202107013
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>2021日本語学校夏(1)避難訓練
災害の多い国ニッポン。小中学校高校どの学校でも、年に1回以上の避難訓練が行われ、保育園幼稚園小学校では、親の「引き取り訓練」が実施されます。
子どものころの避難訓練は「授業受けなくてすんだ」程度の気持ちで参加していたので、気楽でした。
親になってからの引き取り訓練では、つらいこともありました。仕事を休めなくて、子供を引き取るのが最後のほうになったときなど、校庭に残されている子の気持ちを思うと、気が気でなかった。
日本語学校できちんと避難訓練を実施している学校は、少ないかもしれません。入国管理局は、学生の出席日数についてはとても厳しく目を光らせていますが、防災訓練については学校にまかされているので、実施しない、学校もあるようです。
春庭の勤務校では。
第1期生が入学した最初のころ、大きな台風が来襲。寮にいた学生を副理事長が車で迎えにいき、副理事長の自宅に泊まらせました。日本にきたばかりで慣れていない災害の体験、寮にいたらさぞ心細い思いをして強い雨と風の夜と過ごしたことだったでしょう。
1期生の卒業式。卒業スピーチで、日本にきて間もないころの思い出として、この学校側の対応に感謝し涙ぐむシーンもありました。
現在の在学生。第2期生(4月入学予定)は、コロナ禍で来日できずオンライン授業が実施されたあと、10月入学予定者とともに、2020年11月末に来日2週間待機。ようやく、12月から授業開始となったのち、かなり大きな地震も体験しました。数ヶ月の遅れをとりもどすべく、授業優先の日々を過ごさざるを得ませんでした。2回目の緊急避難宣言のころは、1週間の学校閉鎖もありました。
計画は前々からあったものの、コロナ禍でなかなか実施できずにいた避難訓練を6月に実施しました。
防災本部長(校長)、校舎警備担当(副校長)など役割分担表連絡網を作り、初級クラスは4班、中級クラスは2班に分け、グループリーダーを決めて人数把握などを行うことにしました。春庭は、ベトナム人事務員とともに「介護救護係」担当。
避難訓練実施日は、真夏日30度となった暑い日。
「地震です!」の掛け声で始まり、まずは机の中に頭を入れて、天井からの落下物から身を守る訓練。
机の下にもぐる留学生。

「おはし」の原則、押さない、走らない、しゃべらないを守って、班ごとに列を作り、近所の児童公園まで行進。人数を確認、けが人がいないかの確認を行いました。
公園で点呼。

本当はけが人手当の模擬訓練を公園でする予定でしたが、暑くて熱中症も心配、学校に帰ってからけがの手当て講習を行いました。
地震のほとんどない地域からの留学生もおり、地震がある地域でも日本のような「避難訓練」を定期的に実施している国はありません。
ほんとうは緊張感を持って実施しなければいけないのですが、初めて体験する「避難訓練」を、学生たちは心の中ではわくわくしながら体験しました。
春庭は「救急看護班」となる予定でしたが、暑くて公園での応急措置訓練を見合わせたため、もっぱら写真録係。
柔道整復師の国家資格を持つ副校長の本格的な「応急処置の方法」講習もあり、初めてにしては充実した訓練となりました。
小学生を持つ講師の話によると、私が聞き覚えた「おはし」の原則が進化し、最近は「おはしも」なんだそうです。避難の原則「押すな走るなしゃべるな」に加えて、「もどるな」。大事なものを教室などに忘れてきたことを思い出しても、絶対にもどってはいけない、というのが付け加わったのだそうです。
留学生が学校で災害にあってしまうことなど、ないほうがいいに決まっていますが、いつなんどき災害にあるとも限らない昨今。今回の避難訓練も、役立つことがないほうを祈りますが、やってよかったと思います。
備えあれば憂いなし。
<つづく>