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ぽかぽか春庭「青いケシを描く・堀文子と入江一子」

2017-07-08 00:00:01 | エッセイ、コラム

入江一子「四姑娘山の青いケシ1992」立川中央病院エントランスに掲示

20170708
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2017十七音日記梅雨的花束(5)青いケシを描く・入江一子と堀文子

 何年か前に、日本画家堀文子が、青いケシを描くためにヒマラヤへ出かけた、というドキュメンタリー番組を見ました。
 番組の制作は2000年。幻の高山植物ブルーポピーを求め、ヒマラヤ山脈の高地を走破する堀文子の姿を追っていました。
(「アーティストたちの挑戦 ヒマラヤ 高き峰をもとめて 日本画家 堀文子」)

 1918年生まれの堀文子、82歳のときの旅登山です。私が見たのは2000年だったのか、その後の再放送だったのか、わかりません。
 その後、2011年9月に放送されたのも、2015年放送の「心の時代・堀文子『シリーズ、私の戦後70年・今、あの日々を思う』」も見逃してしまって、残念な思いをしました。

 どうして堀文子ファンなのかというと。
 私が4歳か5歳のとき、毎月こども雑誌を買ってもらっていました。ちょうど妹が生まれたころで、妹の世話で手一杯の母が、本さえ与えておけばおとなしくしている私を「だます(幼児をなだめる、あやすという意味で使っていました)」ために乏しい家計から購読していたのです。毎月届くこども雑誌ではなく、単行本として初めて買ってもらった絵本が堀文子挿絵の『青い鳥』でした。

 以前ネットで探した時は見当たらなかったけれど、今回のサーチではトッパンの絵本(昭和29年発行)が見つかりました。汚れ傷みあると注釈されている古本、5400円で売り出されていました。
 実家が引っ越しをしたとき失われてしまった私の宝物を、とりもどすチャンス。高いけれど衝動買いです。いつもは百円古本しか買わないけれど、たまにはね。専門書では高くても買ってきたけれど、自分の楽しみのための本では、一番高い買い物になりました。
 息子がネットで注文してくれました。

 展覧会情報もゲット。葉山へ出かける気、マンマンです。前後期の入れ替えもあるから2回は行かなくちゃ。
 堀文子、1918年7月2日生まれ99歳、白寿です。
 『白寿記念 堀 文子展』
 会期: 2017年11月18日(土)~2018年3月25日(日)
     前期 11/18-1/21  後期 1/25-3/25
 会場: 神奈川県立近代美術館 葉山館 〒240-0111 神奈川県三浦郡葉山町一色

 堀文子のスケッチ旅。69歳から5年間は、イタリアのトスカーナにホームステイで滞在。
 82歳のヒマラヤ行きの翌年、堀文子は解離性動脈瘤を患い、その後長期のスケッチ旅行などはできなくなりました。現在は大磯の山側に居を定め、99歳の今年まで絵を描き続けています。絵の題材は、顕微鏡でのぞいた微生物の世界や、花になっています。母屋をアトリエにし、別棟の一間で寝起きして、家事の助けを借りながら独り暮らしを続けているそうです。

 5歳のときに好きになった画家が、現在でも現役で活躍しているのを知るとうれしくて、生きる元気が沸いてきます。
 堀文子のモットーは、「群れない、慣れない、頼らない」です。
 彼女の描くヒマラヤの青いケシも、孤高の美しさを見せて咲いています。
 図書館で堀文子画文集『』を借りてじっくり眺めました。

堀文子「青いケシ」


 5歳のときから堀文子の絵が好きだったのに比べて,私は入江一子をまったく知りませんでした。6月18日の「日曜美術館」で紹介されていたのを見て,初めて,わぁ,こんなすごい人がいたんだ,と知ったのです。
 「青いケシを描く~洋画家・入江一子 101歳のアトリエ~」

  近代美術館にも作品が収蔵されているので,もしかしたら作品を見たことがあるかもしれないのに,名前と絵が一致しておらず,今年1月~2月に上野の森美術館で「入江一子 100歳記念展 ―百彩自在―」という展覧会があって,1月2月,私は上野に何度か出かけているのに,見ていないのです。本当に視野が狭いなあ。

 入江一子は、1916(大正5)年山口県萩生まれ。子供時代を韓国天邱(テグ)で過ごす。
 2017年で101歳。現役の画家として毎日絵筆を握っています。1時間描いては1時間横になってウトウトする、という生活だそうです。

 日曜美術館では、大作「青いケシ」の制作に取り組む入江さんの姿を映していました。この作品は、東京都美術館で開催された第71回 女流画家協会展(2017年5月29日~6月4日)に展示されました。

入江一子「四姑娘山の青いケシ2017」


 6月2日日曜日、杉並区阿佐ヶ谷の「入江一子シルクロード記念館」へ行ってきました。
日曜美術館を見たオバサマ方が、わいわいと押しかけていました。私もそのひとり。
 きんさんぎんさん以来、100歳超えて矍鑠の方は、もうアイドルです。そばに寄って声をきかせてもらうだけで、こちらもあやかって寿命が伸びる気がします。

 次回、シルクロード記念館の報告です。

<つづく>
コメント (4)
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