雨上がりの休日、車を洗うべく駐車場へと向かった。洗うと言っても、濡らして絞ったタオル4枚で
拭くのである。まず、フロントガラスから拭こうとワイパーを持ち上げようと手を伸ばした時、何やら
変なものが…、わたしはハッとして飛びのいた。
何と、ワイパーにでっかいスズメバチが乗っかっているではないか。そのまっ黒な眼と正面から
見合ったのである。あの瞬間に襲われていたら一たまりもなかったろうが、ジッと動かずにこっちを
見ていたのだ。この時期だ、死んでいるか相当弱っているに違いない。背をかがめ、そーっと様子を伺うと、
お腹が動いている。生きている…。いくら弱っているとはいえ、獰猛で名を馳せるスズメバチである。
油断はできない。しかしこのままでは何時まで経っても車を洗うことができないではないか。
わたしは背をかがめたまま、後ろからそーっと回り込んでドアを細めに開け、車の中に滑りこんでドアを閉めた。
これで身の安全は確保できた。ホッと一息ついたところで、さーてヤツをどうしてくれよう…。
見ればまだワイパーに乗っているではないか。しめしめ…これでワイパーを動かしてヤツを吹っ飛ばしてやる。
以前カメムシがフロントガラスにいた時、ワイパーで吹っ飛ばそうと回したらつぶれて死んでしまったことが
あった、まあ…殺生は望むところではないが、そのようなことになってもやむなし!。
ウオッシャーのスイッチ入れると、ビーッと水が跳び出し、自動的にワイパーが2往復するようになっているので、ワイパーが動いた。するとヤツはつぶれもせず、ワイパーに掴まったままわずかに翅を広げてバランスを
取り、2往復掴まったままだったのである。なんてやつだ、弱っているどころか元気そのものだ。
ならば…もう1度~2度とウオッシャーをかけたが、相変わらず翅を広げてバランスを取って、まるで
シーソーでも楽しんでるかのように余裕しゃくしゃくである。何だかおちょくられた様な気分である。
「おのれ~どうしてくれよう…」さすがのわたしも、ちょっと感情的になってきた。「ならば、ワイパーを
最高速にして、振り切ってやる!」とレバーに手を掛けた途端、ヤツはパッとワイパーを手放し、飛び立った
ではないか。まるで、気配を察知いたかのようである。しばし、ゆっくりと一旋回するとスーッと建物の
向こうへ飛び去ってしまった。
ちょっと悔しかったが、殺生もしなくて済んだし、これで心おきなく洗車もできるし、まあいいか…と
ヤツの消え去った空を見つつ、車から出て、フロントガラスを拭き始めた。その間ほんの数分いや数十秒
だったと思うのだが、何かイヤな予感を後ろに感じて振り向いたところ、何とヤツの貌がほんの数メートル
のところにあるではないか。
わたしは一歩も動けず、立ち尽くしてしまった。ヤツは空中でホバリングしたまま
そのまっ黒な眼をこちらに向けている。多分ほんの数秒だったと思うのだが、目と目が合ったのである。
そしてスーッと飛び去ってしまったのである。それからは二度と戻らなかった…。
ヤツの消えた空は底抜けに蒼く、雲も一点のシミもなかった…。あのまっ黒な眼は、一体何を思い、
何を言いたかったのだろうか、気になる眼だったのである…。
拭くのである。まず、フロントガラスから拭こうとワイパーを持ち上げようと手を伸ばした時、何やら
変なものが…、わたしはハッとして飛びのいた。
何と、ワイパーにでっかいスズメバチが乗っかっているではないか。そのまっ黒な眼と正面から
見合ったのである。あの瞬間に襲われていたら一たまりもなかったろうが、ジッと動かずにこっちを
見ていたのだ。この時期だ、死んでいるか相当弱っているに違いない。背をかがめ、そーっと様子を伺うと、
お腹が動いている。生きている…。いくら弱っているとはいえ、獰猛で名を馳せるスズメバチである。
油断はできない。しかしこのままでは何時まで経っても車を洗うことができないではないか。
わたしは背をかがめたまま、後ろからそーっと回り込んでドアを細めに開け、車の中に滑りこんでドアを閉めた。
これで身の安全は確保できた。ホッと一息ついたところで、さーてヤツをどうしてくれよう…。
見ればまだワイパーに乗っているではないか。しめしめ…これでワイパーを動かしてヤツを吹っ飛ばしてやる。
以前カメムシがフロントガラスにいた時、ワイパーで吹っ飛ばそうと回したらつぶれて死んでしまったことが
あった、まあ…殺生は望むところではないが、そのようなことになってもやむなし!。
ウオッシャーのスイッチ入れると、ビーッと水が跳び出し、自動的にワイパーが2往復するようになっているので、ワイパーが動いた。するとヤツはつぶれもせず、ワイパーに掴まったままわずかに翅を広げてバランスを
取り、2往復掴まったままだったのである。なんてやつだ、弱っているどころか元気そのものだ。
ならば…もう1度~2度とウオッシャーをかけたが、相変わらず翅を広げてバランスを取って、まるで
シーソーでも楽しんでるかのように余裕しゃくしゃくである。何だかおちょくられた様な気分である。
「おのれ~どうしてくれよう…」さすがのわたしも、ちょっと感情的になってきた。「ならば、ワイパーを
最高速にして、振り切ってやる!」とレバーに手を掛けた途端、ヤツはパッとワイパーを手放し、飛び立った
ではないか。まるで、気配を察知いたかのようである。しばし、ゆっくりと一旋回するとスーッと建物の
向こうへ飛び去ってしまった。
ちょっと悔しかったが、殺生もしなくて済んだし、これで心おきなく洗車もできるし、まあいいか…と
ヤツの消え去った空を見つつ、車から出て、フロントガラスを拭き始めた。その間ほんの数分いや数十秒
だったと思うのだが、何かイヤな予感を後ろに感じて振り向いたところ、何とヤツの貌がほんの数メートル
のところにあるではないか。
わたしは一歩も動けず、立ち尽くしてしまった。ヤツは空中でホバリングしたまま
そのまっ黒な眼をこちらに向けている。多分ほんの数秒だったと思うのだが、目と目が合ったのである。
そしてスーッと飛び去ってしまったのである。それからは二度と戻らなかった…。
ヤツの消えた空は底抜けに蒼く、雲も一点のシミもなかった…。あのまっ黒な眼は、一体何を思い、
何を言いたかったのだろうか、気になる眼だったのである…。
まったく気付きませんでした。
コメント数を見ると3になっていたので、
気付いた次第です。失礼しました。
なるほど、当時のわたしは必至の攻防だった
ので、気付きませんでしたが、確かに
斬るか斬られるかの間合いはあったかも
しれません。
しかし、わたしの気合いで追っ払ったような
気はしませんねえ…。多分蜂のほうが
相手に取って大いに不足を感じ、去って行った
のが、正解の様な気がします。何せ、震えて
いましたから。(笑)
しかし、イッちゃんの発する気合に間合いを詰められず去って行ったのでしょう。
剣道でいう、一足一刀の間合い。
一歩踏み込めば、斬る間合いに入るのですが、非常に恐い間合いです。
斬るか、斬られるかの間合い。
そんなことを思いながら、読ませていただきました。
小さいころ、弟が指先を刺され、腕が
2倍ぐらいに腫れ上がり、包帯で吊るして
いたのを思い出しました。
あんな目には合いたくなかったですヨ。
落ち葉ですが、赤いのは割とすぐに色褪せして
しまうのですが、緑は長い間褪せません。
だから鮮やかな赤色の落ち葉を拾ったら、
もう…早く描こうと焦って焦って…。(笑)
刺されなくて良かったですねぃ(^^;
スズメ蜂は、この辺ではあまり見かけない
のですが、クマン蜂はよく出ます。
羽音?が凄いんですょ~..怖いですねぃ。
文章から、その時の緊張感が伝わります。
今回の葉は、緑色ですが上部が淋しいです。
虫食いなのかどうか?解りませんが、でも
本当にお上手ですね。