極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギー革命ど真ん中 Ⅲ

2017年10月14日 | びわこ環境

    

                                 
                    梁恵王篇 「仁とは何か」  /  孟子 
  
                                       

       ※ 民の声に聞け:孟子が宣王に謁見して言った。「由緒ある国というのは、
                  大木があることを意味するのではない。譜代の臣がいることを意味する
         のです。ところがあなたには、信頼のおける臣下さえありません。登用
         したばかりの臣下が、次の日には知らない間にいなくなっております」
         「では人物を見抜くには、どうすればよいというのか」
         「人材の登用には、万全を期さねばなりません。身分の賤しい音を抜擢
         したり、血縁の薄い人間を重用したりする場合もあるのですから、よほ
         どの慎重さが必要です。
          側近全部の推薦があったとしても不十分、大臣の推薦があってもまだ
         不十分です。人民がこぞって推薦する人物で、ご自分でもよく見きわめ、
         この人物なら大丈夫と思えば登用することです。
         しりぞける場合も同じこと、側近全部が進言したからといってすぐ取り
         あげてはなりません。大臣の進言があってもまだ取りあげてはなりませ
         ん。人民が異口同音によくないと認め、ご自分でもよく調べて、これは
         よくないと思ったとき、はじめてしりぞけるのです。死刑の場合も同様
         です。側近がすすめ、大臣がすすめたからといっても間きいれてはなり
         ません。人民がこぞって賛成し、ご自分でもよく調べて、死刑にするの
         が当然だと確信したとき、はじめて刑を執行するのです。『人民が処刑

         する』とはこれをいうのです。以上のようにすれば、人民はあなたを父
         母のように慕うことでしょう」

         【解説】 側近政治は権力者の陥りやすい弊害である。民衆の総意、こ
              の無形の意志を正しく汲みとることが真の意味の政治性であ
              る。自己の権力を、この無形の意志でチェックできるか否か
              が、政治屋と政治家とを区別する最大の要件である。これは
              民主主義の現代でも変わりはない。のです。

    No.84

● エネルギー革命ど真ん中 Ⅲ

Feb. 23, 2017

【オールバイオマス事業篇:原料処理とエネルギ変換工学課題と技術事例】


ここでは、バイオマス政策あるいはバイオマス事業のプラットフォーム(=政策/戦略)については上下
の図表をダブクリし出典資料を参照していただき割愛し、再生可能エネルギーの現時点の普及著しい風力
発電及び太陽光発電#top比較して国内のバイオマス発電あるいはバイオマスボイラーの普及が進まないこ
とに焦点を当て小考してみる。例えば太陽光エネルギーもしくは太陽光発電はは、太陽光(人工光)さえ
あれば直ちに熱/電気エネルギーに変換でき、後者は「デジタル革命基本則」に従って、分散自律、ダウ
ンサイジング、デフレーション効果が働き変換効率に至っては変換効率30%超パネルの実用化や、フレ
キシブル薄膜型ソーラーはモバイル/ウエアブル器機の実用化段階に入りつつある。そこで。今夜は、❶
バイオマス発電/ボイラー原料の伐採/切り出し搬送/前処理の煩雑さそのにかかる費用効果/エネルギ
ー消費の大きさ/設備プラントの巨大化――もっとも、大規模風力発電も巨大であるがーさらには、工期
の長さなどの課題があり、❷バイオマスボイラーは構造も簡単で設備コストも燃料のペレット搬送/貯蔵
の嵩張りと給湯/蓄熱液等の熱媒体配管の引き回しがあるが、電線の引き回しと比べても大きい問題はな
さそうであるが、その他のエネルギ変換方式、①熱電変換素子(=サーマルタイリング事業)、②一酸化
炭素水蒸気反応ガスを用いた、ガスタービン/内燃機関式発電、③一酸化炭素水蒸気反応ガスを用いた燃
料電池などあるが、①対費用効果(=発電コスト)はいまだ試用段階で不詳、②は装置規模と保全性の悪
さが発電コスト逓減の隘路となる。これ意外に❸バイオマスをメタン発酵させ、燃料電池/ボイラーもあ
るが実用化が進んでおり、ガス配管の引き回し/ボンベ搬送の流通負荷が地上電線比べさほど問題はない
ものと思える(要試算/出典)。以上のことを踏まえ、最新の特許事例を小考してみよう。 

  Jan. 15, 2015

 

 Mar. 3, 2017


❏ 特開2017-169526  リグニンを分解する方法   国立研究開発法人理化学研究所

本件は、"シンデレラのカボチャのワゴン"のように切り出したバイオマスを放置保管しておくだけで”燃
料原料”に加工されているアプローチ法のヒントとして取り上げる。

【概要】

リグニンを分解する方法に関する。特に、本発明は、針葉樹材のような木本系バイオマス材料に含有され
るリグニンを分解する方法について取り上げる。リグニンに関しては「80℃以下でリサイクル可能なヒ
イドロトロープ酸にによる木質リグニンの迅速溶解」( Rapid and near-complete dissolution of wood lignin at
80°C by a recyclable acid hydrotrope, DOI: 10.1126/sciadv.1701735)(「美しすぎる直虎」2017.09.17|オー
ルバイオマスシステム篇:木質リグニン)で有喜酸による分画分離(≒パルプ産業での叩解工程)で紹介
したものではなく、リグニンは、その構造的特徴から、植物の細胞壁の主要な構成成分であるセルロース
を分解する条件では容易に分解されない。このため、植物系バイオマスに含有されるリグニンを効率的に
分解する手段が必要とされた。リグニンは、植物によって基本骨格となるフェニルプロパノイド単位の構
造が異なることが知られている。リグニンを構成するフェニルプロパノイド単位としては、通常、3-メト
キシ-4-ヒドロキシフェニル基を有するグアイアシル型(以下、「G型」と記載)、3,5-ジメトキシ-4-ヒ
ドロキシフェニル基を有するシリンギル型(以下、「S型」とも記載する)、及び4-ヒドロキシフェニル
基を有する4-ヒドロキシフェニル型(以下、「H型」とも記載する)が存在する。例えば、広葉樹リグニ
ンの場合、G型及びS型のフェニルプロパノイド単位を主要な構成成分として含む。これに対し、針葉樹リ
グニンの場合、G型のフェニルプロパノイド単位のみを主要な構成成分として含む。

 Sep. 28, 2017

※ リグニンは、植物の細胞壁の構成成分の一つであって、芳香環及びC3脂肪族炭化水素鎖を有するフェ
ニルプロパノイドの酸化重合体である。リグニンは、植物系バイオマスの約20~30%を占めており、立木
の伐採時に生じる枝葉若しくは梢端、又は間伐材のような林地残材においては、その約30%を占める。



植物系バイオマスにおいて、リグニンは、セルロースと並ぶ主要な構成成分。植物系バイオマスに含有さ
れるセルロース利用には、リグニン分解法は、セルロース利用効率向上する前処理工程が重要。また、リ
グニンは、フェニルプロパノイド単位の構成成分が含まれ、芳香族モノマー原料に利用できる可能性があ
る。このように、微生物を用いるリグニン分解法の微生物中でも、白色腐朽菌は、細菌等に比べリグニン
分解能力が高いが、針葉樹リグニンは容易に分解されない。この分解特性の違いは、リグニンの構造的な
違いに起因と推測されている。このように、針葉樹材のような植物系バイオマス材料のリグニンを、微生
物を用いて効率的に分解する手段の提供にあっては、リグニンを含有する材料と、マツノタバコウロコタ
ケ(ヒメノケーテ・ヤスダイ)、シワタケ(フレビア・トレメローザ若しくはフレビア属VL297)、コフ
キサルノコシカケ(ガノデルマ・アウストラーレ若しくはガノデルマ・ギボサム)、チャカワタケ(ファ
ネロケーテ・ベルチーナ)、マスイロカワタケ(ファネロケーテ・サングイネア若しくはファネロケーテ・
シトリノサングイネア)、マゴジャクシ(ガノデルマ・ネオジャポニカム)、ササクレコメバタケ(フィ
フォドンチーナ・ブレビセタ若しくはシゾポーラ cf. ラデュラ)、シックイタケ(アントロディエラ・ジ
プシ若しくはディプロミトポーラス・リモサス)、イボコメバタケ(スクボルゾビア・フルフレーラ若し
くはヒメノケータレス属KUC20131001-10)、ヘテロバシジオン・エクルストサム(若しくはヘテロバシジ
オン・アラウカリアエ)、ツリガネタケ(ホメス・ホメンタリス)、スギノハヒメホウライタケ(マラス
ミウス・クリプトメリアエ若しくはストロビルラス・エスクレンタス)、フミヅキタケ(アグロチベ・プ
ラエコックス)、及びサケツバタケ(ストロファリア・ルゴソアヌラータ)からなる群より選択される少
なくとも1種の微生物とを接触させる工程を含むことを前提とする。


【リグニン分解物進行度の測定結果】

リグニン分解物のバニリン生成量を計測し評価――抽出物の低磁場領域のスペクトルで――するとバニリ
ン以外のリグニン分解物に由来するシグナルが新たに観測された。また、バニリンに由来するシグナルの
相対強度割合は、いずれの抽出物の場合も対照の場合と比較して有意に減少した。この結果から、本実験
に使用したリグニン分解微生物により、バニリンだけでなく、様々な芳香族低分子化合物がリグニン分解
物として生成したことが示唆されている。



※ このように徐々に成果は上がっているようではあるが実用化にはまだ遠い。


❏ 特開2017-113719  部分酸化触媒及びそれを用いた一酸化炭素の製造方法
                           
国立大学法人北海道大学他 

従来であれば山林より未利用材として切り出されて廃棄処分されていた廃木材や間伐材等の木質系バイオ
マスをチップ化処理し、これをバイオマス燃料としてボイラで燃焼させ、それによって発生させた高圧蒸
気でもって蒸気タービンを回転させて発電を行うバイオマス発電システムに木質系バイオマスを還元雰囲
気下で間接加熱することにより炭化処理する。

【概要】

従来装置では、炭化処理対象物が食品廃棄物や下水汚泥等の湿潤系バイオマスでは、高含水状態のままで
炭化処理し、また従来一般的に行われていた比較的高温域で炭化処理すると発生するタール量が乏しく、
それを全て燃焼分解させて熱風を生じさせても炭化炉の間接加熱源として利用するには熱量的に不足する。

その不足分の是正に好気性発酵し乾燥処理しつつ、低温域炭化処理でタール成分を多く発生させる一方、
炭化処理対象物が木質系バイオマスには、バイオマス中のタール含有量が元々く、炭化処理温度域等に関
係なくタール成分が多量発生しやいために熱量不足が起きにくいが、多量のタール成分を燃焼炉で燃焼分
解させると熱量過多のため、炭化炉へ間接加熱源供給用木質系バイオマスの炭化処理温度が高くなり過ぎ、
結果的にタール成分の揮発により残らず炭化物回収――例えば比較的高い着火性を求められるバーナ用の
木炭燃料等としてはあまり適さない――用途が限られてしまう。なお、燃焼炉から炭化炉へ供給される熱
風中へ、例えば外気等を導入して強制的に冷却することにより熱風温度を所望の炭化物を炭化処理できる
が、熱エネルギー的に見れば無駄である。

このように、木質系バイオマスの炭化処理に伴って発生するタール成分を熱風発生炉にて燃焼分解させ、
その際に生じる熱風を炭化炉の間接加熱源として有効利用しつつ、熱風発生炉に供給されるタール成分か
ら余剰熱量分を分離回収してタール燃焼量を調整し、所望性状の炭化物を炭化処理に適合する熱風温度に
コントロール可能とした木質系バイオマス炭化処理装置の提供するにあって 下図1のように炭化炉2と熱
風発生炉3との間に空冷熱交換器31を備え、炭化炉2には炭化物温度センサ43を、熱風発生炉3の下
流には熱風温度センサ47を備え、前記各温度センサ43、47にて検出される炭化物温度または熱風温
度が予め設定されるそれぞれの上限温度よりも高ければ、外気供給ファン35を稼働させて空冷熱交換器
31に外気を供給し、木ガスからタール成分の一部を分離回収して熱風発生炉3でのタール燃焼量を減じ
るように調整制御するタール燃焼量制御器49を配置する。


【符号の説明】

1…木質系バイオマスの炭化処理装置 2…炭化炉  3…熱風発生炉 4…木ガス導出ダクト 5…熱風
供給ダクト 6…排気ダクト  7…乾燥炉(砂ドライヤ) 13…内筒  25…外筒 31…空冷熱交換
器  33…鋼管 35…外気供給ファン   36…回収タンク 40…燃焼用空気供給ダクト  41…外気
導入口 42…開閉ダンパー  43…炭化物温度センサ 47…熱風温度センサ 48…酸素濃度センサ
49…タール燃焼量制御器


❏ 特開2017-132969 バイオマス発電システムおよび熱分解炉のリターンシステム
                                       株式会社高橋製作所 

本件はバイオマス(廃木材等有機廃棄物)を熱分解・ガス化し、得られた水性ガスを用いてガスエンジン
等で効率よく発電するバイオマス発電システム及び熱分解炉のリターンシステムの考案である。

【概要】

木質系材料を熱分解ガス化するには、原料となる木質バイオマスを炭化炉温度1000~1200℃で、
炭化物を回収し、次に炭化物を熱分解炉にて高温加熱して高温水蒸気と水性反応させ水性ガスを生成する。
また、バイオマスや廃棄物から熱化学的手法によってエネルギーを回収する方法が注目されボイラー設備
を用いたスチームタービン発電の他に生成ガスを燃料ガスとして発電効率の高いガスエンジンで発電し
35%を超える発電効率が得られる。また、ガス化で得られる合成ガスはメタノールや合成軽油、混合ア
ルコールといった液体燃料の原料ともなることから石油代替燃化技術の一つとしてガス化技術が注目され
ている。

バイオマス発電においては、ガスエンジン、ガスタービンエンジン、スチームタービンエンジン等が用い
られる。中でもガスエンジンはエンジンの構造がガソリンエンジンと同様であり、他のエンジンに比較し
てコンパクト(50~4000kW程度)で発電効率が高くバイオマス発電に適する。しかし、熱分解ガ
ス(水性ガス)はガス中の可燃ガス(CO、H)の含有割合によって発熱量が決まる。即ち、水性ガス
中の水素(H)、一酸化炭素(CO)及び二酸化炭素(CO)の組成比にブレがあると発熱量が変化し、
発電機を回転するエンジンの回転数に影響するために安定した電力が得られないばかりでなくオーバーヒ
ート等で故障原因ともなり問題である。また、従来のボイラーで発生した水蒸気を直接熱分解ガス化装置
に供給することも考えられるが、熱量過不足によりガス化領域の温度分布にブレが生じ或いはメタンガス
等余分なガスが発生する可能性が生じる問題がある。

バイオマスの燃焼効率を安定ろ改善を行い、熱分解を実現する。また、燃焼ガスの流出等を防ぎ、下流側
の装置へ供給する水性のスとして組成比率の変動のない、安全で効率の良いバイオマス発電システムの提
供にあたり、下図のように、バイオマスを炭化する炭化炉と、炭化炉で得られた炭化物および燃焼排ガス
により熱分解ガスを発生させる熱分解炉と、熱分解ガスを洗浄し得られた水性ガスを用いて電力を得る発
電装置とを備え、炭化炉に供給する空気の供給量を制御する空気供給制御部を設け、この空気の供給量に
より温度制御された燃焼ガスを熱分解炉に供給を特徴とするバイオマス発電構成とする。


【図3】実施形態に係る炭化炉の縦断面図

【符号の説明】

20a…間隙  21…本体部  22…円筒部  23…有機廃棄物投入部  24…炭化物排出部 25…1
次空気供給部  26…2次空気供給部  27…燃焼ガス排出部  28a、28b、28c…温度センサ(
温度検出部)28d…レベルセンサ(堆積量検出部)29…炭化炉制御部(制御部)

※ 関連特許 特開2017-132676  水素供給システム 株式会社高橋製作所 2017年08月03日


❏ 特開2016-150890 エネルギー貯蔵輸送方法およびエネルギーキャリアシステム
                                   国立大学法人岐阜大学 

本件は窒素酸化物から硝酸を製造し、製造した硝酸からアンモニアを製造し、さらにそのアンモニアを原
料として水素を製造することを特徴とするエネルギー貯蔵輸送方法およびエネルギーキャリアシステムの
技術事例。

【概要】

エネルギーキャリアシステムを具現化する技術として、①太陽光で発電した電力で水素を製造する方法が
ある。②また、水素と窒素からアンモニアを合成するための方法。③また、Pt,Rh,Pd,Ruなど
の貴金属触媒を用いて400℃以上の加熱条件で、アンモニアから水素を製造する技術がある。①の方法
と②の方法と③の方法を組み合わせることによって、太陽光で発電した電力を水素に変換し、その水素を
原料としてアンモニアを合成して液化アンモニアとして貯留し、液化アンモニアをエネルギー消費地に輸
送し、エネルギー消費地で液化アンモニアから水素に転換して、燃料電池車に供給したり、燃料電池発電
システムに供給することができる。しかしながら、これらの3つの技術を組み合わせた場合、再生可能エ
ネルギーから水素への総合変換効率は7パーセント程度である。そこで、より総合変換効率の高いエネル
ギーキャリアシステムが求められている。

このように、水素キャリアの一つであるアンモニアから水素を製造技術の検討を行っている(④⑤)。④
の水素製造方法は、アンモニアガスを含有する水素源ガスに、常温で波長200nm以下の光を含む紫外
線を照射して水素ガスを発生させる。また、⑤の水素製造装置は、プラズマ反応器と、高電圧電極と、接
地電極とを備えており、常温大気圧の条件下で高電圧電極と接地電極との間で放電を行ってアンモニアを
プラズマとし、水素を生成する。これらの水素製造方法は、従来よりも高効率に水素を生成可能であり、
最適なアンモニア製造方法と組み合わせエネルギー貯蔵輸送方法とエネルギーキャリアシステムを実現で
きる。

下図のように、アンモニアを高効率に製造し、最終的にはアンモニアから水素を製造してエネルギーとし
て用いるエネルギーキャリアシステムとそれを用いたエネルギー貯蔵輸送方法の提供にあたり、エネルギ
ーキャリアシステムは、硝酸製造手段と、アンモニア製造手段と、水素製造手段とを備えている。硝酸製
造手段は、光反応器と、光反応器に窒素酸化物と水と酸素とを含む被処理ガスを供給する被処理ガス供給
手段と、光反応器内に配置されており175nmよりも短い波長の紫外線を含む光を発生させる光源とを
備えている。このエネルギー貯蔵輸送法は、窒素酸化物から硝酸を製造する硝酸製造工程と、硝酸を還元
してアンモニアを製造するアンモニア製造工程と、アンモニアを分解して水素を製造する水素製造工程と
で製造される。

 

【関連特許】 

① 特開2014-203274 水素製造手段を備えた太陽光発電システム   

【概要】 

太陽光発電エネルギを有効に利用して高効率の電力供給が可能な太陽光発電システムの提供にあって、下
図のように太陽光発電装置1と、太陽光発電装置1からの直流電力を交流電力に変換し且つ最大電力を得
るための出力制御機能を有する電力変換制御器3と、太陽光発電装置1からの直流電力を用いて水素を製
造する水素製造手段2と、太陽光発電装置1と電力変換制御器3および水素製造手段2の電気的な接続構
成を切替える切替手段4と、切替手段4に制御信号を伝達する制御部6とを備え、太陽光発電装置1の定
格出力電力が電力変換制御器3の定格出力電力よりも大きく、制御部6は太陽光発電装置1で発電可能な
発電予測電力W0と出力電力W1または出力電力W2との比較結果、及び、電力変換制御器3の変換効率特性
に応じて切替手段を制御することを特徴とする太陽光発電システムである。

 

② 特開2013-209685 アンモニア製造用電気化学セル及びこれを用いたアンモニア合成方法

本件は、アンモニア製造用の電気化学セルであり、カソード支持型電気化学セル(カソードサポート型電気化学セ
ル,CSC)である。さらに、このセルを用いたアンモニア合成法である。

【概要】 

アンモニア合成は、従来、ハーバーボッシュ法が確立され、肥料の原料となり化学工業/農業発展の原動力とな
った」。ハーバーボッシュ法は、鉄を主成分とする触媒を用いて水素と窒素とを400~600℃、20~40MPaの高
圧条件で反応しアンモニアを得るものである。工業触媒としては、鉄にアルミナと酸化カリウムとを加えることで鉄
の触媒性能を向上させた触媒が用いられる。また、他の技術として、Ru系の触媒を用いることが提案されている例
もある)。最近ては資源枯渇、地球温暖化を防止する技術が求められハーバーボッシュ法は、原料として化石資源
を用いる、また、高温高圧のプロセスで、その製造工程でも多くのエネルギーを消費し、多量の資源を用い地球温
暖化ガスを多量に排出する。この技術に代えて、限られた資源を有効活用し、より持続的技術が望まれている。

 この様な背景から、アンモニアの新規合成法の一つとして、プロトン導電性酸化物を固体電解質に使用し、水素と
窒素あるいは水蒸気と窒素を供給し、更にセルに電圧を印加することにより、アンモニアを合成する方法が提案さ
れている。事例のアンモニアの電解合成法は、水蒸気と窒素からアンモニアを合成する方法であり、ハーバーボッ
シュ法の様に炭化水素を用いて水素ガスを製造するひつようがないため、多量の炭酸ガスを排出する問題はない。
下図のようにプロトン導電性酸化物を電解質に用いたカソード支持型電気化学セルに、電圧を印加で、従
来の電解質支持型電気化学セルより効率的にアンモニアを合成できる構造/構成の提案にあって、プロト
ン導電性固体電解質の一面にアノードを配し他面にカソード配し、かつカソードにより支持されたている
特徴をもつ水素含有ガスまたは水蒸気含有ガスと窒素含有ガスからアンモニアを得るために用いる電気化
学セルである。


【符号の説明】

1:アノード 2:固体電解質(プロトン導電性電解質) 3:カソード支持体 4:カソード触媒


③ 特開2003-040602  燃料電池用水素製造   

本事例は燃料電池へ供給される水素を製造する装置で、燃料電池自動車用に最適な水素製造装置の新機構案である。

【概要】 

自動車用の燃料電池は、燃料水素の供給手段が課題となる。例えば水素ガス自体を供給には、水素を圧縮
/液化して搭載する必要があるが、現在のガソリンタンクの内容積に相当する内容積50Lの圧力容器に 2
百気圧で充填した場合の水素量は僅か 0.4kgであり、内容積50Lの断熱圧力容器に液化水素充填しても水
素量は 3.5kgである。したがって長距離の移動の場合などには頻繁に水素を補給せざるを得ず、水素スタ
ンドなどインフラの整備が課題になる。
またシクロヘキサンを分解して水素生成法は1モルの分解により
3モルの水素が生成し、内容積50Lの容器に充填された液体シクロヘキサンからは 2.8kgの水素を生成。
またシクロヘキサンは、室温で液体であるので自動車への搭載が容易である。
しかしシクロヘキサンの分
解反応では、有害なベンゼンが副生するという問題があり、シクロヘキサンとベンゼンとの沸点が近接し
ているために分解ガスから両者を分離することも困難である。

また、水素吸蔵合金を用いる方法でも合金の単位重量当たり 1.5~2%の水素を吸蔵できるだけであり、
水素化ホウ素ナトリウムや金属ナトリウムと水を反応させても水素を生成できるものの、副生物のリサイ
クルが困難であるという問題がある。
そこでアンモニアを分解して水素を生成する方法が注目されている。
アンモニア1モルの分解により、 1.5モルの水素が生成する。またアンモニアは室温において液化状態で
貯蔵することが可能であるので、断熱圧力容器が不要となるという利点もある。そして内容積50Lの圧力
容器に充填された液化アンモニアからは 7.2kgの水素を生成することができ、体積当たり及び重量当たり
最も多くの水素生成するので、水素源として有望である。


このように、アンモニアなどの水素源を分解して生成した水素を燃料電池に供給するとともに、燃料電池
からの排ガスをさらに利用することで有害物質の排出も防止することができるため、下図のごとく、
水素
源を窒素と水素とに分解して燃料電池に供給する分解器2と、触媒反応により燃料電池4からの排ガスを
燃焼させる燃焼器3と、燃焼器3に燃焼用空気を供給する空気供給手段5と、燃焼器3からの排ガス中の
酸素濃度を検出する酸素センサ34と、検出された酸素濃度値に応じて空気供給手段5を制御する制御装置
6と、から構成した。燃料電池からの排ガスに含まれるアンモニアなどの有害物質は燃焼器3で燃焼除去
されるため、有害物質の排出を防止することができる。また燃焼器3の熱を分解器2に供給すれば、分解
器2を加熱するための熱源が不要となりエネルギー効率が向上する新規技術が提供されている。

 【符号の説明】

1:アンモニアボンベ  2:分解器 3:燃焼器 4:燃料電池  5:空気供給手段  6:制御装置
10:供給器   34:温度センサ   41:触媒

【図1】本発明の一実施例の水素製造装置のブロック図
【図2】本発明の一実施例の水素製造装置に用いた分解器と燃焼器の模式的断面図

 

 

     

 

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