に転移していてもよいし、非晶質相が残存していてもよい。また1種
類の結晶を析出させても良いし、2種類以上の結晶を析出してもよい。例えば、
結晶化ガラスは粉末X線回折(XRD)により示されるピーク角度で結晶化ガラ
スか否かを判別することが可能である。 また、正極層3は、ナトリウムイオン
伝導性固体電解質や、導電助剤を含んでいてもよい。正極層3における各材料の
比率は、例えば、質量%で、正極活物質 60%~99.9%、ナトリウムイオン
伝導性固体電解質 0%~30%、及び導電助剤 0.1%~10%とすることが
できる。
なお、ナトリウムイオン伝導性固体電解質は、例えば、固体電解質層2の欄で説
明したものを用いることができる。ナトリウムイオン伝導性固体電解質は、粉末
状で使用することが好ましい。ナトリウムイオン伝導性固体電解質の粉末の平均
粒子径は、0.05μm以上、3μm以下であることが好ましく、0.05μm
以上、1.8μm未満であることがより好ましく、0.05μm以上、1.5μ
m以下であることがさらに好ましく、0.1μm以上、1.2μm以下であるこ
とが特に好ましく、0.1μm以上、0.7μm以下であることが最も好ましい。

また、導電助剤としては、例えば、導電性炭素を用いることができる。導電性炭
素としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラ
ック、気相法炭素繊維炭素導電助剤(VGCF)、カーボンナノチューブ等を挙
げることができる。導電助剤は、上記のような材料からなる、炭素系導電助剤で
あることが好ましい。
正極層3は、例えば、固体電解質層2の第1の主面2aに、正極活物質前駆体と
必要に応じてナトリウムイオン伝導性固体電解質粉末及び導電助剤を含んだ電極
材料層を形成し、該電極材料層を焼成することにより形成することができる。電
極材料層は、例えば、正極活物質前駆体に必要に応じて固体電解質粉末及び導電
助剤を含んだペーストを塗布し、乾燥することにより得ることができる。なお、
ペーストには、必要に応じて、バインダー、可塑剤、又は溶剤等が含まれていて
もよい。なお、電極材料層は、圧粉体であってもよい。
ペーストの乾燥温度としては特に限定されないが、例えば、30℃以上、150
℃以下とすることができる。また、ペーストの乾燥時間としては、特に限定され
ないが、例えば、5分以上、600分以下とすることができる。 また、焼成時
の雰囲気は還元雰囲気であることが好ましい。焼成温度(最高温度)は、例えば、
400℃~600℃とすることができ、その温度での保持時間は、例えば、5分
~3時間未満とすることができる。 

正極活物質前駆体
正極活物質前駆体(正極活物質前駆体粉末)は、焼成により活物質結晶を生成す
る非晶質酸化物材料からなることが好ましい。正極活物質前駆体粉末が非晶質酸
化物材料からなる場合、焼成時に活物質結晶が生成するとともに、軟化流動して
緻密な正極層3を形成することが可能となる。また、正極層3が固体電解質を含
む場合、正極活物質と固体電解質の一体化も図ることができる。あるいは、正極
層3が固体電解質層2と接触する場合、両者の一体化を図ることができる。その
結果、イオン伝導パスがより良好に形成されるため好ましい。また、本発明にお
いて、「非晶質酸化物材料」は完全に非晶質の酸化物材料に限定されず、一部結
晶を含有しているもの(例えば結晶化度10%以下)も含むものとする。 
正極活物質前駆体粉末は、下記酸化物換算のモル%で、Na2O 25%~55
%、Fe2O3+Cr2O3+MnO+CoO+NiO 10%~30%、及び
P2O5 25%~55%を含有することが好ましい。組成をこのように限定し
た理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、
特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。

Na2Oは、一般式NaxMyP2Oz(MはCr、Fe、Mn、Co及びNi
から選択される少なくとも1種の遷移金属元素、1≦x≦2.8、0.95≦
y≦1.6、6.5≦z≦8)で表される活物質結晶の主成分である。Na2
Oの含有量は、25%~55%であることが好ましく、30%~50%であるこ
とがより好ましい。Na2Oの含有量が上記範囲内にある場合、充放電容量をよ
り一層大きくすることができる。
Fe2O3、Cr2O3、MnO、CoO及びNiOも、一般式NaxMyP2
Ozで表される活物質結晶の主成分である。Fe2O3+Cr2O3+MnO+
CoO+NiOの含有量は10%~30%であることが好ましく、15%~25
%であることがより好ましい。Fe2O3+Cr2O3+MnO+CoO+NiO
の含有量が上記下限値以上である場合、充放電容量をより一層大きくすることがで
きる。一方、Fe2O3+Cr2O3+MnO+CoO+NiOの含有量が上記
上限値以下である場合、望まないFe2O3、Cr2O3、MnO、CoOまた
はNiO等の結晶を析出し難くすることができる。なお、サイクル特性をより向
上させるためには、Fe2O3を積極的に含有させることが好ましい。Fe2O3
の含有量は、1%~30%であることが好ましく、5%~30%であることがよ
り好ましく、10%~30%であることがさらに好ましく、15%~25%であ
ることが特に好ましい。Cr2O3、MnO、CoO及びNiOの各成分の含有
量は、それぞれ、0%~30%であることが好ましく、10%~30%であるこ
とがより好ましく、15%~25%であることがさらに好ましい。また、Fe2
O3、Cr2O3、MnO、CoO及びNiOから選択される少なくとも2種以
上の成分を含有させる場合、その合量は10%~30%であることが好ましく、
15%~25%であることがより好ましい。

P2O5も一般式NaxMyP2Ozで表される活物質結晶の主成分である。
P2O5の含有量は25%~55%であることが好ましく、30%~50%であ
ることがより好ましい。P2O5の含有量が上記範囲内にある場合、充放電容量
をより一層大きくすることができる。正極活物質前駆体粉末は、上記成分以外に
も、V2O5、Nb2O5、MgO、Al2O3、TiO2、ZrO2、又はSc
2O3を含有させてもよい。これらの成分は導電性(電子伝導性)を高める効果
があり、高速充放電特性が向上しやすくなる。上記成分の含有量は合量で0%~
25%であることが好ましく、0.2%~10%であることがより好ましい。
上記成分の含有量が上記上限値以下である場合、電池特性に寄与しない異種結晶
生じ難く、充放電容量をより一層大きくすることができる。
また、正極活物質前駆体粉末は、上記成分以外にも、SiO2、B2O3、Ge
O2、Ga2O3、Sb2O3、又はBi2O3を含有していてもよい。これら
成分を含有させることにより、ガラス形成能がより向上し、より均質な正極活物
質前駆体粉末を得やすくなる。上記成分の含有量は合量で、0%~25%である
ことが好ましく、0.2%~10%であることがより好ましい。これらの成分は
電池特性に寄与しないため、その含有量が多すぎると、充放電容量が低下する傾
向にある。正極活物質前駆体粉末は、原料バッチを溶融、成形することにより作
製することが好ましい。当該方法によれば、均質性に優れた非晶質の正極活物質
前駆体粉末を得やすくなるため好ましい。具体的には、正極活物質前駆体粉末は
以下のようにして製造することができる。

まず、所望の組成となるように原料を調製して原料バッチを得る。次に、得らた
原料バッチを溶融する。溶融温度は、原料バッチが均質に溶融されるよう適宜調
整すればよい。例えば、溶融温度は800℃以上であることが好ましく、900
℃以上であることがより好ましい。溶融温度の上限は、特に限定されないが、溶
融温度が高すぎるとエネルギーロスや、ナトリウム成分等の蒸発につながること
から、1500℃以下であることが好ましく、1400℃以下であることがより
好ましい。 次に、得られた溶融物を成形する。成形方法としては特に限定され
ず、例えば、溶融物を一対の冷却ロール間に流し込み、急冷しながらフィルム状
に成形してもよいし、あるいは、溶融物を鋳型に流し出し、インゴット状に成形
してもよい。 続いて、得られた成形体を粉砕することにより正極活物質前駆体
粉末を得る。正極活物質前駆体粉末の平均粒子径は、0.01μm以上、0.7
μm未満であることが好ましく、0.03μm以上、0.6μm以下であること
がより好ましく、0.05μm以上、0.6μm以下であることがさらに好まし
く、0.1μm以上、0.5μm以下であることが特に好ましい。 
バインダー; バインダーは、原料(原料粉末)同士を一体化させるための材料
である。バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体ま
たはポリビニルアルコール等の水溶性高分子;熱硬化性ポリイミド、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポ
リウレタン等の熱硬化性樹脂;ポリプロピレンカーボネート等のポリカーボネー
ト系樹脂;ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。

(負極層4)
負極層4に含まれる負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、ハード
カーボンやソフトカーボン等の炭素電極材料を用いることができる。炭素電極材
料は、ハードカーボンであることが好ましい。もっとも、負極活物質は、スズや
ビスマス、鉛、リン等のナトリウムを吸蔵できる合金系負極活物質や金属ナトリ
ウムを含んでいてもよい。なお、負極層4は、金属ナトリウム単相からなる負極
層ではないことが好ましい。
負極層4は、さらにナトリウムイオン伝導性固体電解質や導電助剤を含んでいて
もよい。負極層4における各材料の比率は、例えば、質量%で、負極活物質 60
%~95%、ナトリウムイオン伝導性固体電解質 5%~35%、及び導電助剤
0%~5%とすることができる。なお、ナトリウムイオン伝導性固体電解質は、
例えば、固体電解質層の欄で説明したものを用いることができる。導電助剤は、
例えば、正極層3の欄で説明したものを用いることができる。
以下、一例として、負極活物質である炭素電極材料及びナトリウムイオン伝導性
固体電解質を含む負極層4の形成方法について説明する。負極層4形成方法;
まず、炭素電極材料前駆体と、ナトリウムイオン伝導性固体電解質とを含むペー
ストを作製する。ペーストの作製に際しては、まず、ナトリウムイオン伝導性固
体電解質前駆体を用意する。なお、この段階では、ナトリウムイオン伝導性固体
電解質前駆体溶液を用意することが好ましい。ナトリウムイオン伝導性固体電
解質前駆体及びその溶液の具体例については後述する。

炭素電極材料前駆体(ハードカーボンからなる炭素電極材料の前駆体)を用意
する。炭素電極材料前駆体には、適宜の糖、バイオマスまたはポリマー等を用い
ることができる。 次に、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液及び炭
素電極材料前駆体を混合し、その後乾燥させる。これにより、ナトリウムイオン
伝導性固体電解質前駆体及び炭素電極材料前駆体の混合物の粉末を得る。次に、
上記混合物の粉末を粉砕し、さらに、有機溶媒中において、導電助剤及びバイン
ダーと混合する。有機溶媒には、例えばN-メチル-2-ピロリドン等を用いる
ことができる。これにより、ペーストを得る。 
次に、固体電解質層2の第2の主面2bにペーストを塗布する。このように、固
体電解質層2及び電極材料層としてのペーストを積層する、積層工程を行う。次
に、固体電解質層2及びペーストの積層体を、例えば、N2雰囲気下で、600
℃超、1300℃以下において焼成する。なお、上記焼成は、不活性雰囲気下で
行えばよい。例えば、上記焼成をAr、Ne又はHe雰囲気下において行っても
よく、あるいは真空中において行ってもよい。また、焼成はH2を含む還元雰囲
気で行ってもよい。不活性雰囲気または還元雰囲気での焼成を行う場合、負極活
物質の初回の充放電効率をより一層向上できるため好ましい。なお、焼成中に炭
素電極が酸化、あるいは酸化分解しなければ、雰囲気中には少量の酸素を含んで
いてもよい。酸素濃度は、例えば、1000ppm以下とすることができるが、
これに限定されるものではない。以上のようにして、負極層4を作製することが
できる。 【0062】 炭素電極材料前駆体; 炭素電極材料前駆体に糖を用い
る場合、例えば、ショ糖、セルロース、D-グルコース、スクロース等を挙げる
ことができる。炭素電極材料前駆体にバイオマスを用いる場合、例えば、コーン
の茎、ソルガムの茎、松かさ、マンゴスチン、アルガン殻、籾殻、タンポポ、穀
物藁の芯、ラミーの繊維、コットン、昆布、ココナッツの内果皮等を挙げること
ができる。炭素電極材料前駆体にポリマーを用いる場合、例えば、PAN(ポリ
アクリロニトリル)、ピッチ、PVC(ポリ塩化ビニル)ナノファイバー、ポリ
アニリン、ポリアクリル酸ナトリウム、タイヤ(タイヤ用ポリマー)、リンドー
プPAN等を挙げることができる。

ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体及びその溶液;
ナトリウム伝導性固体電解質がベータアルミナである場合、ナトリウム伝導性固
体電解質前駆体は、例えば、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸リチウム
を混合することによって得ることができる。このとき、上記各材料の比率を、目
的とするナトリウムイオン伝導性固体電解質の組成比となるように調整する。
ナトリウムイオン伝導性固体電解質がNASICON型結晶やNa5XSi4O
12型結晶(Xは第3族遷移金属元素、好ましくは希土類元素から選択される少
なくとも1種)である場合、ナトリウム伝導性固体電解質前駆体溶液としては、
ナトリウム伝導性固体電解質を構成するナトリウム元素及び遷移金属元素と、炭
酸イオンとを含む溶液が挙げられる。なお、当該溶液中において、ナトリウム元
素はナトリウムイオンの状態で含まれており、遷移金属元素は遷移金属イオンの
状態で含まれている。

ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体は、例えば、ナトリウムイオン伝導性
固体電解質前駆体溶液のゲル化物または乾燥物からなる。そして、上記ナトリウ
ムイオン伝導性固体電解質は、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体の焼成
物からなる。なお、ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液には、炭酸イ
オンの代わりに硝酸イオンを含む溶液も使用することが可能である。また、ナト
リウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液中において、炭酸イオンが遷移金属元
素に対して二座配位していることが好ましい。この場合、遷移金属元素が溶液中
で安定して存在しやすくなる。また、ナトリウムイオンの対イオンとして、NR
4+(式中、各Rは互いに独立してH、CH3、C2H5及びCH2CH2OH
からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の置換基である)を含むことが好ま
しい。このようにすれば、遷移金属元素が溶液中で安定して存在しやすくなる。
ナトリウムイオン伝導性固体電解質前駆体溶液は、例えば、水ガラス(ケイ酸ナ
トリウム)、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ジルコニウムアンモニア水溶液を
混合することによって得ることができる。 バインダーは、正極層3の欄で説明し
たものを用いることができる。

(第1の集電体層5及び第2の集電体層6)
第1の集電体層5及び第2の集電体層6の材料としては、特に限定されないが、
それぞれ、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼又はこれらの合金など
の金属材料を用いることができる。上記金属材料は、単独で用いてもよく、複数
を併用してもよい。なお、これらの合金とは、少なくとも1種の上記金属を含む
合金である。第1の集電体層5及び第2の集電体層6の厚みは、特に限定されな
いが、それぞれ、10μm~1000μmの範囲とすることができる。第1の集
電体層5及び第2の集電体層6は、外周縁5a及び外周縁6aが形成されるよう
に固体電解質層2、正極層3、負極層4よりも一回り大きいことが好ましい。図
1において、第1の集電体層5及び第2の集電体層6の固体電解質層2からの食
み出し幅は、0.2mm~20mmであることが好ましく、0.5mm~10m
mであることがより好ましい。
                             この項つづく



  
 

 Charlie Chaplin - Eternally (From ''Limelight'') (1952)
ジャパンサーチ · TWL(2016年8月) 「エターナリー」(Eternally)は、チャー
ルズ・チャップリン監督・主演による1952年公開の映画『ライムライト』の主題
歌。チャップリンの自作曲で、作詞はジェフリー・パーソンズ、ジョン・ターナ
ー。第45回アカデミー作曲賞を受賞した。「テリーのテーマ」(Terry's Theme
の別称もある。チャップリンはニューヨーク・シティ・バレエ団のスターのアン
ドレ・エグレフスキーとメリッサ・ヘイドンにこの曲がバレエに合うかを相談し
たところ、2人は曲に惚れ込んで、映画でのバレエの振り付けや出演に加わった。
1975年にチャップリンがナイトに叙された時にも流される。 

    

 
作詞/作曲:阿久悠/浜圭介 1979.5.25

12月30日、「雨の慕情」や「舟唄」などのヒット曲で知られる歌手の八代亜紀が
死去。享年73歳。
                                                          南無阿弥陀仏

夜の寸評: なんと、時代のカオス感と素晴らしい人たちの喪失感で
        気鬱に沈むことか。、

 

 

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