春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「クリスマス会」

2021-12-25 00:00:01 | エッセイ、コラム
20211225
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>2021日本語学校の冬(2)クリスマス会

 年末の冬休み前、学生たちはもう冬休み気分で浮足立っています。帰省できない現在の状況ですし、「次の休みには両親が日本にやってくるのでよい場所を案内したい」と張り切っていた学生もがっかりしています。
 でも、クリスマスが終われば冬休み。今年は、昨年より大きなクリスマスツリーが学校前に出されて、学生有志が飾り付けをしました。

 最後の週は、スピーチ発表会もあり、校外学習として防災館で地震体験をしたり、なかでも最終日は授業無しのクリスマス会です。テーブルに飲み物お菓子を用意して会の開始を待ちます。

 昨年2021年のクリスマス会では、12月はじめに授業が開始されたばかりだったので、クラスごとの出し物などは準備せず、有志がダンス披露などをおこないました。ネパール人女性のダンスなどが発表されました。この女性はネパールの幼稚園の先生をしていたそうで、特に子供のための伝統舞踊教育に力をいれていたということでしたが、残念ながら家族の都合で帰国してしまいました。

 今年参加したネパール人は、自撮りの動画を国の家族に送ると、撮影していました。


 何か今年も楽しい出し物がほしいなあと思っていたところ、若い先生が「カタカナ語」の教材として利用したビデオに、皆が大ノリになりました。

 どんな教材かというと。「Tokyo Bon」という歌とダンス。日本語タイトルでは「東京盆踊り」となっていますが、外来語として日本語に取り入れられた英語が、いかに英語の発音からかけ離れたJapanglishになっているかを、遊び心たっぷりに、もっと言えば揶揄をこめて紹介しているインスタグラム投稿の作品です。

 「Tokyo Bon 」は、日本語のカタカナ語発音を歌って紹介しています。
 英語圏出身者や、英語が得意なアジア人たとえばシンガポールとかインドの出身者は、英語由来のカタカナ語を話すとき、どうしても元の英語っぽい発音になるので、それじゃ通じないよ、と、日本語カタカナ語の発音は別物であることを伝える内容。日本語を学ぶ英語圏の人に「食べるのはBeafSteakじゃないBifuteki、飲むのはBeerじゃない、Bi-iruと教えなければならない教師にとっては、笑ってビデオを見ながら「英語じゃないよ、日本語なんだよ」と教えるよい教材になっていると思います。

  https://www.youtube.com/watch?v=zhGnuWwpNxI
黃明志東京奧運洗腦歌【東京盆踊りTokyo Bon 2020】Ft. 二宮芽生 & Cool Japan TV @亞洲通吃 2018 All Eat Asia - YouTube 

 日本人は、ジュースやハンバーガーなどのカタカナ語が、もとは英語だと知っています。英語母語話者に対して、ついJapanglishで語りかけてしまうのですが、英語話者にはとんと通じないことばなのです。 
 例えば、日本では「マクドナルド」としておなじみのハンバーガーチェーン店。ローマ字で書くと「Makudonarudo」です。手をたたきながら言うと、6回手を叩く(6拍の語)。
 一方英語話者の発音では、Macdonald'sは「メドゥナゥ」に近くなる。カタカナで書いたので、英語発音とは異なるけれど、ドゥの部分を強く発音し、他は弱く。手を3回たたく3拍の語です)。つまり、日本語カタカナ語で「Where is マクドナルド?」と質問しても通じないし、英語話者が「Where is Macdonald's?」と質問してきたとき、日本語話者にはあまり通じない。
 日本語母語話者も、「ラジオ」が英語ではレィディオゥであることは理解しているのですが、「マクドナルド」という店の名は、英語話者にも通じると思っているから、「まくどなるど、レッツゴー」と言ってもコミュニケーション不全になる!

 「センセー、Tokyo Bonの中に出てくる英語おばさんがセンセーにそっくりだから、この役やって」と学生がいいます。私もノリやすいタチだから、O[K!
 1度youtubeでセリフを確認してあとは練習無しのぶっつけ本番で参加。

 観光客によいレストランを聞かれて、Japanglishカタカナ英語で「イングリッシュ、OK!OK?」「レストラン!カレーライス、オムライス、ビフテキ、グッドテイスト、コーヒーショップ、ミルクテ―、ジュース、レモネード、グッドテイスト!パンショップ、メロンパン、コロッケパン、チョコパン、トマト、チーズ、サンドイッチ、グッドパラダイス。レッツゴー!」
 観光客はカタカナ英語がまるでわからず「What?」。おばさんますます力をここめて、「ま・く・ど・な・る・ど!レッツゴー!」

 Tokyo Bonはyoutubeでは1億回の再生数。インスタグラムには、「私たちも踊ってみた」というまねっこダンスのUP数が20000件という人気ぶりです。
 学内のラインにUPされたHaL先生の「英語おばはん」動画も、バカっぽくて笑えます。

 
 ケーキはあまり売れ行きがよくなかったけれど、カラオケ大会は大盛り上がり、校長の「いい日旅立ち」に後れを取らじと、Hal老師は「テレサ・テン又見炊煙」を「し~ずかあなあ静かな里のあ~き」と1番を日本語で歌ったあと、いいかげんな発音で又見炊煙を中国語で歌って拍手喝采。会話では四声が正しくないと通じないけれど、歌はメロディがあるので四声が正しくなくても中国語っぽく聞こえます。

 熱唱テレサテン又見炊煙(里の秋)


 みなでビンゴゲームをして賞品に一喜一憂。歌ったりケーキを食べたり、楽しい「今年最後の学校行事」の時間をすごしました。
 

 2021年は、日本語学校の状況は厳しいままで、春庭勤務校でも、2021年4月入学生も2021年10月入学生も、来日できずにいます。2022年は、日本語学校にも、すべての人にも、よい年になるよう祈りつつ、クリスマスをすごしました。

<おわり>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする