20211120
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩夏(14)十王図 in 神奈川歴史博物館
日本語学校の2021年夏休み。教職員の休みは、8月10日から13日までの4日間でしたが、8月7日土曜日から8月15日日曜日まで山の日9日の祝日を含めると9日間の連続休みになりました。大学では学生の夏休み期間と同じ休みをとっていましたが、春庭勤務の日本語学校はまだ学校法人資格を持たない私企業ですから、休みは経営者が決めたとおりに。夏もせっせと働きました。
9日間の連続休暇と言っても、まだ緊急事態宣言中ですから、他県への宿泊旅行など控えねばなりません。せっかくの夏休み、何したらいいんでしょ?一番安心安全な場所は、今まで通り博物館美術館です。
同じ東京都内といっても、勤務先へは、電車で3路線乗り換えて片道110分かかります。学校へは毎日通勤しているのはOKで、隣の県は県境超えるからダメ、という決まりに「異議ア~り!」です。
多摩川またぐけど、電車で30分の横浜なら許可する、と自分ルールを決めました。勝手に。
夏休み4日目。8月11日は、神奈川県立歴史博物館へひとりで出かけました。だネ?横浜は東京都内、ということに決めました。ゆりこさん、横浜は東京です。
神奈川県立歴史博物館の「十王図」という展示、娘が「仏教美術はわからんからパス」と言うのでひとりで見にいきました。ぐるっとパスが使えるうちは、使い倒そうという「モトとらなきゃ」精神です。
長期間の修復期間を終えて、久しぶりの博物館での展示だそうで、修復済んだ十王図のほか関連仏教美術品も展示。
博物館の中、人も少ないのでじっくり見ることができましたが、私も「仏教美術、ようわからん」、でした。
閻魔王、五官王、五道転輪王などの王は、人が亡くなったあと、審判を下す冥界の裁判官だそうです。中国唐代から十王信仰がはじまり、日本には12世紀後半13世紀前半に日本でも盛んに信仰されました。私は閻魔さま以外知らなかった。子どものころ、嘘つくとエンマさまに舌抜かれるぞと脅されて育った年代です。
せっかく修復されたありがたい絵なので、館内照明とっても暗くして、よく見えないのです。よくわからん十王でしたが、地獄の審判というと、なんだかムツカシソーなので、ご利益あるのかないのかわからないまま「コロナ退散」を十王さまにお祈りしてきました。10月に急速に東京のコロナ罹患患者数が減少したのは、十王への私のお祈りがきいたのだと思います。イワシの頭も信心シンジン。
博物館の口上
当館が所蔵する「十王図」(10 幅)は南宋時代の 作として国の重要文化財に指定されています。このた び五カ年にわたる修理事業が完了したことをうけて、 全幅を修理後初めて公開いたします。 十王とは、人の死後に亡者の罪の軽重をただすと考 えられた十人の判官を指し、唐時代中後期成立の経 典に説かれ信仰が盛んとなってから、断続的に絵画化 されました。日本においては大陸制作の請来仏画を範 として写本が多数制作されましたが、たとえ同一系統 の転写本であっても、細部の図像にはそれぞれ違いが 見て取れます。絵画制作にあたり、何を写すか、どん な要素を追加あるいは省略するか、という選択の背後に は、冥界をいかに見るか、見たいか、あるいは見せた いかという、絵画制作者や享受者の心性が見て取れる といえるでしょう。見えないはずの冥界を可視化し、そ の画像の前で自らの死後の安楽を願い、また近親者 の冥福を祈る、そして大切な一具の十王図をときに修 理しながら守り伝える。図像転写の具体相や解体修理 で判明した過去の修理の痕跡を確認しながら、十王 図を作り、いまに伝えた人々の思想を考えます。
暗いので、どの王が何なのやら、ぜんぜんわからんかった。
十王は本地垂迹して如来や菩薩になる、ということは解説にかいてあったのですが、どうも信心が足らぬようで、解説があっても、どれがどれやら、でした。
十王様すみません。こんな不信心者ですが、どうぞコロナからお守りください、とお祈りして、どうやら第5波はのりきったよう。ありがたや。第6波はどうなるのやら。
2021年8月11日の東京都内、神奈川県立歴史博物館。
<つづく>