極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

アンブレラにスマートフォーン

2015年01月04日 | EMF安全保障

 

 
● 株価はリーマンショック前に!

 

昨夜は、除雪作業や慢性的な眼精疲労などを癒すため少し早くの就眠となったが、午前3時に目が覚め、
三菱電機の株価が気になり、書斎に戻りマイピーシーを起動させた。太陽光発電やパワー半導体生産など
影響でか、リマンショック直後の5百円(購入当初)から3倍に上昇したものの6年前と同じ水準に戻っ
たに過ぎず期待はずれのチャート軌跡を示していた。これを、上図/下の村田製作所と比較すると復元・
反発・上昇は劣るようだが、これは企業業種特徴(スマートフォーン用部品―希少価値が高い)によるも
のと判断。もう少し言うと、付加価値の高い企業群はリーマンショックを脱しそれを上回る軌道に入って
いるようだ。

    

● 違法伐採から熱帯林を守れ!

リサイクルスマートフォンが違法伐採活動と動物の密猟から絶滅危惧雨林を保護するための検出装置にな
ってい
るという。 つまり、チェーンソー、銃声などのノイズを熱帯雨林固定した使い回されたリサイクル
スマートフォンでキ
ャッチし、リアルタイムでのアラートを送信することができるという。しかし、人工
衛星でも可能ではないかという質問、密林(ディープ・グリーン)の破壊監視、抑制するには、破壊が発
生した後に、画像を数日から数
週間かかるため レスポンスが遅いと、同ボランティア運動のリーダや仲間
は話す。また、 携帯電話の高性能の
マイクやGPS機能を応用すれば、高性能な監視システムが安価
に構築できるというのだ。これは面白い!そして、
頭が下がる思いにさせる話だ。 ^^;^。

 

 

● 日中食品汚染Ⅱ 「千切り大根の煮もの」の食品アンブレラの場合


消費者が自らの健康を守るために、きっちりと情報を入手する技術手段はほぼ確立できる――例えば、消費
者が購入した食品の包装品やケースに日本の豊田中央研究所が開発したQコードなどで明示できるように―
―表示義務化の
法整備を行えば、スマートフォーンなど、携帯情報端末やパソコンの光学式読み取りデバイ
スで情報を読み
込み、ディスプレイに表示するようにできればトレーサービリティ(追跡検証)は取れる―
―はずだが、加
工品となると現状では困難――ここでは、加工冷凍惣菜「千切り大根の煮ものを例とし「目
に見える食品や
惣菜いほどアンブレラは大きくなるが、主な食品や食品添加物のうち、不可視部分が90%
であるような食品が
決して珍しくない。」と言うように、"食品安全のトレーサービリティ・システム"の構
築には今暫く時間を要する。

                                   食品モジュール表の考案

 この輸入食品の品目を生物分順法を利用して分類すると、中国からの輸人良品がいかにモジュール化し
 ているかという実態がわかりやすい、2012年に中国から輸入した食品群を例に一輸入中国食品モジ
 ュール表1を作ってみたのが表3だ。右へ行くほど.几の形から遠ざかり、ついには形が消えてしまう
 食品になることを示している.、たとえば収穫したすぐの段階では一門」に分類されるホウレンソウ(
 野菜)も、「綱」の段階に移ると加工され、乾燥ホウレンソウや冷凍ホウレンソウとなって日本にやっ
 て来る。日本では、湯に浸けられたり解凍されたりして調理されろ前の段階の「目」の分類に侈る。そ
 の後、「科」の段階に侈り、味付けされたり油揚げやゴマなどと混ぜられ弁当のおかずやスーパーの惣
 菜コーナーに並ぶ。さらには、味.噌汁やスープの具.あるいは木っ瑞微塵に切り刻まれて他の材料や
 調味料と混合され野菜粉末などに姿を変える。最後の姿は「鮪一に侈ることだ。そこでは、機械で絞り
 上げられ、あるいは乾燥させられて野菜エキスヘと姿を変える,

 ホウレンソウに限らず、あらゆる良品は形を変え続け、「種」の段階になると元が野菜だったのか海藻
 だったのか、匂いでも咬いでみるか、極端なことをいえばDNA鑑定でもしない限り、区別できないく
 らいに変化する。、
 現代の肢体畜水産物のほとんどがこのようにモジュール化されている。このうちの「編」あるいは「目」
 の段階あたりまでは、以前は家庭で加工され、食卓を飾ったものばかりだ。それがどうしたことか、家
 庭ではこうした調理はぱったりとされなくなり、ビニールや銀色の袋に入った加工良品が幅を刊かすよ
 うになっていった.、
 とくにスープやエキスとなると、良品モジュールの極限にたどり首いたようなもので、原材料は不明、
 産地も不明、謎だらけのつかまえどころのない食品となる。これらは日本でも中国でも製造され、両国
 で使用されている。中国に進出した日系食品メーカーが現地で製造し、日本へ輸出する食品に使ったり、
 原注を日本へ輸出したりするケースもある。
それを輸入した日参の食品メーカーはカップラーメンやス
 ープ、さまざまな調理の味付け、香り付けのための液体として利用している。また中国の食品メーカー
 が日本へ輸出するケースもある。



                                     ナマモノから加工品へ
   
 さて表3をもういちど振り返ってみよう,食品モジュール化はとくに21世紀に大ってから顕著になった
 食品の姿だが、日本にとって、もっとも便利なのは日本で作るよりも近くの国から輸入することだった。
 農林畜水産物資源が豊富で、加工食品を生産するための賃金が安い中国が最適なバートナーとして認識
 されていったためだ。
 中国から輸入される食品の内容は、時代とともに変化してきた。1980年代までは「界」や「門」、
 つまりは農林畜水産物の原形が目で見てわかるもの(たとえば鶏肉、生鮮ホウレンソウなど)が大部分
 を占めていた。 

  しかしこのような範囲にとどまっていた時間は短く、90年頃からは冷凍・冷蔵技術や食品添加物の発達
 が食品の保存期間を長くし、それにともなって食品の包装や形自体も変化し始めた。固形物から半固形
 物原材料と、農林畜水産物を熱したり、混ぜたりすることが起きた。「綱」の時代の到来である(冷凍
 野気、そば粉など)。
 さらにこの頃から、進んだ技術を持つ日系食品メーカーの中国進出が加速し、現地の安価な農林畜水産
 物を原材料に、高度な加工を施して目本に輸出するというビジネスモデルが定着し始めた。当時は、あ
 らゆる産業が中国を目指し、中にはこんなはずではなかったと撤退する企業も後を絶たない有様だった。
 この中国ラッシュがピークを迎えるのが概ね90~2000年頃だった。この時期には中国からの輸入食品が、
 「綱」から「目」ヘと徐々に細かくなっていった,

 このようにして食品のモジュール叱が進み、時期的には中国がWTOに加盟(2001年)した頃から
 「科」(餃子)、ニンニクの粉、カラメルなど)から「属」(スープ、ピザ、油脂など)、「種」(肉
 エキス、野菜エキス、昆布エキスなど)へと細分化する時代となった。原材料の農林畜水産物は、互い
 に混ざりながら質の異なった要素を加えたり、あるいは、逆に分解するようなモジュール化か起きて、
 さらに進化していった。
 スーパーやデバ地下などに並ぶ弁当から、ひとつを選ぶ場合い、決め手になるのが惣菜だ。サバの塩焼
 き、サバの煮つけ、焼き鮭や肉団子、野菜煮物やサラダ、コロッケやハンバーグ、エビフライや野菜天
 ぶら、そしてキンビラや煮など、色とりどりの惣菜を眺め、迷いながらも手に取る。そして、家や会社
 にもどってからの楽しみとする。このとき、我われ消費者が利用できる情報は、目に見える惣菜だけだ。

 しかし、本当に参考にすべき情報は、弁当箱の表か裏に貼ってある良品表示法に従った食品名や食品添
 加物の明細のはずだ。
 これを見れば、どの弁当を買うかの決め手には、おいしそうかどうかに、食べても安全かどうかという、
 別の基準が加わることになる。
  問題は、そこに記載されている明細には、食品や食品添加物がどのような役割をし、一方でどんな問
 題が指摘されているかなど、本当に知りたい情報が書かれていないことだ。表示されている食品や食品
 添加物の中身を知りたいのに、それを作るための、さらに多様な種類の原材料がまったく見えないまま
 になっているのである
  食品モジュール化の進展は、見えない食品を膨大な数に増やす。目に見える食品や記載された食品添
 加物の背後には、消費者が知るべきなのに、その存在すらも知ることのできない食品や食品添加物が隠
 されているのだ。

                                中身が見える「食品アンプレラ」

 この状態を目に見えるよう図にしたのが、「食品アンブレラ」だ,目に見えるひとつの食品や惣菜を頂
 点(傘の突端)に、食材や味付けに使った調味料や甘味料、保存料など、そしてそれを作るための原材
 料となる化合物や加工食品、さらにそれらの添加物の原材料……というように、傘状にして記したもの
 だ。幾重にもおよぶ食品や食品添加物、そして食品や食品添加物を作るための基礎である農薬、化学肥
 料、抗生物質などが、最後には水、空気、土壌へと連なる重層構造になっている。もし、大本の水や土
 壌が重金属や危険物質で汚染されていれば、食品汚染は大変なことになる。
 これだけではわかりにくいと思うので、日本のN社が中国産(すべての原産地が中国かどうかを確認す
 ることは不可能だったが)の農産物を使い、自社工場で作って、日本に輸出し、スーパーで販売してい
 る加工冷凍惣菜「千切り大根の煮もの」を例に説明しよう。

 この食品はビニール製の袋に入っており、中身の様子は写真に写っている。消費者は袋の写真を見て、
 中身を想像しながら買うかどうかを決めているはずだ。
 図1はこの惣菜の「食品アンブレラ」である。袋を破って中身を取り出したときに、この図の一番上に
 書いてある6つの食品が「千切り大根の煮もの」として目に見える。
  

 味付き千明り大根、味付き人参、味付き油揚げ、味付きしいたけの4つの食品がこの惣菜の主な構成物
 となる。植物油脂と醤油は買い手にとってはさほどの意味はないが、色や光沢で確認できるだろう,消費者が食
 べたいと思う対象は以上であり、食品表示に記載されている。
 次の1段下のチキンエキス、蛋白加水分解物、乳糖、こんぷ粉末、pH調整剤など15個の集団は目では
 確認ができない
が、内容成分としてこのままの表現で記載されている食品と食品添加物だ。これらはこ
 の惣菜を加工して作るまで、ある
いは品質を維持したり、見かけをよくしたりするために、重要な役割
 を担っているはずの食品や食品添加物である。


 この惣菜に与えられている情報は、図の上から2段目まで
に記載してある食品や食品添加物だけである。
 この情報によ
って、消費者は安全性、原材料や味付け、食品成分などを想像し、価格を考慮して買うか
 どうかを決める,

 しかし、表示された原材料や食品添加物を作るためには記載された以外にもたくさんのものが関わり原
 材料や加工原材料となっている。たとえば2段目の水あめの製法のひとつはデキストリンを原料とする
 も
のだが、これはさらに澱粉を原材料としているし、澱粉はジャガイモや豆類、穀類などさまざまな原
 材料が元にな
ってできている。
 
 そして、それらの農産物を作るために農薬と化学肥料が不
可欠で、水、土壌、大気もなければならない。
 ひとつの食品や食品添加物はそれ自体で初めから存在するのではなく、いくつもの原材料や基礎物質が
 連なって関わっている。末広がりの末端から傘のてっぺんに向かって、ひとつの食品として収斂してい

 く。食品アンブレラとはそういう形態から名付けたものだ。

 あらゆる食品はこれと同じような構造を持っているので味付き大根や味付き人参などさまざまな惣菜の
 種類を先頭に、一つひとつの背後には同じような食品・食品材料とする構造が広がっている。ひとつの
 食べもパック入り惣菜)の中で、目に見える食品や惣菜ほどアンブレラは大きくなるが、図からわかる
 主な食品や食品添加物のうち、不可視部分が900%であるような食品が決して珍しくない。
 そして目に見えない食品や食品添加物が増える危険因子が入り込む余地も膨らむ。食品すべてが中国産
 の場合は、中国国内の政府系報道機関や研究者が発している警告や事件は、食を通じて我われとも関連
 があり、そを共有する必要がある。

                                 高橋五郎 箸 『日中食品汚染』

                                                             この項つづく

   

【オールソーラーシステム完結論 38】 

● 最新付着防止表面処理技術

産業技術総合研究所の高耐久性材料研究グループが、各種粘性液体や氷の付着を大幅に抑制できる表面処理
技術を開発。現在、はつ液処理(はっ水とはつ油処理)の多くは、有機フッ素化合物による処理や表面の
微細加工に依存しているが、有機フッ素化合物は製造コストや廃棄コストが高く、微細加工は特殊な装置
や長い加工時間を必要とし、有機フッ素化合物や微細加工に依存しない安価なはつ液処理技術が求められ
ている。
今回開発したはつ液処理技術では、樹脂やゲルにみられる離しょうやブルーミングという現象を
利用して
いる。はつ液成分を含むゲルを固体表面に形成すると、ゲルから離しょうによってはつ液性分が
表面ににじみ出して
い層を形成し、優れたはつ液性能を示す。表面に形成されたはつ液層と親和性のな
い液体は、粘性液体であっても表面に付着できずにスムーズに滑落していく。この処理技術は特殊な装置
や反応条件を必要とせず、塗液を塗布するだけで成型できる。また、処理後の表面は透明であり、大面積
化(A4サイズ)も可能だという。
今回開発した表面処理技術により、さまざまな粘性液体の付着の抑制や
氷の付着力を低減できるため、包装容器、金型、船底、取水口、建材など、粘性液体や氷が付着しやすい
固体表面への使用が期待できる。意匠性の維持、コスト削減、エネルギー消費の削減、メンテナンスの簡
易化、安全・信頼
性の向上が可能となる(上/下図参照)。
特開2014-185334 撥水/撥油皮膜及びその製造方法

この技術を応用すれば、(1)固体表面から液体をにじませて、粘性液体の付着抑制や氷の付着力を大幅に低減で
き、(2)有機フッ素化合物を使わず、一般的な元素を使用するため低コスト低環境負荷、(3)材料やエネルギー損
失の削減、太陽光発電の稼働率向上、交通機関の安全運行への貢献に期待できる。特に、太陽電池パネルの表
面の汚染固着を抑制し、雪や氷の付着抑制でき、稼働率、平均エネルギー変換効率を向上させ、パネルメンテナン
ス作業の軽減が図ることができる。

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色素とペロブスカイトの巡拝

2015年01月02日 | デジタル革命渦論

 

 

  

【オールソーラーシステム完結論 37】 

● ハライド系有機-無機ペロブスカイト半導体の衝撃

日刊工業新聞で色素増感型太陽電池の商品開発の記事が掲載されている。リコーのエネルギーハーベステ
ィング(環境発電)であり、色素増感太陽電池は大きな電力(出力)を発電できないが、未利用の室内光
を電力に変える。リコーの色素増感太陽電池の1平方センチメートル当たりの出力は13・6マイクロワ
ット。電卓やソーラー時計に使う非結晶シリコン太陽電池より2倍多い。リコーは電解質をコピー機の有
機感光体材料と類似した有機p型半導体と固体添加剤に置き換えた。液体が原因で色素がはがれなくなり、
耐久性が向上。従来の液体型と比べ1平方センチメートル当たりの出力を60%高めたというもの。環境
発電というキーワードでは、同じく、国際先端技術総合研究所のナノ二酸化ケイ素の人工水晶を用いた太
陽光なくても発電できる光発電素子で2013年4月に公表されたものを日刊工業新聞は12月に再掲載して
いる。




色素増感型は、(1)製造コストの安さや(2)カーラー表示できる意匠性、(3)結晶シリコン系(無
機)は直射光だけでなく散乱光も取り込めるという優れた特徴があるものの(1)変換効率の低さ、(2)
電解溶液使用による安全リスク、(3)セルの堅牢性・耐久性のリスクからその商品化が遅延していた。

そんな折り、昨年8月1日、山田泰裕 化学研究所特定准教授らのグループが 新しい太陽電池材料として
近年活発な研究が行われているハライド系有機-無機ハイブリッド型ペロブスカイト半導体(CH3NH3PbI3
中の電子の振る舞いを解明したと公表。無尽蔵の太陽光エネルギーを利用する太陽電池は、最も重要な再
生可能エネルギー創出技術の一つとして、重要性が増しているが、太陽光エネルギーをさらに有効に利用
普及には、安価で高効率な太陽電池の実現に向け開発競争が世界中で活発している。現在、最も普及が進
んでいるシリコン太陽電池の場合、太陽光エネルギーの電気エネルギーへの変換効率はおよそ25%に達し
さらなる太陽電池の普及には、低コスト化・高効率化が求められていた。このハライド系有機-無機ペロ
ブスカイト半導体(CH3NH3PbI3)は、2009年に初めて太陽電池材料として報告された材料、基板やフィ
ルムに「塗る」ことで作製できる。これを光吸収材料に用いたペロブスカイト太陽電池は「印刷技術」に
より作製でき、従来の太陽電池に比べ、製造コストを大幅に下げることが可能な新たな太陽電池として世
界中で急速に注目を集める。2012年以降、その光電変換効率は驚異的な速さで改善が進み、一躍、次世代
太陽電池研究の主役の座に躍り出る。しかしながら、急速に進む応用研究の一方で、高い変換効率をもた
らす基礎的な物性の理解が不明であった。特に、「光によって半導体中に形成される電子の振る舞い」に
ついて、発光や光吸収の時間変化を追跡することで、ペロブスカイト半導体の薄膜中で光によって生成し
た電子の状態解明に成功。その結果、これまでは有機太陽電池材料のように電子と正孔が励起子と呼ばれ
る束縛状態を形成すると考えられていたが、実際には電子と正孔はそれぞれ自由に運動していることを初
めて突き止める。



● マーティングリーン教授も驚嘆

このことを、内田聡東大先端科学技術研究センタ特任准教授は、「不定期日記」(2014.12.31)で以下の
ように語っている。


  ゲーム・チェンジングという言葉が正に当てはまるような、ペロブスカイト太陽電池が大躍進の1年
  でした。太陽電池の権威であるマーティングリーン教授が、結晶シリコン一筋40年の大先生ですが、
 わざわざ国際会議でペロブスカイト太陽電池の講演をしなければならないくらい、その波及効果は大
 きなインパクトを持って迎えられました。その一番の要因は急激な効率の上昇にあります。即ち、昨
 年5月のHOPV2013の発表でη=15%(by Prof. Graetzel)という衝撃的なアナウンスがされてから、現
 在の最高値であるη=20.1%の報告(by Dr.Seok)まで僅か18ヶ月。3.3%/Yearの伸びを示しました。
 電解液を用いた2009年の報告から数えても、この5年7ヶ月の間に平均2.9%/Yearで伸び続けている
 計算になります。通常、太陽電池の進捗は種類によらず大凡 0.3%/Year程度ですので、実に10倍も
  の速さで効率が上がっていることになります。そしてこの間、遂に既存の太陽光発電の一部を支える
 アモルファス太陽電池の最高効率を上回り、CIGS とほぼ肩を並べる存在にまで到達致しました。つ
 い数年前まで、有機系太陽電池がここまで前進するというのは誰も想像できなかったことであります。

 今にして思えば、全てが薄氷を踏む思いでありました。本人の尋常じゃない努力はもちろんのこと、
 Firstプロジェクトでドライルームを設置していたのも幸いでした。とかく再現性に苦慮しがちなペロ
 ブスカイトですが、湿度の影響を排除できたことで研究のスピードを格段に加速することができまし
 た。操作性の悪いグローブボックスでちまちまやっていたのでは、とても追いつかなかったと思いま
 す。また、これに並行して情報収集も精力的に行いました。最初から予定していたわけではないので
 すが、私、今年の国際会議参加による海外出張は10件という、いつに無いハイペースでした。写真に
 納めたスライドはSSSC(Oxford)だけでも1500枚。全部合わせれば1万枚は越えると思います。かつ、
 これらを全て後で精査しています。 


このように考えていくと、初めて色素増感型太陽電池の開発に手を染めから大凡8年経過して、ある意味
この研究を選択したことは幸運だったと思える心境にある。ただし、(1)鉛を使うという安全上のリス
ク(代替として錫など考えられている)、(2)カラー表示という意匠性の夢が絶たれるという問題もあ
る。しかし、これも考え方だ、化合物半導体を構成するヒ素やガリウム、インジウムなどもその意味では
鉛と同様な安全上のリスクを抱えているから、廃棄物のリサイクル、事故時の対応など是正工学を充実す
ればリスクを抑制できるだろう。また、カラー意匠性などは表面をカラーフォルム層を被覆すれば解決で
きるからコストとのトレード・オフできると考えられる。当初の色素増感型とは異なるが、今年から試作
品が市場投入されてくるだろう。

太陽電池だけではない。『デジタル革命!大爆破』 (2014.12.25)で掲載した次世代金属空気二次電池
にも応用展開――北海道大学触媒化学研究センターの竹口竜弥准教授、物質・材料研究機構の魚崎浩平フ
ェローらの研究グループが、次世代二次電池の材料として期待されるエネルギー密度の高い「金属・空気
二次電池」に使用する高性能空気触媒の開発に成功。二次電池は電気自動車などで需要が一段と高まって
おり、今回の研究成果によって高性能化に役立つと期待される。従来技術による金属・空気二次電池では、
空気極(空気中の酸素を用いる正極)の放電・充電反応が遅く、大きなエネルギーロスが生じていた。研
究グループが、新たに「ペロブスカイト」という構造を持つ3層の酸化物を開発。空気触媒として用いた
ところ、エネルギーロスがほとんど生じないことを確認――されていくものと期待できる。

 

尚、プラグインハイブリッド電気自動車,電気自動車用電源として,リチウムイオン電池が使われていが,
本格的普及に向けて航続距離を延長させるためにはエネルギー密度の高い次世代二次電池の開発が望まれ
ている。有望な次世代二次電池の一つである金属・空気電池の理論エネルギー密度は,現在実用化されて
いるリチウムイオン電池の200 Wh/kg をはるかに凌ぎ,リチウム・空気電池では11,140Wh/kg,アルミニ
ウム・空気電池では8,100 Wh/kg で,ほぼガソリンのエネルギー密度に匹敵する。

 

今夜は、色素増感型太陽電池→ハライド系有機-無機ハイブリッド型ペロブスカイト半導体→ペロブスカ
イト構造
電極などを俯瞰したが、シリコン結晶系やシリコン量子ドット系などの(下図参照)の開発も地
道にしかし着実になさ
れてきている。時代は確実に原子力発電に象徴される原子力系からバイオミミック
リ系あるいはデジタル系物理学にに移行していることを実感している。今年もワクワクすること間違いな
い! ^^;。

 

さて、大晦日は珍しくNHKの紅白歌合戦を熱心に観ていた。大道具や美術も大きく変わり、4K、8Kのデジタル大
道具-特殊映像効果技術-の時代だ。

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