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ぽかぽか春庭「カンタ展 in 岩立テキスタイルギャラリー 」

2022-02-12 00:00:01 | エッセイ、コラム

 インドの手刺繍布カンタ

20220107
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩拾遺・民族の布と服(1)カンタ展 in 岩立テキスタイルギャラリー

 岩立フォークテキスタイルミュージアムは、自由が丘駅から5分ほど歩いたところのマンションの中にある小さなミュージアムです。館長岩立広子さんがアジアを中心に集めてきた布地を展示販売しています。

 今年、経営が成り立たなくなり、閉館を決めました。10月に閉館のニュースが新聞文化欄に載ると、にわかに日時予約がいっぱいになり、私と娘が観覧できたのは最終日12月11日のキャンセル待ちでした。



 館からのメッセージ
 岩立フォークテキスタイルミュージアムは、館長 岩立広子が長年収集した染織品を基礎に開設された、小さな美術館です。
1965年の中南米に始まり、インドへの旅から本格的な収集が行われました。多彩な文化を持つインドの、名もなき民が生み出す「大地の布」の美しさに魅せられ、情報の全くない時代、「車窓から見た女性たちのスカートの柄に惹かれ、近くの染め場を訪ねる」 といった、手さぐりの出発でした。
現地の人々や風土に触れ、暮らしの中にある染織品を収集し、およそ50年間、インドを中心に世界各地を訪れました。
 現在、インドの収集品が約4000点、その他の国が約4000点、計8000点余りの染織品を所蔵し、年3回の展覧会を企画、運営しています。

 手間暇を惜しまず、労力を顧みず作られた、かつての美しい布に実際に出会える美術館です。

「カンタ——母からの贈り物」
2021年7月29日(木)- 12月11日(土)まで延長
会期中の木−土曜の10時-17時開館

展示室内


 岩立広子の口上
 かつてのベンガル州で作られたカンタは、使い古しの白木綿を4、5枚重ね、農作業や日常の暮しの合間にコツコツと刺されて仕上がった廃物利用のキルトです。しかし糸でつづられた物語の様なデザインの楽しさはだれにも眞似が出来ない純な思いが伝わってきます。カンタを見て心動かされない人はめったに居ないでしょう。使い終った白木綿が更に輝きを増すやさしさに包まれ、布仕事の無限の樂しみです。只のボロ布が母の手で清められ再びよみがえった布です。特別な一瞬です。是非見て頂きたい一点ものの作品です。

 カンタは、使い古しの布地を重ねて、伝統の刺繡をほどこし、美しく仕上げて母から子へ伝えられてきました。
 刺繍のモチーフは花や鳥、象や牛など、身近な動植物が多いです。


 室内の展示物は撮影禁止で下が、室外階段などの展示はOKと言うことでしたので、撮影させてもらいました。


 フォークテキスタイルミュージアムとして公開していくことは経営上難しくなったということですが、岩立さんのアジアやラテンアメリカの布地収集と研究はこれからも続いていくと思います。

 現在、世界では各地に伝わってきた手仕事の作品が急激に失われてきています。手間暇かかる手仕事より、大量生産の品を買うほうが安上がりで、布地を作り上げるより、縫製工場などに働きに出て賃金をえる仕事を見つけたほうが現金収入が多くなる。大量生産品の布地を買ったほうが手っ取り早いのです。
 布地の仕事を保存するためには、国やユネスコが適正な価格で製作品を買い取るようにしなければならないと思います。

 民族の魂を織り上げ刺繍してきた布地。失われてしまう前に、1枚でも集めて残していきたいです。

<つづく>
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