20230803
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2023文日記夏(2)ビール飲んでおしゃべり
「演劇を楽しむ視覚障碍者の会」を続けてきた大阪在住のアコさん。コロナ自粛の間は大阪から上京することも自粛していました。関東に帰省しても、それは実家のお母さんのお葬儀のためだったりして、私と会うのはほんとに久しぶり。
品川駅の新幹線改札口で待っていて、アコさんを新宿駅までご案内。視覚障害の方のガイドヘルプをするのも久しぶりです。そのため、エスカレーターに乗る際は、視覚障害の方を先にのせ、自分はその後ろに立つ、という基本も忘れていました。2つめのエスカレーターでアコさんに「先に乗ってください」と言われて失敗に気づきました。
紀伊国屋サザンシアター東京ヴォードヴィルショウ「その場しのぎの男たち」観劇後、アコさんを赤羽のホテルまで送りました。
ホテル近くの「白頭山」で冷麺を食べ、ビールで乾杯。6時すぎると店がこんできたので、食べ終わったらすぐに席を立ち、近くのコンビニで缶ビールを買って、ホテルの部屋でまたビール飲みながらおしゃべり。
アコさんは、劇団昴のお芝居を欠かさず観劇してきましたが、コロナで公演中止が続いたので、今まで見たことのない歌舞伎なども観劇したそうです。役者の名前は思い出せないけど、とおっしゃるが、2023年1月公演だったというので、主役の弁天小僧を愛之助その相棒の南郷力丸を勘九郎、という配役の公演だったと思います。「知らざあ言ってきかせやしょう」というセリフをラジオのインタビュー番組で、役者さんが再現していたので、覚えたとのこと。
御主人マサさんの仕事の関係で大阪に引っ越して長くなるけれど、いまだに大阪の街はひとりでは歩けず、ご近所へ買い物にでるときはひとりでいくけれど、そのほかはガイドヘルパーさんを頼む。ヘルパーさん依頼も、昨今の福祉予算削減のためにままならないことが多い。ガイドヘルプを頼むにも、介護ヘルプの資格を持っている人でないと頼めないので、介護の方が体があく、ということは、人出不足の今はヒトで不足が著しい。ヘルプガイドはガイドだけの人材にしておけば、私のような介護資格を持たない者でも、いっしょに歩くことで教わりながらガイドしていくこともできるので、制度を細かく見直すことも必要かと。アコさんは、さまざまな福祉予算が削られてきた今、この先の視覚障碍者ほかの障碍を持つ人の生活はますます難しくなるのではないかと案じていました。
私のような高齢失業者無収入の生活も心配だけれど、だれもが安心して暮らせる政治を期待するのは、明治の大津事件がてんやわんやであったように、マイナンバーカードへの健康保険証移行を含めて、ますます混迷の現代政治。私もアコさんもマイナンバーカードを持っていないことは共通していました。
ものすごく暑い一日。私が紀伊国屋サザンシアターへのガイドを失敗して、新宿南口から日向の甲州街道を横切ることになったり、アコさんにも暑い思いをさせてしまいました。アコさんは、日光紫外線によるアレルギーがあるのに、申し訳なかったです。久しぶりのガイドヘルパー、ダメダメでした。
冷麺食べ終わり、ホテルへ。
でも、8時過ぎにホテルを辞するとき、アコさんが「今日は、一日とても楽しかった」と言ってくれて、不十分なガイドヘルプでしたが、アコさんの役に立つことができてよかったと、思いました。
自治体の福祉部門で、さまざまな人材の登録をしておいて、ガイドヘルプもヘルプのやり方を講習を受けるなどして活用してほしい。たとえば保育ママさんは、保育士の資格などなくても育児経験などがある人が自治体に登録して、保育園の時間外の保育を担当するなどしているところもあります。
福祉の分野でボランティア活用することに異論もあります。私も参加していた朗読ボランティア。視覚障害のために自治体のお知らせや手紙などを読む仕事をボランティアが行うことで、プロとして朗読ヘルプをする人が育たない。
50年も前のことになりますが、国語教師をして演劇の部活動を校務分掌で受け持ったとき、「視覚障害者のための朗読講座」を受けました。演劇指導に役立てようと思ったのです。NHKのアナウンサーによる発音指導朗読指導でしたが、その後、図書館でアコさんに対面朗読するときにとても役に立ちました。
今は、小説などの作品はCDでもパソコン用にも、さまざまに出されています。今一番視覚障碍者に必要な「音読」は、自治体からのお知らせや、個人的な手紙など。どちらも個人情報に関わることなので、読んだ内容を他者には話さないなどの最低必要限度の講習は必要と思いますが、朗読のプロが活躍できる場所が増えるといいと願います。
<つづく>