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ぽかぽか春庭「野又穫 想像の語彙展 in オペラシティアートギャラリー」

2023-08-27 00:00:01 | エッセイ、コラム

20230827
ぽかぽか春庭アート散歩>2023アート散歩まだ暑い(1)野又穫 想像の語彙展 in オペラシティアートギャラリー

 本展では、同館コレクションをはじめとする野又作品の初期から最新作までを展示。野又の全貌を総覧する。
 東京藝術大学でデザインを学んだのち、広告代理店のアートディレクターとして勤務しながら絵画制作に励んでいた野又は、1986年に佐賀町エキジビット・スペースでの個展を皮切りに、いくつかの個展を開催。その後、作家活動に専念することとなる。
 野又の作品群には、未来感がありつつも郷愁めいた感覚を思い起こさせる謎の建造物が登場する。建造物はあれど人の姿は一切描かれておらず、自然と人工物のみが一体となって存在している。これらの建造物は人間のためにつくられたものではないのかもしれない、そう想像することもできてしまう世界観だ。画面の美しさに反して、どこかディストピアを感じさせるのもこれらの作品の魅力といえるだろう。

 野又穫という画家をまったく知りませんでした。見に行ったのは、西新宿エリアで、文化学園から歩いていけそうだ、という点、ぐるっとパスで入館できる点。展示タイトルが「想像の語彙」というものだった点。「想像の絵」なら絵画展のタイトルとして平凡ですが、想像の「語彙」とはなにをいうのだろうか
 オペラシティへ出かける前、どんな絵を描く人なのかは、ネットに出ている絵を見てある程度知っていたのですが、実際に見て、ほんとにすごいと思いました。

 遠目には建築写真建造物を写真に撮ったように見える絵。パッと見て、建造物であることはわかりますが、違和感も残ります。この違和感は、よく見るとわかってきます。ほんものの造形物ではなく、野又の想像した建造物なので、よく見れば、建築物としてはありえない造りになっているのがわかるのです。高い塔や建物についている螺旋階段は、たどっていくとメビウスの輪となっており、階段の上を進んでいくと、ある地点で階段の裏にいることになるのです。これに気づいたとき「建造物の写真のようなリアルさ」という印象がくつがえります。建造物としてはありえない「想像」の構造。

 家にヨットの帆がついていて、もし帆を全部張ったら、家は風に乗って飛び立つのかもしれないし、宇宙実験室のようなドームが重なった建造物も現実の建築は無理な構造なのに、パッと見た時は「あるかも」と納得してしまうのです。あまりにリアルなので。

建築写真のような絵


全作品、撮影OK.


 建物の模型も展示されているのですが、絵をよく見てみると、マグリットのだまし絵のように、こんな建造物ほんとに作れるのか、だまされているんとちゃうかいな、という気になります。
 

 全作品の中で、1点のみ人物が建っている姿が見えるものが。

 荒れた野の上に立っている家は帆を張っている。どこかへ風に乗っていくのか。


 不思議な建造物がずらり。見ているとほんとうにあるかもしれないというキになるが、
 階段をだとって上っていくと、あれれ、、、


  

 
 


 この風車、よくプロペラ部分を見ると、風ではまわらない向きに取り付けられていると思うんです。




 



 緻密な描写で、一軒ほんとうの建物に見えるのに、よく見るとありえない構造。とても不思議な気持ちになりました。でもことばでは言い表せない「想像の語彙」
 
 暑いかようようたどり着いたオペラハウスギャラリー、真夏の蜃気楼のように、ありえないけどそこにある建造物。

 新宿から中野行きのバスが出ていたのですが、都庁第2庁舎の案内係の人は、「バスがあるかどうかは情報がありません」というので、不確実なバスを探すよりは歩く方が早いかと考えた。夜のうちにスマホ充電をしておくのが日課なのに、接触がわるかったらしく、スマホは充電切れでなにも情報がない。スマホなしの現代人の弱点。都庁案内の人が「この南通りをひたすらまっすぐ進んでください。高速したの大通りを渡って、まっすぐ」と言われたと思って、どんどんまっすぐ進みました。
 で、いつものごとくこれは間違い。高速にぶつかったら左に曲がるべきでした。暑い盛りに初台を超えて先まで歩き、戻ってきたので、ギャラリーにたどり着いたときはへろへろ。脳みそ沸騰した状態で観覧したので、オペラギャラリーの空間がいっそうクールにしみわたりました。

 2階の展示、オペラシティギャラリーの収集を行ったコレクター寺田小太郎(1927-2018)のコレクション。東京オペラシティ共同事業者として、戦後日本の画家、アーティストの作品4000点が残されました。

<つづく> 
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