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ぽかぽか春庭「電車麻雀」

2018-10-04 00:00:01 | エッセイ、コラム
20181006
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2018十八番日記秋の風(2)電車麻雀

 大学日本語コースの留学生に「日本に来てびっくりしたこと」を口頭発表させ、それを作文にまとめさせる、という授業を実施してきました。
 その中に、昔ならよく出てきたのが「電車の中の人々が、みな新聞や雑誌、本を読んでいるので驚きました」ということ。
 「私の国では、自家用車を持たず、バスや電車で通勤する階層の人は、本なんか読まない」というお国柄やら、「電車に乗って本なんか読んでいたら、スリに狙われてしまう」という国もあり、電車で居眠りしたり本を読んでいられるというのも、安全な社会の光景なんだなあと思ったものです。

 それが、今や座席の全員がスマホに目を集中している、そういう通勤風景になりました。 
 電車の中で、文庫本や雑誌を読んでいるひとが1車両にひとりふたり、ときにゼロ、という状況になって、みながケータイ、スマホに見入っている。

 私は、仕事で通勤をしているうちは文庫本派に徹しようと思っていたのでしたが、老眼が進むにつれて文庫本の小さな活字がつらくなりました。この夏、私もついにスマホの画面にくいついて通勤時間をやりすごすようになりました。

 無料の麻雀サイト。私以外は、コンピュータが操作する4人麻雀です。
 無料サイトだから、無限に組み合わせがあるはずの配牌なのに「あれ、この配牌前もあったな。そして、この牌捨てると当たるんだよな。あら、満願振り込んじゃった」という既視感もあるなか、ぼおっとすごすにはなによりの暇つぶしになっています。
 有料の通信麻雀サイトもあるのは知っているけれど、私は人とやるのは苦手。コンピュータ相手がちょうどいい。

 歩けないと、私の好きな無料の愉しみ、公園歩きも建物散歩も美術館巡りもできません。
 しかも、気持ちがなえているので、電車の中で活字が心に入ってこない。
 何の楽しみもない生活で、たったひとつの暇つぶしが「スマホひとり麻雀」
 麻雀が楽しみのひとつになるとは思っていませんでしたのに。  

 学生時代、男子学生たちが夢中になって雀荘通いをしていたころ、たとえ1点10円という安いレートの麻雀でも、かけて遊ぶことができませんでした。とても弱くて負けてばかりだったから。
 役作りなどはひととおり覚えたのですが、相手の捨て牌の並びを見て、どの牌で上がりを待っているかを推測するなどという高等技術は身につかず、リーチに当たるのを避けるには、「スジ牌を捨てる」くらいしか読めなかった。

 30年以上前、義兄が持っていた古い「自動麻雀遊び機」を貸してくれたので、ずいぶんと「ひとり麻雀」で遊び、いくらかは上手になりました。古い単純な機械でしたから、自分とコンピュータの2人麻雀でした。
 今のスマホでは、4人麻雀ができますから、ずっと面白い。でも、相変わらず弱いです。スジ見ているつもりなのに、振り込んでしまう。ようよう自分がリーチかけると、ほとんどが流局。しばしばフリテン(自分が捨てた牌を上がり牌にしてしまうこと)。

 電車に乗っている人々が、スマホから目を離さずにゲームをしているようすを見ていたころは、「同じゲームを続けていてよくも飽きないものだ」と感じていましたが、スマホ麻雀、飽きないのです。

 麻雀にはまって、電車スマホ族の仲間入りをした69歳です。いつまで続くかマイブーム。
 認知症予防のあれこれが出ていた中、算数や漢字ドリルのほか、麻雀も出ていましたから、認知症予防と思って、楽しんでいきます。

<つづく>
コメント (2)
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