20170914
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2017十七音日記9月(7)かにかくにずわい蟹
(万葉集巻14東歌3452)
・おもしろき 野をばな焼きそ 古草に 新草交り 生ひは生ふるがに
(口語訳)趣のあるこの野を焼かないでください。古い草に新しく芽吹いた草が交じり生い育っているようですから。
(古今集829)
・泣く涙雨と降らなむ渡り川水まさりなば帰りくるがに
(口語訳)泣いて出てくる涙が雨になって降ってほしい。三途の川の水を増して、川を渡れなくしてあの人が帰ってくるように
近代短歌にも生きている古語。
古典語「かにかくに」現代語訳「あれこれと、いろいろと」
当然、高校生の私は「蟹角煮」だと思っておりました。豚角煮の豚は角にできるけれど、蟹はどうやって角に切るのか。
・かにかくに 祇園はこひし寝るときも 枕の下を 水のながるる (吉井勇 )
「蟹は食べてもガニ食うな」ということわざがあるがに。この終助詞「がに」とは推量をあらわして、「~かのように」「~しそうに」という意味の古語です。
「ガニ食うな」のガニとは、蟹のエラのこと。かって冷蔵冷凍が発達していないころには、エラ部分に細菌が発生しやすく、エラを食べると食中毒の危険があったのです。
春庭、9月11日月曜日の晩ご飯は、ガニを食わずに蟹を食べました。スワイガニです。
9月5日に、池袋サンシャインで娘と私のパスポート更新申請をして、1週間後の11日が受取日。娘と息子には、10日文化センターでのジャズダンス発表会のビデオ撮影写真撮影を頼んだので、そのお駄賃として「11日に食べたいものを頼んでいい」と、約束しました。食いもんで釣らないと、母の頼みなど聞いてくれぬ子らです。
パスポートは、まったく待たずに受け取れたので、娘はサンシャインの中のキャラクターグッズ売り場でなにやら買い物。同じようなキャラグッズがごろごろあるのに、と言うと、「母だって、同じような本がツンドクになってるじゃないの」と反撃される。確かに、文庫本買ってきたら、ツンドクの中におんなじ本があった、というのは頻繁に。
私は、サンシャイン通りのブックオフで、漢字練習帳を買いました。私がこれまで教えてきた漢字クラスは、非漢字圏の欧米やアジアの学生が多くて、英語解説のある漢字教科書だったので、中国人向けの漢字教育を模索中。いろいろな漢字教材を眺めておこうと思って、買いました。定価1800円の練習帳が150円。
息子が買い物をしている家電店の休憩広場で待ち合わせをして、レストランフロアへ。
今回は、蟹料理の店に決めました。「お得な蟹コース2000円ドリンク無料」というのが目に入ったので、まあ、いいかなと決めたのですが、席について注文したら、「こちらのコースは5時までのランチメニューです」とウェイターが言う。
メニューをみると、なるほど5時までと書いてあるのだけれど、店の前の看板には、5時までという表示は目に入らないようになっている。ランチメニューなら、ランチが終わった時点でランチの看板はひっこめるのが筋と思ったけれど、5時までという小さな表示を見落として入店してしまった客が悪いのでしょう。ぷんぷん
全席禁煙かとか、いろいろ言ったあとで、いまさら店を出にくい雰囲気。しかたない、夜メニューの「お気軽コース一人前3000円」というのを頼むことになりました。私には3000円もするコース、ちっともお気軽じゃない。
飲み物別料金で、私は瓶ビール1本、息子は柚ハイ、娘はマンゴージュース。
コースは、・前菜甘海老ユッケ ・かにと大根のサラダ ・浜茹でずわい ・自家製たるたるチキン南蛮・ポテトフライ ・エビチリ揚げ春巻き ・鉄板一口黒豚餃子・蟹チャーハン。
蟹コースというわりに、蟹はちょっぴりで、チキンやポテトなどの単価安食材でかさ増ししている感じ。サラダの蟹もチャーハンの蟹も、3人で分けたら、蟹はぽっちりでした。
蟹は、ズワイで、私は一番大きな爪と腹の半分。もうちょっと蟹盛りだくさんに食べたかったけれど、貧乏人には「豪華コース一人前1万円」なんて無理。このところ、外食続きでふところ寒いのに。
それでも、娘が「私はおいしく食べたから満足」というので、よしとしました。娘はたいていの食べ物について「辛くなければOK」で、今回のメニューで辛かったのはエビチリの揚げ物だけだったので、満足したがに。
バスで帰ることにして、始発だから席も座れました。ビール1本だけだけど、眠くなったので、少々寝る。
私の前に座っていた息子が立った気配にあわてて手提げカバンひっ掴んで降りました。
家に戻り、ドアの鍵を開けようとしたら、あらまあ、なんてこと、財布、携帯、鍵が入ったショルダーバッグがありません。
わぉ、バスの中に忘れてきたがに。「ねぇ、ねぇ、たいへん。貴重品入れのほうのバッグをバスの中に置いてきちゃった。早くはやく、バス会社に電
話して」とドア前で騒ぐ。
「ここでギャーギャー言ってないで、とにかく中に入りましょう」と娘。娘は夫に似て、決して忘れ物落とし物をしないのです。一方息子は私似で、終始一貫忘れ物名人。学内で学生証をなくして再発行してもらうこと8回。息子学部4年修士2年博士3年の計9年の学生生活でしたから、1年1度は落とした計算。遺伝だから仕方がない。なにかに気を取られると、注意力が他のことにむかなくなり、二つ目のことは出来ないのです。ふたつのことを同時進行しようとすると、たいていどちらも失敗する。発達障害の症状のひとつがに。
バスの営業所に電話をして、待つこと30分。「バスの中で落とし物がありました」という電話がありました。
なにせ、財布、ケータイ、運転免許証、保険証、大学教職員身分証、銀行のカード各種(たいして中身はないカードだけれど)、おまけに更新してきたばかりのパスポート。なくしたら困るものがいっぱいでした。
娘はあきれて、どうしてショルダーバッグなのに、肩からはずしてバスの座席の脇においたの。ショルダーバッグなんだから、肩からはずさなければ、落とすことないでしょ」と言う。まあ、正論ですがに。でも、その時は、はずしたい気分だったんです。たぶん。
ビール1本飲んだだけで、とんだ騒動でした。
今後、家以外でビールは飲まん。ショルダーバッグは肩からはずさぬ。右、心に誓います。
・かにかくに肩には重きカバンなれ バスにな忘れそ手放さぬがに
<つづく>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2017十七音日記9月(7)かにかくにずわい蟹
(万葉集巻14東歌3452)
・おもしろき 野をばな焼きそ 古草に 新草交り 生ひは生ふるがに
(口語訳)趣のあるこの野を焼かないでください。古い草に新しく芽吹いた草が交じり生い育っているようですから。
(古今集829)
・泣く涙雨と降らなむ渡り川水まさりなば帰りくるがに
(口語訳)泣いて出てくる涙が雨になって降ってほしい。三途の川の水を増して、川を渡れなくしてあの人が帰ってくるように
近代短歌にも生きている古語。
古典語「かにかくに」現代語訳「あれこれと、いろいろと」
当然、高校生の私は「蟹角煮」だと思っておりました。豚角煮の豚は角にできるけれど、蟹はどうやって角に切るのか。
・かにかくに 祇園はこひし寝るときも 枕の下を 水のながるる (吉井勇 )
「蟹は食べてもガニ食うな」ということわざがあるがに。この終助詞「がに」とは推量をあらわして、「~かのように」「~しそうに」という意味の古語です。
「ガニ食うな」のガニとは、蟹のエラのこと。かって冷蔵冷凍が発達していないころには、エラ部分に細菌が発生しやすく、エラを食べると食中毒の危険があったのです。
春庭、9月11日月曜日の晩ご飯は、ガニを食わずに蟹を食べました。スワイガニです。
9月5日に、池袋サンシャインで娘と私のパスポート更新申請をして、1週間後の11日が受取日。娘と息子には、10日文化センターでのジャズダンス発表会のビデオ撮影写真撮影を頼んだので、そのお駄賃として「11日に食べたいものを頼んでいい」と、約束しました。食いもんで釣らないと、母の頼みなど聞いてくれぬ子らです。
パスポートは、まったく待たずに受け取れたので、娘はサンシャインの中のキャラクターグッズ売り場でなにやら買い物。同じようなキャラグッズがごろごろあるのに、と言うと、「母だって、同じような本がツンドクになってるじゃないの」と反撃される。確かに、文庫本買ってきたら、ツンドクの中におんなじ本があった、というのは頻繁に。
私は、サンシャイン通りのブックオフで、漢字練習帳を買いました。私がこれまで教えてきた漢字クラスは、非漢字圏の欧米やアジアの学生が多くて、英語解説のある漢字教科書だったので、中国人向けの漢字教育を模索中。いろいろな漢字教材を眺めておこうと思って、買いました。定価1800円の練習帳が150円。
息子が買い物をしている家電店の休憩広場で待ち合わせをして、レストランフロアへ。
今回は、蟹料理の店に決めました。「お得な蟹コース2000円ドリンク無料」というのが目に入ったので、まあ、いいかなと決めたのですが、席について注文したら、「こちらのコースは5時までのランチメニューです」とウェイターが言う。
メニューをみると、なるほど5時までと書いてあるのだけれど、店の前の看板には、5時までという表示は目に入らないようになっている。ランチメニューなら、ランチが終わった時点でランチの看板はひっこめるのが筋と思ったけれど、5時までという小さな表示を見落として入店してしまった客が悪いのでしょう。ぷんぷん
全席禁煙かとか、いろいろ言ったあとで、いまさら店を出にくい雰囲気。しかたない、夜メニューの「お気軽コース一人前3000円」というのを頼むことになりました。私には3000円もするコース、ちっともお気軽じゃない。
飲み物別料金で、私は瓶ビール1本、息子は柚ハイ、娘はマンゴージュース。
コースは、・前菜甘海老ユッケ ・かにと大根のサラダ ・浜茹でずわい ・自家製たるたるチキン南蛮・ポテトフライ ・エビチリ揚げ春巻き ・鉄板一口黒豚餃子・蟹チャーハン。
蟹コースというわりに、蟹はちょっぴりで、チキンやポテトなどの単価安食材でかさ増ししている感じ。サラダの蟹もチャーハンの蟹も、3人で分けたら、蟹はぽっちりでした。
蟹は、ズワイで、私は一番大きな爪と腹の半分。もうちょっと蟹盛りだくさんに食べたかったけれど、貧乏人には「豪華コース一人前1万円」なんて無理。このところ、外食続きでふところ寒いのに。
それでも、娘が「私はおいしく食べたから満足」というので、よしとしました。娘はたいていの食べ物について「辛くなければOK」で、今回のメニューで辛かったのはエビチリの揚げ物だけだったので、満足したがに。
バスで帰ることにして、始発だから席も座れました。ビール1本だけだけど、眠くなったので、少々寝る。
私の前に座っていた息子が立った気配にあわてて手提げカバンひっ掴んで降りました。
家に戻り、ドアの鍵を開けようとしたら、あらまあ、なんてこと、財布、携帯、鍵が入ったショルダーバッグがありません。
わぉ、バスの中に忘れてきたがに。「ねぇ、ねぇ、たいへん。貴重品入れのほうのバッグをバスの中に置いてきちゃった。早くはやく、バス会社に電
話して」とドア前で騒ぐ。
「ここでギャーギャー言ってないで、とにかく中に入りましょう」と娘。娘は夫に似て、決して忘れ物落とし物をしないのです。一方息子は私似で、終始一貫忘れ物名人。学内で学生証をなくして再発行してもらうこと8回。息子学部4年修士2年博士3年の計9年の学生生活でしたから、1年1度は落とした計算。遺伝だから仕方がない。なにかに気を取られると、注意力が他のことにむかなくなり、二つ目のことは出来ないのです。ふたつのことを同時進行しようとすると、たいていどちらも失敗する。発達障害の症状のひとつがに。
バスの営業所に電話をして、待つこと30分。「バスの中で落とし物がありました」という電話がありました。
なにせ、財布、ケータイ、運転免許証、保険証、大学教職員身分証、銀行のカード各種(たいして中身はないカードだけれど)、おまけに更新してきたばかりのパスポート。なくしたら困るものがいっぱいでした。
娘はあきれて、どうしてショルダーバッグなのに、肩からはずしてバスの座席の脇においたの。ショルダーバッグなんだから、肩からはずさなければ、落とすことないでしょ」と言う。まあ、正論ですがに。でも、その時は、はずしたい気分だったんです。たぶん。
ビール1本飲んだだけで、とんだ騒動でした。
今後、家以外でビールは飲まん。ショルダーバッグは肩からはずさぬ。右、心に誓います。
・かにかくに肩には重きカバンなれ バスにな忘れそ手放さぬがに
<つづく>