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ぽかぽか春庭「包む in 目黒美術館」

2021-11-13 00:00:01 | エッセイ、コラム

2021111
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩夏(10)包む-日本の伝統パッケージ  in 目黒美術館

 雨の中、目黒美術館に出かけ、「包む-日本の伝統パッケージ展」を観覧。まったく期待せずに出かけたのですが、とても有意義な展覧会でした。

会期:2021年7月13日(火)~2021年9月5日(日)
 展示会場




 目黒美術館の口上
 日本のデザイン黎明期に、わが国の伝統的なパッケージの収集と研究を続け、「TSUTSUMU(包む)」という言葉とともに大きな足跡を残したデザイナー、岡 秀行(1905ー1995)。木・竹・藁・土・紙―自然素材のパッケージに向けた岡の眼差しから見えてくる、「包む」ことに日本人が込めた想いや手わざの美を、当館所蔵の岡のコレクションによりご紹介します。
  岡は、戦前からアー トディレクターとして活躍する一方で、木、竹、藁など自然の素材が生かされたパッケージに魅了され、 収集・研究を始め、藁の苞(つと)の素朴な美しさや、すし桶、菓子箱の職人技による伝統美に、日本人な らではの「美意識」と「心」を見いだし、「伝統パッケージ」と呼称を与え、書籍の出版や展覧会を通じて、 高度経済成長期の日本において消えつつある技術や美があることの啓蒙につとめました。 

 第1室と第2室は、素材別の展示。
 「岡秀行旧蔵〈包む〉コレクション」の分類
A: 木  B: 竹   C: その他自然素材   D: 土   E: 藁  F: 紙  G: 布   H: その他
 
 過去から現代までの職人たちが、手わざを駆使して作り上げた実用品でありかつ美しい造形美を持つパッケージ、素材別に並べられたパッケージ、見事なものでした。

 藁を使って包む


 藁を使って卵を包む(卵つと)


 木や竹、筍皮など、自然から得られるさまざまな素材が「包む」ために使われています。
 竹や筍皮を使って

 紙を使って


 第3室と4室は、「伝統と生活の中の美」をピックアップ。第4室には岡さんの年譜が展示されていました。伝統パッケージになんの興味も持たず見たのですが、岡が集めたさまざまな「つつむ」技とデザイン、大変美しく機能美を見せていました。
 日常生活で目にしてきたパッケージも数多く展示されていましたが、普段はパッケージよりも中身にばかり目がいくほうなので、あらためてパッケージのさまざまな美しさにふれると、中身もいいが外身にも注意していかなきゃ、と、日ごろの粗雑な日常生活を反省しました。

 岡秀行の事跡を紹介している一室。


 この部屋で「つつむ」をテーマにした映像作品が上映されていましたので、縄文古墳時代の包む文化から現代まで、日本の生活の美の歴史を知ることができました。

 岡秀行が1988年にコレクションを目黒美術館に寄贈。何度か小規模なコレクション展示はあったのだろうと思いますが、私のアンテナに引っかかっていませんでした。デザインの中でも、服飾デザインやテキスタイルデザインには興味を持っていましたが、パッケージデザインに深く触れることがなかったのです。

 8月15日。よい展示を見て、よい一日になりました。
 戦後日本がひたすら利便性や功利性を追求してきた中で見失い置き忘れてきて、ものをこうして再発見できることがうれしいです。
 もちろん、現代生活において、たとえば納豆を大量生産大量販売するためには発泡スチロールパッケージであるほうが簡便であることは承知しています。藁苞の納豆は「高級品」なので、私には毎日食べることができません。しかし、納豆を藁でつつみ、発酵保存を行ってきた伝統の食文化は、伝えていきたいです。

<つづく>
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