極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

シェールガスとオーレッドの真贋

2011年05月18日 | EMF安全保障






シェールガスとは、泥土が堆積して固まった岩の層に閉じ込められているガス。
米国では膨大な量が埋蔵されていたが採掘が難しく放置されていたところが、
硬い地層からガスを取り出す技術が確立されたことで、数年前から開発が一気
に進んだ。 シェールガス革命」と称されるこの大増産は、米国のガス戦略を
根底から覆した。米国エネルギー省の2004年版長期エネルギー見通しで、25年
の輸入依存度は28%と試算されていたが、最新の09年版では30年の依存度でも
わずか3%と、前代未聞の大幅見直しがなされたのだ。実際、米国で確認された
天然ガスの埋蔵量はわずか3年で2割以上も増えた。

シェールガス価格は100万BTU(英国熱量単位)当たり4~5ドル (via 米国発ガス革命、世界に飛び火:日経ビジネスオンライン)

米国の天然ガス相場は08年7月の100万BUT当たり13.69ドルをピークに、09年9
月には2.4ドルまで急落した。この結果、米国向けLNG(液化天然ガス)の大半
が必要なくなり、激安のスポットLNGとして欧州市場に流入。世界的不況による
ガス需要の減少も追い打ちをかけ、世界のガス市場は大混乱に陥った。 長期
契約で欧州にガスを輸出していたロシアの独占天然ガス企業ガスプロムは昨年、
西欧向け輸出が3割減少する羽目になった。昨年に巨大なLNG基地を完成させ、
今年中には世界最大のLNG輸出国となるカタールでは、当て込んでいた米国需
要が吹き飛んだ。

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ロシアからのパイプラインに依存してきた英独仏をはじめ欧州各国は、ガスプ
ロムの呪縛から逃れようとわれ先にとシェールガス探査に着手している。昨年
末には住友商事が米国でシェールガス開発に日本企業として初めて参画するこ
とを明らかにした。他の総合商社も参入の機会をうかがっており、三菱商事は
韓国ガス公社と組んで、シェールガスの開発を狙う。市原主任研究員は「LNG
の価格メカニズムが変革期にきている」と指摘する。今後もLNGは買い手市場
が続くと見られ、最大のLNG輸入国の日本も、恩恵に浴する可能性が高まってき
ているという(「週刊ダイヤモンド」10年1月15日)。

米国国では1990年代から新しい天然ガス資源として重要視される。また、カナ
ダ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの潜在的シェールガス資源も注目さ
れ、2020年までに北米の天然ガス生産量のおよそ半分はシェールガスになると
予想する研究者もいる。2009年の米中シェールガス・イニシアティブにおいて
米国のオバマ大統領は、シェールガス開発は温室効果ガス排出量を減らすこと
ができるとの見解を示しが、その後シェールガスの温室効果ガス排出量が、従
来の天然ガスや石油よりも大きくなるとの指摘された。



図 化石燃料別の発熱量当たりのCO2排出量など

※化石燃料別に、二酸化炭素(CO2)排出量を計算すると、同じ発熱量に対し、
石炭:石油:天然ガス=10:8:6となる。

2010年、コーネル大学環境学教授 Robert W. Howarthは、メタンの温室効果を
考慮するとシェールガスの温室効果は石炭や燃料油よりもシェールガスの方が
強いとの研究結果を報告した。メタンは天然ガスの約90%を構成し、二酸化炭
素の21倍の地球温暖化係数をもつ強力な温室効果ガスである。一方、天然ガス
は化石燃料のなかで、同じ発熱量に対する二酸化炭素の排出量が少ない。



水圧破砕には、一つの坑井に多量の水(3,000~10,000m3)が必要であり、水
の確保が重要となる。また用いられる流体は水90.6%、砂(プロパント8.95%)、
その他化学物質0.44%で構成されることから、流体による地表の水源や浅部の
滞水層の汚染を防ぐため、坑排水処理が課題となる。実際に、米国東海岸の採
掘現場周辺の居住地では、蛇口に火を近づけると引火し炎が上がる、水への着
色や臭いがするなどが確認されるようになり、地下水の汚染による人体・環境
への影響が懸念されている
。採掘会社はこれらの問題と採掘の関連を否定して
いるが、住民への金銭補償・水の供給を行っている。こうした問題に関連した
デューク大学などの調査では、着火しうる濃度のメタンが採掘地周辺の井戸水
で検出されていることが明らかとなっている。

2000年前半になり天然ガス価格が上昇し、水圧破砕や水平坑井といった技術が
確立したことでシェールガス生産はより高い収益をあげるようになり、
在来型
天然ガス生産と比較してより費用のかかる技術を必要とするが、シェールガス
田の低リスク性がコストを相殺し開発が拡大するが、水平型のフラッキング掘
削法は、深いシェール岩層に大量の水や砂、化学物質を一気に注入して、内部
にあるガスを抽出する掘削方法は、反面、注入した大量の水や化学物質を回収
できず、地下水脈に流れ込んで水質が汚染される危険が問題となっている。

従って、火力発電時に発生する二酸化炭素の除外・回収技術と採掘技術の改
 良がクリアされない限り問題は先送りされる




【オーレッド照明時代の幕開け】 

 

有機ELパネルは、一般的に蒸着成膜プロセスによって製造されている。しかし、
塗布成膜プロセスのほうが、広面積で欠陥のない均一発光面を低コストで量産
することができる。そのため、有機ELパネルで特に重要となる発光層について、
塗布プロセスで成膜することが求められているが、これまでの開発では発光効
率が低く、寿命が短いという課題があった。そこで両社は、三菱化学の研究開
発子会社である三菱化学科学技術研究センターとともに、2010年1月より、塗布
型発光材料を用いた照明用有機ELパネルの共同開発を進めてきた。

三菱化学とパイオニアは、発光層を塗布プロセスで成膜した有機EL素子で、世
界最高水準の発光効率と寿命を達成したと発表した。
有機EL素子の電極の間の
層は、「上引き層」「発光層」「下地層」の3層で構成される。三菱化学が今
年7月に販売開始する有機EL照明パネル光源モジュールは、下地層に塗布成膜
プロセス、発光層に蒸着成膜プロセスを用いて量産する予定だ。しかし、今回
開発した、発光層にも塗布成膜を用いた有機ELにより、さらなる低コストと高
性能を実現できる見込み。両社は2014年までの本格事業化に向け、共同検討を
さらに推進していく考えだという。
 



今回、開発に成功した有機EL素子では、三菱化学の開発した独自の塗布型発光
材料を用いて、三菱化学とパイオニアが共同で素子設計と塗布成膜プロセスを
最適化し、白色輝度1,000cd/m2における発光効率が52lm/W、初期輝度1,000cd/
m2における輝度半減寿命20,000時間と、世界最高レベルの高効率と長寿命の両
立に成功した。

表 LED 照明 vs OLEDs 照明
  LED OLEDs
寿 命 平均4万時間(白熱電球・蛍光灯の約40倍) 1~2万時間(輝度半減寿命)
消費電力 白熱電球の1/7~1/9、蛍光灯の1/2 将来的には、白熱電球の1/8まで引き下げることが可能
価格 LED電球:1個3,000円程度/直管型LED:1本2~3万円 3万円(14.5cm四方の正方形タイプ/ルミオテック製), 将来的には百分の1程度に漸近することも可能
課題 直管型LEDについては、昨年日本電球工業会が統一の安全規格を策定し、安全性が大幅に向上したが、蛍光灯器具との互換性がなくなったことで、大がかりな設置工事が必要になる点が課題になっている。 一番の課題は、価格の高さ。ただし、一般に広く普及し始めると想定される5年後には、現在3万円のものが5,000円以下になる可能性もあるという。普及によりコストが逓減するするだろう。
市場 パナソニック、東芝、シャープ製などを中心に普及が進んでいるが、先月、アイリスオーヤマが米GE社製LED照明の国内販売を発表、リコーが7月から直管形LED照明を発売するなど、新規参入が続いている。さらに、ヤマダ電機が事業所向けにLED照明のリースを開始するなど、導入しやすい環境が整いつつあり、企業を中心に導入が進んでいる。 1月に、三菱重工・ロームなどが出資のルミオテックが世界初の量産を開始し、3月下旬に、カネカが器具メーカーに供給を始めたばかり。7月からは、パナ電工・出光興産による共同出資会社や三菱化学が参入予定。市場としては初期の段階といえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









【新規性検証】 

それでは、どのようにして実現できたのか、関連する特許をピックアップしてみる。ます、
特開2010-192474「有機電界発光素子、有機ELディスプレイ及び有機EL照明」を
事例研究してみよう。

【課題】本発明は、低い電圧で駆動可能で、発光効率が高く、さらに駆動寿命
が長い有機電界発光素子、並びにそれを備えた有機ELディスプレイ及び有機
EL照明を提供することを課題とする。

【解決手段】基板と、該基板上に設けられた陽極、複数の有機層、及び陰極と
を備えた有機電界発光素子であって、該複数の有機層が、湿式成膜法で形成さ
れた第一の有機層及び第二の有機層を含み、第一の有機層のハロゲン原子濃度
(重量%)が2重量%以上であり、さらに第二の有機層のハロゲン原子濃度(
重量%)の20倍以上
であることを特徴とする、有機電界発光素子。

 




しかし、これだけでは何か漠然としないが、特開2001-91059「有機電界発光素
子及び有機デバイスの製造方法」になってくるとそれが見てくる。つまり、こ
うだ。

【背景技術】

しかしながら、湿式成膜法は積層化が困難であるため、真空蒸着法による素子
に比べて駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていないのが現状
である。特に、湿式成膜法での有機層の積層化は、有機溶剤と水系溶剤とを使
用する等の手法により、二層の積層は可能であるが、三層以上の積層化は困難
であった。



このような有機層の積層化における課題を解決するために、例えば特許文献1
では、エポキシ基を有するジアミン化合物を含有する溶液を成膜した後、重合
させることにより、有機電界発光素子の有機層を形成する工程が開示されてい
る。また、例えば非特許文献1では、オキセタン基を有するジアミン化合物を
含有する溶液を成膜した後、重合させることにより、有機電界発光素子の正孔
輸送層を形成する工程が開示されている。これらの方法によれば、湿式成膜法
により耐溶剤性を備えた有機層を形成することができ、2層以上の有機層を積
層することが可能である。

【課題を解決するための手段】

重合性化合物を含有する組成物を成膜→重合性化合物を重合して有機層を形成
する際に、あえて重合性化合物を重合して形成される層と異なる層に含有させ
たところ、意外にも重合性化合物の重合が進行→重合性化合物を重合させ有機
層を形成する場合、重合性化合物と共に重合反応開始剤が使用されるが、この
重合反応開始剤が電時に分解され発生した生成物等が発光層への電荷注入
や発光層内での電荷移動の妨げ、得られる素子の定電流通電時の駆動電圧が上
昇したり、通電時の輝度安定性が低下したりして、駆動寿命が短くなるという
問題
が解消できた


ということだ。ここでピンくる鍵語は「インターフェイス」だ。それも限りな
くゼロに近い空間での界面現象だ。この解明には技術ではなく科学領域となる。
このような現場に立ち会える技術者や関係者の努力には本当に頭が下がるとと
もに、至福の限りだと数少ない経験を通して言えることだがそのように思う。



さて、有機ELの実用化の展望だが、1つには、液晶パネル開発に明け暮れた日
本では、不利な条件にあったものの、韓国企業などの参入競合により情況も変
わってきたことが追い風になり、2つには、三菱化学=パイオニアなどの技術
開発の進展で、二次元照明というLED照明にはない特性をもっているオーレッド
照明事業の活路が拓かれたことだ。そのことは、いずれ価格も2桁近く逓減
きるだろうと
デジタル革命の渦中の体験からそう言い切れるように思う。

                               



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