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ぽかぽか春庭「ざわつく日本美術展 in サントリー美術館」

2021-11-23 00:00:01 | エッセイ、コラム


2021121
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩夏(16)ざわつく日本美術展 in サントリー美術館

 夏のアート巡り。サントリー美術館。年間パスで「ざわつく日本美術展」を見ました。サントリー美術館開館60年記念展の所蔵展のひとつ。会期が終わる直前8月28日土曜日に観覧しました。

会期:7月14日(水)--8月29日(日)

 美術館の口上
 ある作品を見た時、「えっ?」「おっ!」「うわぁ…」などと感じたことはないでしょうか?本展では、こうした言葉にならない「心のざわめき」を、作品をよく見るための、大切なきっかけと捉えてみます。というのも、「いったい私は、この作品のどこにざわついたのだろう?」と考えることで、目の前の作品により一層興味を覚えるからです。
 そこで今回は、思わず「心がざわつく」ような展示方法や作品を通して、目や頭、心をほぐし、「作品を見たい!」という気持ちを高めていきます。サントリー美術館の名品から珍品、秘宝まで、作品を「見る」という行為を意識して愉しみながら、日本美術のエッセンスを気軽に味わっていただける展覧会です。
 作品との出会いによって沸き起こる、自分自身の「心のざわめき」に耳を傾けると、日本美術の魅力にぐっと近づけるような、意外な発見があるかもしれません。

 展示の構成は。
 うらうらする ざわざわする じろじろする ばらばらする ちょきちょきする はこはこする、などのキーワードによって並べられ、たとえば「うらうらする」では、通常の展示では覗けないような裏側を見せて展示されています。
 何度か訪れているサントリーなので、↓の作品ほか、何度も見ているものもありましたが、裏側のおもしろさを生かした並べ方でした。
 何度めかに見た南蛮船が描かれた高坏も、鏡で裏を丁寧に見せてくれたので、裏側には南蛮の子供が描かれていたことにようやく気付きました。
 
 


 「ちょきちょきする」のコーナーでは、こんな展示の方法。
 江戸時代に作られた薩摩切子「紅色被筆筒」。もし、これだけ展示されていたら、ああ、筆入れを薩摩切子のガラスで作ったんだな、色合いも見事、と思うだけだったでしょう。もちろん、それで通り過ぎていいのですけれど。しかし、同じ薩摩切子の「紅色被栓付瓶」と並べてみると、ふた部分が破損してしまった瓶の上半分を切り取って(ちょきちょきして)筆入れを作ったのだろうと言う工夫がわかります。

 2階階段から見る展示室


 いつもは絵だけ眺めて通り過ぎる絵巻物。文字の解説を「じろじろ」してじっく読んでみれば、、、、、
 女主人は、「今宵は胸が痛むから早く寝たい」と、召使をさがらせたのですが、その寝所に好色な法師が忍び込んでくる一場面。
 女主人は、一夜を法師とともにし、翌朝法師を袋に中に入れて隠します。すると、となりの女性にみつかって、袋を貸すことに。隣の女人は袋に入りこんで法師とねんごろに、、、って、流麗な絵巻物の詞書、読めやしないから、さぞかし優美なことがかかれているのかと思って眺めていたんですが、そんな濡れ場が露骨な文章で書かれていたなんて。
 
 


 
 下の絵は、「放屁合戦絵巻」。
 室町時代1449(文安6)年に模写されたもの。おならをプープーと出し合って競ったという僧たちのイベントを絵巻にしています。
 このイベントは平安時代からお寺で人気の合戦だったそうです。

 日本美術も、格調たかく美しくってばかりじゃなく、愉快であったり露骨であったり。じろじろざわざわと見れば、おもしろい発見がいろいろありました。


 会期終了間際の駆け込み観覧でしたが、サントリーの年間パスポート、4月にコロナ休館していた分が延長になったので、まだあと一か月使える。

<つづく>
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