つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

世を忍ぶ仮のすがた

2007-01-27 05:36:11 | ちょっとした出来事
わたしの本質は、どう考えても絵描きだ。

このブログでも何度か書いたのだが、ちゃんと
した勤め人からみると、まっとうではない勤め人なのだ。

仕事をしている最中にフッとある映像が浮かんできて
「ああ描きたいなあ…」とボ~ッとしたり、俳句が浮かんできて
仕事の手を止めて手帳にメモしたりするもんだから、
よくミスったりする。

一緒に仕事をしている人は「このオッサンなーにやってんだ?」
と思ったりするにちがいない。

んなわけで、自分が絵を描いているなどということは誰にも
言ってなかったのである。

だから勤め人は、世を忍ぶ仮のすがただと、どこかで
思っていて働いていたのだが、会社に入った頃から、
ドライバーの女性たちは、「絵かきさん」
とわたしのことを呼んでいたということを後で聞いた。

仮のすがたもへちまもない正体バレバレだったのである。

去年の会社の忘年会で、パートの人に酒をついでまわっていたとき
まちがえて、一度もしゃべったことのない本社の人に注いだのだが、
その人が私の顔をまじまじと見て「絵を描いてらっしゃるんじゃ
ないですか?」というのである。ああ新聞に載ってたのを見たんだな
と思っていたら、どうやら新聞は見ていないらしく、
やっぱり顔に絵描きと書いてあるらしい。

すかさず隣の顔見知りが、「この人個展ひらいてんで」と
京都弁で、はやしたてると、その人が「わたしも絵の講座に
通っていたんですよ」ということで大いに盛り上がってしまったのだ。
やっぱりどっから見ても絵描きなのである。

もはや世を忍ぶすがたのかけらもなくなってしまっているではないか。
まあこれはこれで、開き直って仕事ができるので、
かえってよかったのかもしれないが…。

それに世を忍んでいるのは案外ほかの人たちかも知れないのだ。
考えてみれば、多かれ少なかれみんな何がしかの仮の姿を
もっているではないか。

会社で怒鳴り散らしてるオエライさんだって、家に帰ればいいパパ
してるかも知れないし、叱られてばかりのパートさんだって、
家ではカカアー殿下かもしれないのだ。

職場の同僚にしろパートの人たちにしろ、
私は職場での姿しか知らないのだ。
会社を一歩出るとみんな本来の姿に帰っていくのかもしれない。

ウ~ムこう考えてみると、仮のすがたが無くなったのは
我ばかりという気がしてきたではないか。

なんてこったい、こうなりゃあ世を忍ばず、本来の姿で
ひたすら恥をかくしかないかなあ…。トホホ



コメント (2)
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