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ぽかぽか春庭「クラシックハウス旧李王家東京邸」

2017-11-09 21:21:21 | エッセイ、コラム


旧李王家東京邸

20171107
ぽかぽか春庭アート散歩>建物散歩2017(2)プリンスクラシックハウス(旧李王家東京邸)in 文化財ウィーク

 赤坂プリンスクラシックハウスは、元赤坂プリンスホテル旧館。
 戦後の皇族や華族の没落時に、あちこちの旧宮家や旧華族の邸宅を新興西武が買い取ったうちのひとつ、旧李王家東京邸です。



 アカプリ建て直しに伴って、移築修復がなされて、2016年にリニューアルオープンしました。東京都有形文化財に指定されていますが、レストラン、結婚式場として利用されているので、8000円のランチとか、20000円のディナーなんぞをお召し上がりに、お客として来ればいつでも室内を見ることはできるのです。

 が、春庭の「お楽しみは無料で」方針を曲げるわけにはいかず。つまり、ランチは千円以内という方針をを変えることは、懐具合から言ってできぬことだし、パラサイトシングル娘と息子が結婚式をここで挙げることは、金輪際なし、ということであるからして、東京都文化財公開シーズンに、無料で見学しようとやってきました。

 港区紀尾井町。東京のど真ん中。江戸の昔は、紀州徳川家、尾張徳川家、井伊家のお屋敷があったから、紀尾井町の地名が残りました。明治になると、大名たちのお屋敷は政府高官、皇族華族がぶんどり放題。紀伊家の土地は明治になると北白川宮に下賜され、1884(明治17)年には、ジョサイア・コンドル設計により宮邸が建てられました。しかし、1912(明治45)年に北白川宮は港区高輪に移ったため、1924(大正13)年、李王家に下賜されました。



 朝鮮李王朝最後の皇太子であった李垠(りぎん・イウン1897-1970)は、1907(明治40)年7月に立太子。大韓帝国の皇太子になるも、半島統治を検討していた日本政府の招きにより同年12月、10歳で日本に留学しました。伊藤博文らが皇太子教育を担当し、学習院、士官学校で教育を受けました。1910(明治43)年、日韓併合。王世子として日本の皇族に準ずる王族との待遇となり、梨本宮家長女の方子(まさこ1901-1989)と1920年に結婚。

 旧宮内省内匠寮の工務課長として活躍した北村耕造と、技師の権藤要吉らの設計により、1926年から洋館建設がはじまり、1930年に完成。1945年まで李夫妻はこの邸宅に住みました。
 しかし、日本帝国敗戦後は王族の身分を失い、無国籍の在日朝鮮人として困窮します。邸宅は、参議院議長公邸とて貸し出されたりもしましたが、1952(昭和27)年、ついに邸宅を売却します。

 敗戦後の混乱の中に困窮した旧宮家の邸宅を買いあさったのは、西武の堤康次郎でした。三井三菱など爵位を持っていた旧財閥系の資本家に対して、一代で成り上がった西武資本に欠けていたのは「重厚感、高級感」。
 その「気品と高級感」を「旧皇族、王族」の名を利用することで獲得した才覚は見事なものでしたが、国に税金払わずにため込むだけため込んだ才覚は、やはり成り上がり。儲けたお金は、民のためにつかってこそ、という渋沢栄一哲学とは無縁だったみたい。知らんけど。
 
 堤は、旧宮家邸宅を次々と買収し、「高級ホテル」を設立して行きました。プリンスホテル群です。
 朝香宮軽井沢別荘→千ヶ滝プリンスホテル(皇室専用)を権威の象徴として、竹田宮邸→高輪プリンスホテル、北白川宮邸→新高輪プリンスホテル、東伏見宮別邸→横浜プリンスホテル、李王家邸→赤坂プリンスホテル。

 高層ビルホテルの敷地内に旧皇族の洋館がある。どこぞのスノッブ客などは、プリンスホテルに泊まることで、王族になったような気分を感じられる。
 一方、いまだに高級ホテルのロビーで休憩しようとして、なんだかおどおどしてしまう悲しき庶民のHAL。ロビーくらい、だれが利用してもいいのがホテルサービスというものなのにね。


 
 旧李王家邸は、2016年に移築修復し、今は結婚式場&レストランとして営業していることは、先に述べたとおり。
 私とyokoちゃんが11時半頃からクラッシックハウス見学を始めたときにも、1組が結婚写真の前撮りをしていました。

幸せカップル


 午後からは結婚式も始まるとのことで、2階見学は「ご遠慮願っています」という。
 しかしながら、2階へあがるエレベーターの前に来たので、悪い子のHALはついつい2階へ上がってしまいました。良い子のyokoちゃんは1階でおとなしくしています。

 2階は、結婚式の準備と言っていましたが、使っていない部屋もありました。本来の趣旨では文化財公開なのですから、結婚式のお邪魔をしたり、従業員に迷惑をかけたりしないのなら、写真とってもいいと思います。
 それで、ご遠慮願いますというご遠慮をしないことにして、写真をとりました。まあ、私のコンパクトカメラですから、たいした写真にはなりませんでしたが、撮影上手な一眼レフのyokoちゃんが撮影しなかったこと、残念。

 ただし、2階は結婚式用にかなり修理がなされているようで、古い室内をもとのまま保存していない感じがしました。建築について詳しくない春庭なので、はたしてこの2階の内装がどれほど昔のようすを残しているのか、さっぱり検討がつかないのです。わざわざ人目をしのんで2階に潜入した意味はあまりなかったのかも。

2階の使われていなかった部屋

2階の窓からの眺め


2階のドアノブも新しいのやら古いのやらわからなかったけれど、こうして写真をしげしげ見てみるに、ドア自体は古い感じたする。


 外観と室内の写真もyokoちゃんのカメラのほうがきれいに撮れていますから、そちらを参考に。
http://blog.goo.ne.jp/midnight-blues-yoko/6

次回は1階の室内写真UP.

<つづく>
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