
月華厳島
20211009
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩夏(8)故郷の風景 in 平山郁夫シルクロード美術館
女子校クラスメートやっちゃんは、東山魁夷が好きなので、東山の美術展には何度か出かけたけれど、平山郁夫(1930-2009)は、今までまとまった展示は見たことがない、という。
やっちゃんと清里に出かけたこの夏。甲斐小泉駅前の平山郁夫シルクロード美術館を紹介しました。やっちゃん運転の車で美術館へ。
これまで私は、清里観光の最後にこの美術館へ行くことにしていました。行きは妹の車に同乗し、帰りはこの美術館に立ち寄ったあと甲斐小泉駅から中央線で帰ることにしていたのです。
今回はじめて「故郷の光景」という企画展を見ました。平山のふるさとは広島県瀬戸田町(現・尾道市 。
平山郁夫シルクロード美術館の口上
(平山は)1990年代の平成時代に入ると、改めて日本の素晴らしさに気付き、画題をわが国へと求めていきます。
本展は、そうした日本を題材とする作品の中から、平山の原点である「広島」に焦点を当て、瀬戸内海の島々などを描いた《天かける白い橋 瀬戸内しまなみ海道》(2000年)をはじめ、故郷の生口島の素描作品を中心に紹介します。また、広島の世界文化遺産である厳島神社を描いた大作《月華厳島》(朝日生命保険相互会社蔵)を展示します。
本展は、そうした日本を題材とする作品の中から、平山の原点である「広島」に焦点を当て、瀬戸内海の島々などを描いた《天かける白い橋 瀬戸内しまなみ海道》(2000年)をはじめ、故郷の生口島の素描作品を中心に紹介します。また、広島の世界文化遺産である厳島神社を描いた大作《月華厳島》(朝日生命保険相互会社蔵)を展示します。
会期:会期:2021年6月26日(土)~12月27日(月) 

天かける白い橋 瀬戸内しまなみ海道 2000 平山70歳

燦・瀬戸内 輝く瀬戸内海

平山郁夫シルクロード美術館では、館内展示の写真撮影は禁止です。上に提示した作品は、たとえば「燦・瀬戸内 輝く瀬戸内海」の画像はカレンダーからのコピーです。写真撮影OKにしたら、これらのカレンダーが売れなくなるかもしれないし、私が何枚か買った絵ハガキも売れない。だから禁止もわかるのですが、、、、
この夏の美術関係ニュースで面白かった話題の一つが偽物版画の売上高。売り上げ上位は、東山魁夷と平山郁夫。
偽物版画の画材選択としてすごくよくわかる。「わかりやすく、だれにもすんなり受け入れられる光景・どんな部屋に飾ってもOK」「独特のタッチなどはなく、平易な筆遣い」「版画にしても、元の絵の雰囲気と同じになる」
偽物版画を本物の版画として売りさばいた画商は、著作権違反だと承知で売りさばいたのでしょうが、デパートの頒布会で堂々と売られていたというので、なるほど、買う人は老舗のデパートで売っているなら、オリジナル版画なんだろうと信じて買ったのでしょう。偽物版画を売りさばいて大儲けした画商も悪いが、本物偽物の区別もつかなかったデパート美術売り場責任者もワキが甘かった。一部の識者には、売られてきた版画が大量すぎることをいぶかしみ、偽物ではないかという噂は以前から出ていたのだと。
現代の「高性能精密コピー機」が、本物とほとんど見分けつかないくらいの性能をもつことは、東博などに展示されている国宝のコピーでも思いました。国宝、たまにしか展示されないけれど、3Dで彫刻でも工芸品でもコピーが作れる。
ロダンなどの彫刻はもともと鋳型から3体とか5体とかの「本物」を鋳造する。この場合5体作ったのなら5体とも本物。100体鋳造すれば100体本物。
版画も、浮世絵などでは初刷りと100刷り目では色合いが変わってくるが、高性能コピー機なら、理論的には何万枚でも「本物」が印刷できる。
サザビーなどの美術品オークションでも偽物には目を光らせているけれど、本人が信じて眺めていれば、偽物も本物と同じ価値がある。
東山魁夷や平山郁夫、偽物でも十分鑑賞に堪えると思います。私は絵ハガキでも十分満足。本物でなければ美術鑑賞したことにならない、ということもない。その絵や彫刻から見た人が何を受け取ったのか、何を感じたのか、それがその人自身の「アート鑑賞」なのだと思います。
中国のある村では、村の産業として「有名絵画のコピー油絵」を制作しているのだそう。「モナリザ」の模写を本物と信じて買う人はいないだろうけれど、モネやルノアールのタッチで描かれたスイレンやアネモネの絵を「本物」と信じてネットオークションで買う人は少なくないのだとか。
私?絵を見るのは好きですが、偽物本物見分ける目なんぞもとより持ち合わせていない。たとえ、平山郁夫美術館で見た絵が偽物だったと言われても、8月3日にやっちゃんといっしょに「いいね、この絵」と眺めた気持ちには変化がないと思います。
<つづく>