20220220
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>2021ことば拾遺(1)モンペとステマ
留学生に新しいカタカナ語を導入するとき、短縮されてカタカナ4文字か3文字になってから日本語語彙として定着する、という話をしています。
リストラクチュアリングがリストラになり、メタボリック症候群が、メタボになったごとく。
最近耳にする機会が多くなったコンプライアンスもエビデンスも、コンプラやエビデになると社会に浸透したということになるでしょう。
ただし、もとの英語の意味からは、ずれる、ということに注意させます。
「リストラクチュアリング=再構築」が日本語リストラになると、「余剰人員の馘首」の意味に限定されたし、「メタボリックシンドローム=新陳代謝異常症候群」が、メタボになると「代謝異常→余分な脂肪などを代謝できずに太ること」に転用され、「太りすぎ」の意味に用いられる。メタボ=太りすぎ、になってしまいました。
最近のビジネス用語では、エスカレーションがエスカレに短縮されて、「上昇」の意味から「上司・上位者への報告」という限定された意味で用いられてきています。エスカレーターという語がすでに日本語に定着しているので、エスカレーションの意味がわかりやすかったのかもしれませんが、コンプライアンスも「コンプラ」になると意味がどのように変奏するのか、観察していきたい。
さて2021年末、私が知らなかった省略カタカナ語彙ふたつ仕入れました。「モンペ」と「ステマ」
モンペは、モンスターペアレントの略。学校や教育委員会にねじ込んでいく怪物親モンスターペアレントは、すでに学校現場でおなじみの語になっていましたが、ネット上ではそれを「モンペ」と略しているとは知りませんでした。
ステマは、ステルスマーケティングの略語。
ステルス=敵方に見つからないように行動するスパイ行動。ステルス(英語: stealth)は英語で「隠密」「こっそり行う」という意味。他者に気づかれないようにあることを行うことを俗に「ステルス〇〇」と言う。
戦術としてのステルスは、「ステルス布教=大学のサークル活動のように見せかけて宗教活動と気づかれないようにして宗教に引き入れる方法」などで理解してきました。
ステマは、こっそり行われるマーケティング(市場調査・販売促進)の意味で、ネット内では拡散している語でしたが、マーケティングにもネット販売にも縁がないため、春庭がこのカタカナ語に気づいたのは、2021年も終わりかけのころ。
つぎつぎ現れるカタカナ語、その省略語。どれがどれだけ日本語語彙として定着するのかはわかりません。10年後の広辞苑に載っている語はどれになるか。
もっとも若い人は重たい広辞苑どころかコンパクトサイズ辞書もひかない。すべてスマホまかせ。
10年後、日本語は確実に変わっているでしょう。
現在の小学生がやり取りしているライン文では、助詞はほとんど省略されている、という小学生親からの報告を聞きました。
「10ねんあとさあ、にほんごまじかわってる。しょうがくせいラインやりとり助詞きえてる」。
ま、私が消えた後に日本語が消えてしまったとしても、嘆きようもないけれど。
春庭、メタボではあってもモンペではない。
モンペじゃないけど、モンスター通勤者としてひとこと。モンツウ。
わたくしの通勤事情。
駅のホームをスマホを見つめながら私に向かって歩く人に対して、よけないことにしています。メールやゲームの画面から目を離さない人に対して、私のほうが通路をあける必要はない、という信念があるから、ただ立ち止まるだけ。
私に気づいて、黙って相手がよけることもあるし、チッと舌打ちすることも。幅広めの婆さんが自分の行く手をふさいで迷惑と思ったのでしょうが、迷惑なのはアンタ。
最悪の場合、相手が私に気づかずぶつかってしまい、足元不如意の老婆のほうがよろけてホームに落ちるなんてこともあるかもしれないという覚悟を持っての行為です。
もし運悪く、落ちたバーさんの前に電車がやって来たりしたら、、、、、やっぱりスマホをよけて歩けばよかったと後悔するんだろうな。ちょい覚悟の足りぬ72歳片道110分の通勤道中。
メタボばーさんを電車前に突き落とさないために、
歩きスマホはやめませう!
私のメタボは当分かわりませんので、あしからず。これ2021年12月24日にメタボ気にせず15cmのホールケーキを娘と分け合いハーフを一気食い。
ラメゾン白金グランのムースケーキ。娘が応募した抽選が当たったの。メタボ街道まっしぐら。私の行く手をスマホごときでふさがぬように。
<つづく>