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ぽかぽか春庭「イスラーム王朝とムスリムの世界 IN 東京国立博物館東洋館」

2021-11-28 00:00:01 | エッセイ、コラム


20211128
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩秋(2)「イスラーム王朝とムスリムの世界」展 IN 東京国立博物館東洋館

 9月20日敬老の日、東京国立博物館は、「常設展だれでも無料」でした。本館、東洋館、法隆寺館、考古学室、庭園、通常1000円のところ、まるまる無料。春庭は、70歳以上ですからもともと常設展は無料なんですけれど、私の前にチケットを購入しようとしていた学生二人組は「えぇ~、タダだって。らっき~!」と喜んでいました。

 私は、本館の国宝室の展示が変わるたびに常設展に来るようにしています。在籍している留学生には「次の無料公開日は文化の日、11月3日だから、みんな見に行くように」と、宣伝したのですが、だれも見にいかなかったみたい。まだ国宝だの文化財だのを喜ぶより、ショッピングや行楽地へでかけるほうが楽しい年ごろだろうから、文化の日に博物館なんてのは年寄り趣味に思えるのでしょう。

 20代のころ、金沢兼六園で「お庭が好きなので、見にきたんです」と地元の人と話したとき、「え~!若いのに珍しいね」と言われて、え、そんな珍しがられる存在なのかと、びっくりしたことがありましたが、確かに庭園巡りの20代ってのは、シブかったかも。
 今回は、東博のお庭は歩きませんでした。最初に東洋館へ。

 東洋館。中国や朝鮮、アラブ世界古代エジプト、など、地下1階から5階まで、アジアのお宝が並んでいます。3階屋外のテラスから東熊の表慶館を眺める「ぼうっとしている」時間も好き。ただし、今はコロナ終わるまではテラスに入れないのが残念。

 会期:2021年7月6日(火) ~2022年2月20日(日)

東洋館の口上
 このたびイスラーム関連の豊富なコレクションを有するマレーシア・イスラーム美術館の全面協力を得ることで、特定の国家や地域によらない、世界規模のイスラーム美術の展示が実現しました。
 イスラーム教は、7世紀にアラブ人のムハンマドが預言者として唯一神に対する信仰を説き、創始した宗教です。その後、イスラーム教は西アジアのみならずヨーロッパ、北アフリカ、中央アジア、東南アジア、そして東アジアへと広がり、キリスト教に次いで世界で2番目に信者の多い宗教にまで発展しました。イスラーム教を受容した世界各地では、多くのイスラーム王朝が交替しましたが、いずれも各地の文化を融合させた独自のイスラーム文化を展開してきました。
 この特別企画では、こうしたイスラーム文化の多様性を知り、イスラーム世界への理解を深める手がかりとなるような美術工芸品や歴史資料などを紹介します。

 東洋館地下1階は、通常は東南アジアやインドの美術品が並べられていますが、マレーシア博物館の展示品を中心に、イスラム世界の歴史的な流れに沿って、多様な品々を見ることができました。

・第1章 はじめに・ムスリム世界の歴史と文化
・第2章 初期イスラム王朝
・第3章 モスクの美術
・第4章 北アフリカおよびスペイン
・第5章 セルジューク朝
・第6章 マルムーク朝
・第7章 イルハーン朝とティムール朝
・第8章 サファヴィー朝とカージャール朝
・第9章 武器と外交
・第11章 イスラーム書道芸術
・第12章 ムガル朝
・第14章 オスマン朝

 と、こまかく章立てが分かれて、歴史と地域別に展示されていました。章立てのなか、10と13が抜けているのはなぜなんでしょう。日本の病院に4階や4号室が抜けているようなものなのか、よくわかりません。

 イスラム世界についてほとんど知らないので、歴史の教科書でオスマン朝だのセルジューク朝だの見た気がするものの、カージャール朝とかサファヴィー朝とかまったくはじめて目にするものだったし、イスラムの歴史も地理的な広がりも、よくわかっていなかったなあと実感します。
 こうしてイスラム美術の全体を見渡す展示をはじめてみました。
 解説も懇切丁寧なもので、私のようにイスラム文化にうとい者にも、時代や地域がよくわかりました。

 ミフラーブ・パネル
 中央アジアまたはイラン(ティムール朝)14~15世紀 


 博物館の解説
 
ミフラーブ・パネルはアーチ形のタイルで、中央部分とその縁飾りで構成されています。ターコイズ・ブルーの濃淡で施釉(せゆう)され、様式の異なる文字文(もじもん)で装飾されています。モスクの礼拝する場所に設置され、イランや中央アジアの建築によく見られます。 

  ミフラーブ・パネルの左上の星型は、ラスター彩藍釉鳥文タイル イラン13-14世紀


 人物文タイル イラン・サファヴィー朝 17-18世紀


 釉下彩人物天文板 イラン・カージャール朝 19世紀


 エナメル彩人物文鉢 イラン 13世紀

 ラスター彩水差し スペイン
 

 ケンタウルス文タイル イラン・サファヴィー朝 17世紀


 陶製文字文鉢イラン ニーシャ―プール10世紀
 陶製多彩釉刻花文皿 イラン10世紀
 陶製鳥文鉢 イラン ニーシャ―プール10世紀 
 

 真鍮水差し スマトラ19世紀

 インド細密画 シャージャハーンと息子アウラングゼーブ  ムガール張750頃

 皇帝アウラングゼーブ騎馬像 17世紀

白釉藍彩花卉文大皿 トルコ イズニーク


 インドムガル朝のアクセサリー。イスラム女性には不動産所有が許されていなかったので、女性たちは華麗な金製品をできるかぎりたくさん身に着けて財産にしていました。

 インドの細密画をはじめ、多彩な文物の数々。マレーシア・イスラーム美術館の宝物をじっくり見る機会になりました。
 海外渡航がなかなかできない昨今。マレーシアにも出かけられないときに、貴重な展示、ありがたかったです。
 よい敬老の日でした。

<つづく>
コメント
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