仕事を終えた身内から電話があって、迎えにきてほしいとのこと、
外は、直撃の台風16号が真上に差し掛かるころで、窓の外は
風雨のために、音を立ててゆすっている。
外駐車場まで、暴風雨の真っただ中を突っ切って行かなければ
ならない。
傘をすぼめ、身を縮ませて、駐車場に辿り着いたが、それでも
下半身びしょ濡れになってしまった。
よく、様子を見るために、台風の中へ出て行って事故に
遭うニュースを観るたび、行かなきゃいいのに、と思ったり
していたが、このようにやむを得ず行かなきゃならない人も
いるのだと、思い知った。
無事、身内を連れて帰宅したが、風雨に身をさらしたとき、
ふと、少年の頃を、思い出していた。
台風を、妙に面白がって外に出て、風の強さを身に感じながら
嬉しがったのである。
あの頃の好奇心が、ちょっと顔をのぞかせた瞬間でもあった。