
20211127
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩秋(1)川瀬巴水展 in 大田区立郷土博物館
町田市立版画美術館で歌川広重小林清親川瀬巴水の版画を並べて見る企画があり、これまであまりまとめて見る機会がなかった川瀬巴水の版画を楽しむことができました。
それからちょうど2ヶ月たって、大田区立郷土博物館でも、川瀬巴水の展覧会があり、町田の版画美術館よりも大規模に巴水の版画を見ることができました。
大田区立郷土博物館特別展「川瀬巴水ー生誕130年記念ー」
会期:7月17日=9月20日(前期後期の展示替えあり)
↓の版画は前期展示だったらしく、私が見た作品中にはありませんでした。

私と娘は後期の9月11日に観覧。大田区立郷土博物館は、全会期「だれでも無料」での公開でした。無料だったので、絵ハガキのほか、図録も買いました。
絵ハガキと図録。おまけのトートバック


巴水が長く大田区に居住したご縁により、遺族が巴水のスケッチブックなどを地元に寄贈しており、「スケッチブックの下絵と完成した版画を並べてみる」という鑑賞ができました。
巴水は、写生に徹することを肝に銘じていたので、写生した下絵をほぼそのままに版画原画にしていることがよくわかりました。
川瀬巴水「男鹿半嶋 嵩雀窟」1926(大正15)年

写生帖と版画のセット展示

一室で記録ビデオの上映がありました。
川瀬巴水自身がナレーションを担当し、写生散歩に出て、こどもたちに囲まれて楽しそうに写生。写生帖を彫師に渡し、克明に何枚かの下版に掘り起こす。下版を摺り師が丁寧に色合わせをして一枚の版画が出来上がるようすが上映されていて、とても参考になりました。
しかしながら、私も娘も強く感じたこと。フィルム撮影された古い記録をそのままDVDに焼き直したものらしく、音声処理がひどかったです。BGMの音が大きくて、小さな声の川瀬巴水のナレーションがほとんど聞き取れませんでした。最初私の耳が遠いので聞こえないのかと思っていたら、地獄耳の娘にもほとんど聞き取れなかったというのです。古いフィルムのはじっこに音声記録がついているはずで、音声を別処理すればBGM[とナレーションが分けられると思うのだけれど、太田区立郷土博物館は技術的にできなかったのか面倒だったのか、ナレーション聞こえない上映になっていました。
でも、彫師と刷り師のワザがよくわかってよかった、と娘と帰り道で感想を言い合いました。
大田区馬込文士村に住んだ巴水ですから、太田美術館の一押しは「馬込の月
」

展示は、川瀬巴水の初期のころの絵、写生帖、伊藤深水ら版画画家の集まりの写真など、遺族から寄付された絵や遺品など多岐にわたり、目をみはるものでした。
東京12景はじめ、日本全国をくまなく写生して歩いた巴水。美しい日本の風景を楽しめました。









最近立て続けに川瀬巴水の版画を見ることができ、彼が全国をくまなく写生して歩き、写生の絵を彫師や刷り師との共同作業によって版画を生み出す過程も知ることができました。無料公開、大田区は東京の南のはじっこ。あまり縁のない区でしたが、これを機会に馬込文士村など歩いてみようかと言う気になりました。
<つづく>